- 9月5日(土)
- バンカーでスタンスの場所を作り2罰打解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
全米女子オープン2026は創立100周年を迎えたリビエラCCで開催され、
過去最多となる23名の日本人選手が出場し話題にもなりました。
その大会3ラウンド目、9番ホールでイギリス出身のロッティー・ワード選手の
2打目がガードバンカーの法面にくい込んで止まり、
ワード選手がバンカーからプレーするまで10分にも及ぶルーリングになりました。
ワード選手はバンカー内の急傾斜部分に止まった球を打つために
何度もバンカー内にスタンスを取り直してはバンカーの外に出て、
その都度バンカーの側面の砂が落とされていきました。
そして、今度はキャディーがスタンス区域に入り、更にその部分の砂が落とされました。
すると、砂の中深くにあるネットがスタンス区域に出てきたため、ルーリングとなりました。
選手は立ち会った競技委員に罰なしの救済が認められるか質問したところ、
USGAの大会に適用されるローカルルールでバンカー内のネットは不可分と定められていたため、
救済は認められないと伝えられました。
またそれとは別に、USGAの競技委員会はビデオ判定も使いながらワード選手とそのキャディーが取ったバンカー内の行為が
規則8.1aの違反となる「スタンスを作った」ことになるのかを検証していました。
プレーヤーはスタンスをとるときに自分の両足をしっかり据えることが認められていますが、
スタンスをとる場所となる地面を変え、その地面を変えたことが意図するスタンス区域を改善した場合は
規則8.1aの違反となり一般の罰が課されます。
つまり、バンカーの側面の砂を落として水平な区域を作ったり、過度に足を潜り込ませる行為は
スタンスを作ることになるため、違反となります。
また、その地面の状態を元の状態に復元することを試みることによって罰を免れることはできません。(詳説8.1a/6)
ワード選手はビデオ判定がなされている事を知らずにプレーを続け、そのガードバンカーから1回で出すことができず、
2回目で脱出し、9番ホールのスコアはボギーの5で終えました。
しかし、委員会はその行為が違反であると裁定し、ワード選手が11番ホールプレーしている時に
9番ホールに一般の罰が課されることが競技委員によって伝えられました。
そのため、9番ホールのスコアはトリプルボギーの7に変更されました。
- 9月12日(土)
- 消されたマーカーのサイン解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
今年のJLPGAプロテスト1次の2ラウンドでの出来事です。
プレーヤーAは17ホール終了後に棄権しました。
そのため、プレーヤーAはプレーヤーBの17ホールのスコアをマーカーとして証明し、
そのスコアカードをプレーヤーCに渡しました。
CはBの18番ホールのスコアをマーカーとして証明し、スコアカードに署名して提出する予定でした。
なぜなら、ストロークプレーではマーカーの責任としてスコアカードのホールのスコアを証明しなければならず、
プレーヤーに複数のマーカーがいた場合、
各マーカーはマーカーをしていたホールのスコアを証明しなければならないからです。
このケースでは、Bのスコアカードのマーカーの欄に17ホールマーカーとしてスコアを証明した
Aの署名と18番ホールのスコアを証明するCの2人分の署名が必要でした。
しかし、アテストエリアでCは無意識にマーカー欄にあったAの署名を消しゴムで消して
自身の名前を書いてしまいルーリングとなりました。
本来ならば、プレーヤーAを探して新たにスコアを証明してもらわなければならないと思うかもしれませんが、
実はそうではありません。
2023年から、複数いるマーカー達の中の1人がそのプレーヤーの全てのホールを見ていた場合、
そのマーカーは全てのホールのスコアを証明することができるようになりました。(規則 3.3b(1))
そのため、このケースのCはBの全てのホールのスコアを証明することができるため、
消されたプレーヤーA の署名を再度もらいに行く必要はありません。
2023 年より前は、プレーヤーBがAのスコアの証明無く、
Cのみの証明でスコアカードを提出したら失格になっていました。
ちなみに、マーカーが責任を果たさない事がプレーヤーにとって不可抗力であった場合、
例えばマーカーがスコアカードを持ち去った、またはスコアカードを証明せずに立ち去ったなどの場合、
