楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年5月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年5月放送分

Backnumber2022年5月 放送分

5月7日(土)
コースを綺麗に保つためのゴミについてのマナー解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

最近、ゴルフ場によっては、スタート時間の予約が全て埋まるほど混雑していると聞きました。
これも、近年のゴルフ人気だと思い、大変嬉しいニュースです。

しかし、人が増えればコースは傷みます。ゴミも増えます。
そこで大切なのが、今回のテーマでもあります、
綺麗にコースを保つための一人一人の心がけです。
特にゴミについてお話したいと思います。

私はツアーの競技委員をしていて、最終日以外の日は、
翌日のコースセッティングをするために最終組の後をついて、
ティーセットやホールロケーションの確認を行います。

その時に愕然とするのがティー面に放置されている折れたティーの残骸です。
時には飲みかけのペットボトルやタバコの吸い殻が放置されていることもあります。
そのため、私の仕事はゴミ拾いから始まります。

不要になったゴミは誰かが拾ってくれる、綺麗に片付けてくれると思うのではなく、
ゴミ箱が設置されている時は、ゴミ箱へ捨てましょう。
ゴミ箱が近くにない場合は持ち帰って、指定された場所に捨てましょう。

そうすることによって、コースをプレーする皆が気持ち良くラウンドすることが出来ます。

ゴミについて、もう一つ驚いたことがありました。
東京オリンピックの際、私はスコアラーとして会場にいました。

誰とは言いませんが、ある選手は自分が食べたバナナの皮を
フェアウェイから近いラフへ投げ捨てたり、
また違う選手はみかんを剥いた皮をラフに落としながら自分の球へ歩いて行ったりと、
カルチャーの違いはあるかもしれませんが、びっくりしました。

このような分離した自然物は規則上ルースインペディメントとして扱われ、
球が動いてしまうようでしたら、取り除くことは出来ません。(規則15.1b)

このように、ゴミがコースに残されてしまうと、
不快に思う方や人の迷惑になってしまうことがありますので、
個々が出したゴミは責任を持ってご自身で処分しましょう。

5月14日(土)
持っていた球を全て使いきってしまった解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

米シニアツアー、今年の3月4日から6日に開催されたホーグクラシックで起きた珍事です。

大会2日目、インコーススタートしたある選手は、4番ホール(彼の13番ホール)で球を2回池に入れてしまい、
この時点で、彼は持っていた球を全て使いきってしまいました。

その選手とは、ホーググラシックの会場である、カリフォルニア州、
ニューポートビーチCCのティーチングプロ、リック・ガルボスキー選手です。

本人いわく、元々、キャディーバッグを軽くするために球を少なく持って出た事と、
試合観戦している子供たちに球をあげてしまった事が球切れになってしまった要因だそうです。

ガルボスキー選手は地元のプロゴルファーということもあり、
最後までラウンドを終えることを希望します。
そこで、競技委員に球を借りて4番ホールをホールアウトします。

実は、シニアツアーはローカルルールでワンボールルール(G-4)を採用しています。
ワンボールルールとは、適合球リストに掲載されている1種類の球を使うことをプレーヤーに求めるルールです。

それは、プレーヤーがそのホールの特徴やラウンド中にプレーするショットに応じて
異なるプレー特性を持つ球を使うことを防ぐためです。

彼はホールの途中でこのローカルルールに違反したため、4番ホールは一般の罰を受けます。

もしそのまま次のティーイングエリアから彼がラウンドをスタートした時と
異なる球でホールをスタートしてしまうと、競技失格になってしまいます。

彼は不当の遅延(規則5.6a)の1罰打を受け入れ、ロッカールームにある
彼の球(ラウンドスタート時と同一ブランド&モデル)が届くのを待ちます。

競技委員は、同じ組でプレーしていた他のプレーヤー達には先に進んでもらい、
ガルボスキー選手を後続組と一緒にプレーしてもらうことにしました。(規則5.4b)

彼は最終的には80ストロークでしたが、無事ラウンドを終えることが出来ました。
同組で回っていたマーク・カルカベキアはTwitterで、41年のプロ人生で
初めてこのようなことに遭遇したと同情しながらも笑ってこの珍事をツイートしていました。

実は、JLPGAツアーでもこのようなことは稀に起きます。
私自身、ステップアップツアー、ANAプリンセスカップでこのルーリングに立ち会った事があります。

JLPGAツアーはワンボールルールを採用していませんので、
選手は別の選手から球を借りてプレーすることになりました。


皆さんはこのような事がないように、
充分な数の球を持ってからラウンドしましょう。

5月21日(土)
「教えて!Nory」バンカーレーキで止まったボール解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

