続・QP関雅史のギア分析!第29回・ディスタンス系とスピン系、本当に飛ぶのはどっち?
2021.12.04
Q.ディスタンス系のボールとスピン系のボールを打ち比べてみたのですが、スピン系のボールのほうが飛んでいるようです。こんなことってありますか? ヘッドスピードは40メートル/秒をちょっと超えるくらいです。
A.あります。最近のクラブは低スピン仕様になっているので、ディスタンス系の特徴である低スピンボールを使うと、バックスピンが適正値よりも少なくなりボールがドロップして飛ばなくなることがあります。
スピンは少なすぎてもかえって飛ばなくなる
ボールはルールで最高初速が決められていて、ディスタンス系もスピン系もぎりぎりのところをねらって作られている。つまり、飛距離に関してもともと持っているポテンシャルはほぼ同じ。それでは何が違うのか。専門誌やテレビなどでギアをテストする機会が多く、ボールにも詳しい関雅史プロに聞いてみた。
「大きな違いはスピン量です。ディスタンス系ボールのターゲットは一般のアマチュアです。アマチュアはスピンが多すぎで悩む人が大半ですから、当然のようにスピンを減らすテクノロジーが使われています。もともとスピンが多い人が使えば、適正なスピンになって飛距離が伸びるのです。しかし、アマチュアの中にもスピン量が少ない人はいます。フェースの上の方に当てる人は、順回転方向にギア効果が働いてバックスピンが減少します。また、ボールがやわらかくて、インパクトでしっかり潰せている場合もスピンは減ります。質問者の方はこのどちらか、あるいは両方に当てはまっていて、スピンが減りすぎた結果、ボールがドロップして飛距離をロスしていると考えられます」
球がドロップする人にはスピン系がおすすめ
逆にスピン系ボールが飛ぶ理由はどこにあるのか。
また、ディスタンス系で飛ばす方法はないのだろうか。
「スピン系ボールの主なターゲットはプロや上級者です。競技ではスコアメイクが優先なのでグリーン周りのスピンコントロール性能を重視して作られています。軟らかくて食いつきのいいウレタンカバーを使っているので、ドライバーでもスピンが多めに出ます。これが、もともとスピンが少ない質問者の方にマッチしていると考えられます。距離が出て、スピン性能も高いので、スピン系を使うことにまったく問題はないと思いますが。もし、アプローチが転がし主体でディスタンス系のほうが距離を合わせやすいとか、ディスタンス系の軟らかい打感が好きということであれば、フェースの下めに当てることを意識したり、ドライバーのロフトを増やしたりすれば、スピンが増えて飛距離を伸ばせる可能性があります。軟らかいウレタンカバーとディスタンス系のコアを組み合わせた、ウレタンディスタンス系のボールも試してみる価値があります」
ディスタンス系ボールは飛ぶという常識はすべてのゴルファーに当てはまるわけではない。機会があれば、ショップなどでデータをとってもらうのもおすすめ。本当に飛ぶボールを見つけることができる。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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