楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年8月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年8月放送分

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8月6日(土)
プレーオフについて解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

毎週、1打を争う接戦が繰り広げられるトーナメント。
そんな中、3日間、或いは4日間戦っても優勝者が決まらない場合があります。
そんなときは、プレーオフが用いられます。

プレーオフは、首位に同スコアが複数人いた場合、1人の優勝者を決めるために行います。
通常、最終ラウンドが終了した直後に行われ、ほとんどのケースでは、
18番ホールを勝敗が決まるまで繰り返し行われます。

このプレーオフのルールは、通常のラウンドとかなり違います。
まず、ストロークプレーのプレーオフは最終ラウンドの延長ではなく、新しいラウンドです。(規則5.1)
それなので選手は時間が許される限り、練習場で練習することができます。(規則5.2b)

早くにホールアウトしたプレーオフ進出者が、最終組がプレーを終えるまで、
練習場で打てるのは新しいラウンドだからです。

またコーチがいれば、そのときにアドバイスを受けることができます。(規則10.2a)
最終ラウンドで使用したクラブと違うクラブを使いたければ、取り替えることも可能です。(規則4.1)

このように新しいラウンドは、ラウンド中と違って、これらの制約から解かれることを意味します。
またプレーオフでは、スコアカードがありません。(セクション5A(6))
更に、ホールアウトする必要もありません。

例えば、A選手が球をOBや池に入れて、明らかにB選手が勝つと分かったとき、
A選手は自分の球をピックアップしてコンシードすることができます。

万が一、プレーオフで失格になったとしても、
それはあくまでプレーオフのみの失格であり、大会の失格にはなりません。

つまり2人でプレーオフをして失格となった場合、その大会では2位となります。(セクション7A)
このようにプレーオフの特性を知って頂ければ、より楽しく観戦できるかと思います。

8月13日(土)
「教えて!Nory」雷によるプレー中断について解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

先日釣り好きの方と話をしていて「釣りは基本的に1人なので雷が鳴ったら
すぐに避難できるからいいけど、ゴルフは4人だから大変だよね~」と言われました。

確かに4人でのプレー中に自分以外のプレーヤーが「大丈夫、まだ出来る」と判断した場合や、
1人だけ中断した場合のアテストはどうなるのか、4人全員が中断したけど、
それ以外の組はプレーを続行していた場合の後続組との間隔など、雷で中断するにも様々な障害があるのではと思います。

プロの試合でそのような状況になったことはありますか?
その時の処置などを教えていただければ幸いです。



【解説】

ご質問有難うございます。
プレーの中断には2種類あり、その1つは雷など危険を伴う即時中断です。

即時中断のサイレンが鳴った場合、プレーヤーは皆、直ちにプレーを止めなければなりません。
サイレンが鳴ったのを知りながらプレーを続けると失格になってしまいます。(規則5.7b(1))
危険を知らせる中断なので、すぐに最寄りの売店や避難小屋に行き、再開のサイレンが鳴るまでそこで避難をしてください。

もう1つの中断は、危険を伴わない通常の中断です。

これは日没が迫っているときや、雨や霧でプレーが難しくなったときに用いられます。
通常の中断では、ホールのプレー中にサイレンが鳴った場合、
その場でプレーを止めるか、そのホールに限り、プレーを続けることができます。(規則5.7b(2))

こんなとき、プレーを止めるか続けるか、その組の全員の意見が一致すればよいのですが、そうならないケースもあります。

例えば、ひとりのプレーヤーはプレーを続けたいが、その組の他のプレーヤー達が
止めると言った場合ですが、そのプレーヤーはホールのプレーを続けることができます。


ただし、これには条件があり、そのプレーヤーのマーカーはそのホールをホールアウトするまで付き合わなければなりません。
もしマーカーが行かないと言ったら、そのプレーヤーもその場でプレーを止めなければなりません。
マーカー不在のままプレーを続けてしまうと、スコアカードは無効となり失格となります。(規則3.3b)

8月20日(土)
プレー中の用具の置き忘れについて解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

私もプライベートでラウンドをすることがありますが、
ほとんどの場合が、キャディーのいないセルフプレーです。
そんなプレー中に時々あるのが、前の組のクラブの置き忘れです。

ほとんどの場合、グリーン脇に置かれた状態で、
その都度、カートに乗って前の組にクラブを届けます。
これを予防するにはどうしたらよいかをお話したいと思います。

グリーンにあがるとき、ほとんどのプレーヤーは
クラブを数本持っているかと思います。
そして使わないクラブをグリーン脇に置きますが、
これをなるべく次のホールに行く動線上に置きましょう。


例えば、次のホールのティーがグリーンの右側にある場合は、グリーンの右側に置くということです。
これならば、次のホールへの移動中にクラブが目につき、置き忘れを防ぐことができます。

またパッティングを終えたとき、先にホールアウトした人から率先して、
自分のクラブのみならず、同伴プレーヤーの用具も拾ってあげましょう。


今の規則では、パターをする際に旗竿を取り除く必要がありません。(規則13.2a)
プライベートのラウンドでは、ほとんどの場合、旗竿をそのままにパットすると思うので、
その分、旗竿の抜き差しの手間が省けます。

それなので、ホールアウトした人からグリーン脇に置いてある
用具を拾い上げて、プレーが終わるのを待ちましょう。

またグリーンを離れるときは、一度、忘れものがないか
グリーンを見渡す習慣をつけると良いでしょう。

これらはプレーの進行にも役立つので、是非とも率先して下さい。(規則1.2a)

8月27日(土)
パッティンググリーン上のボールマーカーの上に止まった球解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

7月に開催されたPGAツアー、Genesis Scottish Openの初日に起こった珍事です。

16番パー5の4打目をグリーンサイドからアプローチしたザラトリスの球は、ホールを通り過ぎたあと、
同伴プレーヤーのフィッツパトリック選手のボールマーカーの真上にピタリと止まりました。

このボールマーカーは通常の小さな押しマークではなく、
ポーカーゲームで使う直径4㎝、厚さ3mmのポーカーチップでした。
つまり球は全く地面に触れていない状態で止まったのです。

この場合の処置ですが、まずプレーヤーのボールマーカーは動かせる障害物です。
それなので、パッティンググリーン上で球が動かせる障害物の上にある場合の救済が適用されます。

これは規則15.2a(3)に記載されており、そこには
「球を拾い上げて、その動かせる障害物を取り除き、球の止まっていた場所の
真下を基点に、元の球か別の球をプレースすることができる」
とあります。

今回の場合、ザラトリスは球の後ろにマークをして球を拾い上げることができます。
その後、球の止まっていた箇所の真下に球をプレースしてプレーを続けることができます。

当然、フィッツパトリックのボールマーカーがプレーの妨げになるので、
ボールマーカーは横にずらすことができます。(規則15.3c)

ここでのポイントは、リプレースではなく、プレースという言葉が使われているところです。
これは球が地面に触れていないからなのですが、プレースの場合、
実は球を拾い上げるときにマークをする必要がありません。

グリーン上でザラトリスがマークせずに球を拾い上げて、
球のあった箇所の真下に球を置いても罰はつかないということです。
また、プレースするときはその拾い上げた球でなく、別の球を使用することができます。

このようにプレースとリプレースは、わずかな言葉の違いでも、
規則上の扱いは大きく変わる
と知って頂ければと思います。

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