芝が薄く、バンカーへ急こう配なバンカーエッジに
外置きされたレーキに寄り添って止まってしまったボール。
レーキをどかすと転がって落ちてしまいます。リプレースしても止まりません。
この場合の、正しい処理方法を教えてください。



【解説】

ご質問ありがとうございます。
バンカーの外に置かれたバンカーレーキに寄りかかって
止まった球の処置は、ツアーでもよくあるルーリングです。

質問者様のケースのように、
「バンカーレーキを取り除き、球をリプレースしても止まらない」
というところから処置の説明を始めます。

一度リプレースしても球が止まらない場合は、
もう一度リプレースを試みなければなりません。

それでも止まらない場合は、その球が止まる最も近い箇所に
その球を置くことによってリプレースしなければなりません。(規則14.2e)

しかし、今回のケースは次の2つの制限があります。
まず、その箇所はホールに近づいてはなりません。
次に、このケースでは元の箇所がジェネラルエリアだったので、
最も近い箇所はジェネラルエリアでなければなりません。

従って、芝が薄く、バンカーへ急勾配な場所では、
もしかしたら、元の箇所から最も近くて球が止まるジェネラルエリアは、
平らで打ちやすい箇所になるかもしれません。


JLPGAツアーではこのような事が起きないように、
バンカーレーキはバンカーの外に置くことはもちろんのこと、
急勾配なところに置かれたバンカーレーキは球を止めてしまう
可能性があるため、置かないようにしています。

バンカーレーキの置き方に関して、ゴルフ規則のオフィシャルガイドに
ちゃんと記載されており、規定はないものの、
バンカーレーキはバンカーの外で球の動きに最も影響を
及ばさないと思われる場所に置くことを推奨しています。
(一般的なプレー2D)

余談になりますが、シカゴ郊外にあるゴルフ場に
Rich Harvest Farmsというとても綺麗な難しいコースがあります。

2009年のSolheim Cupの舞台にもなりました。
Jerry Richさんという方がデザインして、オーナーでもあるのですが、
コースに置かれたバンカーレーキは彼の美的観点から、
地下に埋められており、地面にあるボタンを押すと地上に出てきます。

私は未だかつて、このコース以外このようなバンカーレーキの収納方法を見たことはありません。
このようなコースでしたら今回のご質問にあった問題は起きませんね。

5月28日(土)
ジェネラルエリアにある球のアンプレヤブルの処置解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ジェネラルエリアにある球のアンプレヤブルの処置について、
マスターズチャンピオン、スコッティ・シェフラー選手の3日目
18番ホールの処置を例に解説します。

多くのリスナーの皆さんもテレビでご覧になっていたかと思います。
シェフラー選手はマスターズ3日目、2位に4打差をつけて18番ホールに入りました。

彼のティーショットは左に飛び、距離もあまり出ない内に
木に当たり、林の中に入ってしまいました。

その林の中で見つけた球を、彼は競技委員立ち合いの元、
自分の球である事を確認する為に、マークをして拾い上げます。(規則7.3)

そして、自分の球である事を確認しました。
そこで初めて、彼はアンプレヤブルの処置をする事を決めます。

まずシェフラー選手のように、ジェネラルエリアにある球に対する
アンプレヤブルの処置は3つの選択肢があります。


そのうちの2つ、ラテラル救済と後方線の救済を受ける為には、
自分の元の球が見つからなくてはなりません。(規則19.2)
それは、救済の基点がその球だからです。

残りの1つの救済の選択肢、ストロークと距離の罰に基づく救済は、
1罰打の元、例え元の球が見つからなかったとしても受けることができます。

彼はラテラル救済を受ける事を決め、球をドロップする前に、
ホールに近づかない、球から2クラブレングス以内の救済エリア内にある、
ルースインペディメントを取り除きます。(規則15.1a/3)

また、木の根っこがその救済エリア内にあり、
ティーのようなもので確認する場面もありました。(8.1a/7)
この行為は全て規則で認められています。

その後、彼は元の球あるいは別の球を救済エリア内にドロップし、
救済エリアの外に球が止まったので、2回目のドロップをして、
それでも救済エリアの外に球が止まったので2回目にドロップをしたときに
その球が最初に地面に触れた箇所に球をプレースしました。(規則14.3c(2))

そこから、255ヤードを3番アイアンでグリーンオーバーし、
ボギーでホールアウトします。最終的には10アンダーで優勝しました。

彼のアンプレヤブルの処置は、皆さんがプレーする時にも
役立つと思いますので覚えていただけると良いと思います。

Recommend Contentsオススメのコンテンツ

キャンペーン・特集一覧