続・QP関雅史のギア分析!第15回・つかまるヘッドにつかまらないシャフトは合う?合わない?
2021.12.04
Q.ドライバーのヘッドとシャフトの相性に関する質問です。ショップのすすめで、球のつかまりがいいと言われているヘッドにつかまりすぎないと言われているシャフトを入れています。つかまりがよくて走るシャフトにしたらもっと飛ぶと思うのですが弊害はありますか?
A.基本的に、つかまりのいいヘッドにはつかまるシャフト、つまり先の動くシャフトをおすすめします。それは、両方がお互いのよさを引き出してくれるからです。
相性のよくないシャフトはヘッドのよさを帳消しにする
つかまりのいいヘッドにつかまらないシャフト、またはつかまりにくいヘッドにつかまるシャフトの組み合わせは一見、合理的に思える。つかまり過ぎてボールを左にひっかけたり、つかまえ切れずに右に押し出したりといったミスを防ぐことができそうな気がするからだ。
しかし、毎年多くのヘッドとシャフトを試打し、それらの特性に精通する関プロはNOと明言する。
「つかまりのいいヘッドにつかまらないシャフトを私は絶対におすすめしません。一番の理由はヘッドの長所をシャフトが消してしまうからです」
アマチュアにはつかまるヘッドにつかまるシャフトがおすすめ
ちなみに、自分のドライバーのヘッドのつかまりがいいかどうかは簡単に見分けることができる。平らな台の上にドライバーのシャフトとグリップの部分をのせてみよう。台からはみ出ているクラブヘッドのフェースの面は地面に対して垂直ではなく、斜め上を向くはずだ。この角度を重心角といい、重心角が大きいほど、フェースがターンしやすく、すなわちボールがつかまりやすい。ちなみに最近のドライバーの平均的な重心角は28度前後と言われており、これより角度が大きければつかまりやすいヘッドと言っていいだろう。
「重心角の大きなヘッドは、ヘッド自体がくるんと返ろうとします。これにつかまらないシャフトを入れると、ヘッドが返る動きを抑制してしまいます。左に動こうとしているものを右から引っ張っているのと同じですから、振り抜きが悪くなってしまうのです。したがって、たとえ曲がりが少なくなったとしても、ボールスピードが上がらないので、クラブ本来の飛距離性能も自分が持っているパフォーマンスも発揮できません。また、ドローでもフェードでも飛距離を出すにはボールをしっかりつかまえることが必要。したがってアマチュアには、なるべくつかまるヘッドとシャフトおすすめします」
性格の違うヘッドとシャフトは足を引っ張り合う
相性のよくない組み合わせは、飛距離ダウンだけでなく球がばらついてしまう可能性もあるという。
「ヘッドが動きたい方向と、シャフトが動きたい方向がばらばらだとクラブの挙動が安定しなくなって、かえって方向が定まらなくおそれもあります。また、うまく当たらなくなったときに、原因がヘッドにあるのかシャフトにあるのかもわかりづらいので、ヘッドとシャフトの組み合わせは、両方ともつかまりやすいタイプか、つかまりを抑えたタイプか、どちらかに統一した方がいいと思います」
つかまりのいいヘッドにつかまらないシャフトは、いわばプラスマイナスゼロの発想。飛距離アップしたいなら、プラスとプラスの発想が必要だ。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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