続・QP関雅史のギア分析!第5回・ツアープロがよく使っている削り出しパターはやっぱり難しい?
2021.12.04
Q.いよいよ憧れていた削り出しパターを購入しようかと考えています。しかし、今使っているのはフェースインサートタイプのマレットで、自分ではやさしいところが気に入っていて、まあまあパットも入っています。いきなり替えても大丈夫でしょうか?
A.基本的には好みの問題です。転がりなど性能が大きく違うということはないので、打感の違いに慣れてしまえば問題ありません。
インサートタイプも削り出しも目指すところは同じ
削り出しパターとは、コンピュータ制御のミルドマシンを使って、軟鉄やステンレスのブロックから1つ1つ手間暇かけてヘッドを削り出すパターのこと。中でも、人気があるのは世界的に有名なデザイナーたちの作品で、仕上がりは工芸品のように美しく、ゴルファーなら一度は使ってみたい逸品といえる。
ツアープロの中でもパターの名手といわれる選手が多く使っているため、少し難しい印象もあるが、ポピュラーなフェースインサートタイプと比較して使い勝手はどうなのか。
パッティング理論とパターに詳しい関雅史プロに聞いてみた。
「フェースインサートパターと削り出しパターの大きな違いは打感です。前者は打感がやわらかく音は低め、これに対して後者は打感がソリッドで音は高めです。しかし、心地いい打感と転がりのよさを追求していることに違いはありません。したがって、どちらを選んでも結果が大きく変わることはないでしょう」
やさしさ重視ならインサート、操作性を求めるなら削り出し
どちらのタイプを選ぶかは好みの問題だが、自分のミスの傾向やストロークの強さは目安になる。
「人によって感じ方は違いますが、打感のソフトなインサートタイプは比較的転がらない感じがするので、強めに打っていける安心感があります。したがって、ショートのミスが多い人やしっかり打ちたい人に向いているといえます。これに対して削り出しパターは打感が硬い分だけ転がるイメージがあるので、打すぎを防ぎたい人やタッチを正確に合わせたい人に合います」
また、比較的やさしいのはインサートタイプで、削り出しパターは操作したい人に向いている。
「インサートタイプはフェースセンターに比重の軽い素材が入っているので、重量をトゥ・ヒールや後方に配分しやすく、慣性モーメントを大きくできます。したがって、多少芯を外しても転がりが強く、まっすぐ打ちやすいといえます。アイアンでいえばキャビティのようなものです。これに対して削り出しパターは、どこに当たったか手に伝わりやすく、操作性が高いという特徴があります。こちらはアイアンでいえばマッスルバックです。ただし、削り出しパターでもブレードの幅の広いものやマレット形状を選べば、ミスをカバーしてくれるので、削り出しだから難しいということはありません」
自分がストロークしやすければ、フェースの素材の違いは大した問題ではない。好きなパターを使うことでモチベーションが上がるならそれに越したことはない。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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