プレーヤーに罰はありません。(規則 3.3b(2)例外)
委員会は
そのプレーヤーのプレーを見ていたスコアラーや別のプレーヤーからスコアを証明してもらうことができます。
- 9月19日(土)
- パッティンググリーン上で拾い上げられたボールマーカー解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
今年のJLPGAプロテスト1次、2ラウンドでの出来事です。
2番グリーンでロングパットのラインを読むときに、あるプレーヤーはボールマーカーとして使用していた
押しマークが見えづらかったため、地面から少し浮かせて置いていました。
すると、共用のキャディーがそれを落とし物だと思い、
そのプレーヤーの押しマークを誤って拾い上げてしまいました。
2019年以降、パッティンググリーン上でボールマーカーや球を偶然に動かした場合、例えば、
パッティンググリーン上のボールマーカーや球を誤って蹴飛ばしてしまっても罰なしで、
そのボールマーカーを元の箇所に置くか球をリプレースしなければなりません。(規則13.1d)
しかし、落とし物だと思ってボールマーカーを拾い上げる行為も偶然の動きとして
罰なしかと思いきや、そうではありません。
その拾い上げる行為はどのような理由であれ偶然とはみなされないのです。
そのため、パッティンググリーン上でプレーヤーやそのキャディーによって球をリプレースする前に
ボールマーカーが拾い上げられたり、球をマークせずにその球が拾い上げられた場合は、
プレーヤーに1罰打が課されます。(規則9.7、規則14.1)
キャディーは選手に対して謝罪していましたが、何気なくとった行動がプレーヤーに
罰が課される結果となってしまったことがとても残念でした。
これを教訓にキャディーはグリーン上にある小さな人工物が落とし物だと思っても
確認するまでは拾い上げないようにしましょう。
プレーヤーがボールマーカーとして使用している可能性があります。
そして、プレーヤーもボールマーカーを拾い上げられないように気を付けましょう。
- 9月26日(土)
- 「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
ブリヂストンレディースを現地観戦していて疑問が生まれたので、教えてください。
マーカーについてです。
アマチュアのコンペと違って、自分がホールアウトしたらさっさと次のホールに移動するプロ選手が多いようですが、
それでどうやって同伴競技者のスコアを確認しているのでしょうか?
気になって観察してみたら、グリーンから離れた木陰で他のプレーヤーのパッティングを見ていたプロもいましたが、
多くはそそくさと次のホールに移動してしまい、その後、残った選手がショートパットを外す場面もありました。
多くのギャラリーが見ているから申告間違いはないだろうと思い込んでアテストしているのでしょうか?
次のホールのティーショット前にスコアを確認している様子もなかったのですが、
キャディーが何かの役割を果たしているのでしょうか?
アテスト会場は公開されていませんので、そんな場所ならではのエピソードなんかもあったら教えてください。
いつかはリスナーズコンペデビューしたい。
【解説】
ご質問者様、ご質問有難うございます。
マーカーの責任としてプレーヤーにホールのスコアを確認し、
そのグロススコアをスコアカードに記入するべきであることは、ご質問者様の仰る通りです。
TOTOクラシックでは阿蘇や私がスコアリングに入る機会があるのですが、
プレーヤーによってはキャディーがスコアカードにスコアを記入している選手もいました。
そのキャディーにラウンド中はスコアを書いてもらい、アテストエリアでホールのスコアの確認をプレーヤー同士が行い、
サインして提出するケースがあります。
キャディーが知っている事実はプレーヤーの認識に含まれているので
そのようなスコアの確認に違反はありません。(規則 10.3c)
プレーヤーはプレーファストを心掛けているため、すぐに次のホールに移動する習慣が身についているのかもしれません。
規則もプレーの進行を重視するため、ルーリングの際にマーカーの立ち合いを任意にしている部分があり、
マーカーの責任の重さは規則が改訂されるたびに軽くなっているように感じます。
しかし、マナーとして他のプレーヤーのプレーを見ることでスコアを確認したり、
球の捜索を一緒に手伝い規則の援助をすることはフェアで速やかなプレーに欠かせない行為だと思います。
私はそのような伝統が続くことを願っています。