続・QP関雅史のギア分析!第27回・スプーンだと球が上がらない…解決策は?
2021.12.04
Q.スプーン(3番ウッド)で球が上がらないのですが、原因はロフト角が小さいからでしょうか? また、球が上がるスプーンの選び方はありますか?
A.ロフトも確かに影響しますが、球を上げるにはインパクトロフトを大きくしてくれるクラブを選ぶことも大切です。
アベレージゴルファーにロフト15度以下は難しい
スプーンは地面から打つクラブの中で、もっともロフトが立っていて長さもあるため、苦手にしているゴルファーは多い。どんなスプーンを選べば楽に球を上げて番手なりの距離を打てるのか、アマチュアのスイングとクラブの機能に詳しい関雅史プロに教えてもらった。
「確かにロフト角は大きな要因です。打ち方にもよりますが、一般的な話をすると、ロフトが15度以下のスプーンは、ドライバーのヘッドスピードが43メートル/秒以上ないと球は上がりづらいでしょう。ヘッドスピードが速くない人の場合は、なるべくロフトの大きいヘッドを選ぶ必要があります。最近のスプーンにはハイロフトモデルが用意されているものもあるので、球が上がらない人はそちらを選びましょう」
ただし、実際にはボールの打ち出し角はクラブのロフトだけでは決まらない。大事なのはインパクトロフトだと関プロは指摘する。
「クラブのカタログにはロフト角以外にも細かなスペックが記載されています。ロフト角や重量、シャフトのフレックスやキックポイントまでは気にしても、その他の細かい数値は面倒がって読まない人が多いと思います。しかし、意味のない数値はカタログに記載されていません。この機会にチェックするようにしてみてください。慣れてくればカタログスペックからクラブの特性がある程度読み取れるようになってきます」
低深重心、グースネック、やわらかめが上がりやすい
インパクトロフト、つまり球の上がりやすさに影響を与えるのは“重心の高さ”と“重心深度”、“フェース・プログレッション”の3項目だ。
「球が上がらない人にまず注目して欲しいのは重心の高さです。クラブヘッドはインパクトの衝撃で重心を中心に上下左右に回転します。重心よりも上に当たれば、フェースが上を向き、下に当たれば下を向きやすくなります。したがって、重心の低いヘッドほど、重心より上に当たりやすいので、その結果、球は上がりやすくなります。一般的には投影面積が大きく、フェースの上下の幅が狭いいわゆるシャローヘッドは重心が低いので、カタログに数値がのっていなかったり、古いモデルを購入したりする場合は参考にしてください」
「2番目は重心深度です。重心深度は一般的にクラブのリーディングエッジから重心の距離、つまり重心がどれくらい後ろにあるかを表しています。インパクトする際、重心が後ろにあるほどヘッドのお尻が下に垂れやすく、フェースは上を向きやすくなります。投影面積の大きいヘッドはその分、重心が後ろに来るので、重心深度も見た目である程度判断することができます」
「3つめのフェース・プログレッションは、シャフトの中心軸からリーディングエッジがどれだけ前に出ているか。すなわちグースの度合いを表しています。この数値が小さいクラブほどインパクトのタイミングが遅くなり、アッパーブローでボールを捉えることができるので球が上がりやすくなります」
関プロは球の上がらない人に「軟らかめのシャフト」を推奨する。
「先調子は上がりやすいといわれていますがすべての人に当てはまるわけではなく、ヘッドが遅れてきてかえって上がらなくなる場合もあります。それよりはやわらかめのスペックを選んだほうがシャフトのしなりを使って球を上げることができます」
どうしてもうまく打てない人は無理にスプーンを使わず、バフィー(4番ウッド)やクリーク(5番ウッド)で代用する手もある。
「ツアープロでも4番ウッドを使っている選手がいます。確率の低いクラブは外して、その分、ウエッジを増やしてグリーン周りの精度を高めるなど工夫をすればスコアはかえってよくなるでしょう」
なるべくやさしいクラブを探し、それでもダメなら潔く諦める。
クラブセッティングには14本の上限はあっても、何を使うかの縛りはない。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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