楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2021年11月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2021年11月放送分

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11月6日(土)
正直者ビクトル・ホブランドの自己申告解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年の3月に開催されたPGAツアー「Players'Championship」で起きた事件です。

ビクトル・ホブランド選手は15番パッティンググリーン上で
別のプレーヤーのプレーの障害となる自らのボールマーカーをパターヘッド分、動かしました。
動かしたボールマーカーを正しく戻したと思い込み、
彼はその日2アンダー70でホールアウトします。

ところが、
彼はラウンド後、母親から15番ホールの間違いを指摘され、
自ら競技委員会に申告します。


ビデオで確認すると、母親の言う通り、ビクトル・ホブランド選手は
動かしたボールマーカーを元の位置に戻したのではなく、さらに反対側に動かしてプレーしていました。
誤所のプレーで2罰打となり、スコアは72に変更されました。

彼は自らの間違いに気づいておらず、
過少申告をしてスコアカードを提出しています。

このケースは以前でしたら4罰打もしくは失格となる時代もありましたが、
今の規則では、知らなかった罰を含めず過少申告してしまった場合は、
含めるべきであった罰打を加えて、そのホールのスコアを修正すればオッケーになりました。


オリンピックの際、スコアラーとして彼の組と一緒にラウンドする機会がありました。
彼はとても礼儀正しく、感謝の言葉をかけてくれました。
正直であることと礼儀を重んじるゴルフに相応しいプレーヤーであると確信しています。
彼の実力に伴った人気には納得しました。

11月13日(土)
「教えて!Nory」プロの試合における暫定球や誤球の罰則について解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

おはようございます。
今年の日本シニアオープンでスメイル選手が誤球しました。

原因は前の組の暫定球が拾われずに残っていたため、それを誤って打ってしまったとのことでした。
プロの試合では暫定球は拾わないものですか?
そのままにした選手には罰則はないのでしょうか?



【経緯】

15番で飯島弘明は霧が晴れない中でドライバーショットした。
すぐに霧に飲み込まれて見えなくなったが手応えとして右にプッシュアウトしたので、念のため暫定球を打った。
右斜面を上がった林の中にボールを見つけ、木の間を抜いてグリーンオンさせた。
飯島の後の組のデービッド・スメイルがフェアウェイにあったボールを打ったが、それは飯島が打った暫定球だった。
スメイルのボールはラフにあった。誤球で2ペナとなったスメイル。



【解説】

ご質問ありがとうございます。私はこの事例は知らなかったのですが、調べてみましたら、
前の組の選手の暫定球はフェアウェイにあり、スメイル選手は誤って
自分の球ではないその球にストロークを行ってしまった
のですね。

プロの試合やどのレベルの試合でも暫定球がインプレーにならない場合は、
エチケットとしてその球を拾い上げることにより、
この事例のようなことが起きないように未然に防ぐことが大事
だと思います。

しかし、ゴルフの規則としては、インプレーにならなかった暫定球を
そのままコースに遺棄することに対して罰則はありません。

むしろ、ストロークを行う選手に対して自分の球を確認してプレーすることを求めており、
それを怠り誤球をプレーしてしまうと一般の罰(2罰打)がついてしまいます。

誤球はゴルフの規則の中でも大変重たい罰であり、
誤球をプレーした選手はその誤りを訂正しなければなりません。

そのままホールアウトして次のホールのティーショットを打ってしまうと失格になってしまいますので、
必ず自分の球かを確認してから打つようにして下さい。

そこで、ゴルフ規則は自分の球だとわかるように
識別マークを付けるべきであると強く推奨しているのですが、
タケさんはどのような識別マークをつけていらっしゃいますか?

もしコースでそのような球を見つけたらタケさんの球だ!
と思ってお守りにしたいと思います。

11月20日(土)
外的影響が動かした球解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

石川県の試合の際、競技委員のレシーバーで熊が出ましたと言われ、
本当はいけないのですが、こっそり見に行った経験があります。

熊に見えた動物は実はニホンカモシカだったと言うオチなのですが、
自然を相手のスポーツならではの珍事件でした。

同じトーナメントで動物にまつわるお話で、
狐が球を持ち去ってしまったと言うルーリングがありました。
この場合、外的影響が球を動かしたということなので、
無罰で元の箇所にその球か別の球をリプレースすると言うことになります。

外的影響とはプレーヤーの球、用具、コースに起きることに影響を及ぼす可能性のある人や物のことで、
プレーヤーやそのキャディーを除く全ての人、動物、自然物、人工物や他の物(動いている別の球)のこと

を言います。

但し、自然の力、例えば風や重力は除きます。こちらのルールはずっと変わっておらず、
外的影響と言う用語、英語ではOutside Influence、だけは新しくなっています。
以前は局外者と言う言葉が使われていました。

外的影響とはプレーヤーにとって不可抗力であり、無罰であることが妥当
であるため、無罰であると考えられます。

以前の規則では、元のライがわからない場合はドロップをする処置でしたが、
今は全てリプレースとなりました。元のライがわからない場合は推定しなければなりません。

この変更はルールをシンプルにするためだと考えられます。
以前はライがわかればリプレース、わからなければドロップだったのですが、そこを統一しました。
間違えないためにはとても良いことだと思います。

よくトーナメントで起こるのは、今では無観客の試合が多いため少なくなりましたが、
ギャラリーさんが偶然に選手の球に触れる、動かしてしまうことです。
もしくは今年もありました、TVクルーのカートがプレーヤーの球を動かしてしまうなど、
これは全て外的影響です。

無罰で元の箇所に戻せば良い話なのですが、
ライが変えられてしまった場合はどうでしょうか?
砂の中以外の場所にある球の場合は、ホールに近づかないオリジナルのライに
最も似ていて最も近い1クラブレングス以内にリプレースになります。
砂の中の球の場合はライを復元してリプレースしなければなりません。

トーナメント観戦をされる場合は遺棄された球であっても
安易に拾い上げたり動かすことはやめましょう。

11月27日(土)
2019年ロリー・マキロイ砂に触れて2罰打?解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2019年ルール改正のあった年はルールに関わる色々な事件がありました。
その中の一つの事例です。

2019年、ノーザントラスト14番ホール、パー3でマキロイ選手の球はバンカーの中に止まります。
バンカーの中にあり、球の近くにあった固まりが、砂なのか、小石なのか確認のためにその物体に触れます。
触れた瞬間、砂の固まりである可能性が高いので、取り除いたり拾いあげたりすることなく指を離しました。

この行為について、
バンカー内の砂に触れたことに対する2罰打が課されるのか否か、当時話題になりました。
裁定は無罰となり、大きな衝撃を受けたことを記憶しています。

そもそも2019年のルール改定後、コース上や外のどのエリアでも
ルースインペディメント(分離した自然物、例えば枯葉や石)を罰なしに取り除けるようになりました。

それはバンカーの中でも適用され、ルースインペディメントを取り除くため、
バンカーの砂に合理的に触れること、またはその砂を動かすことも含まれます。

ただし、合理的と書いてある以上、できるだけ控えめであることを規則は求めています。
その一方で、バンカー内の砂に触れることに対する厳しい制限があり、
安易に砂に触れてしまうと、砂の状態のテストをしたとみなされかねませんので気を付けて下さい。

マキロイのケースですが、彼はライの改善をしたわけでも、
砂の状態をテストしたわけでもありませんでした。
したがって、この行為によって利益を得たと言えず、
無罰が妥当であると裁定されました。

ただし、もし彼が少しでもその砂の固まりを壊していたら2罰打だった事でしょう。
私もバンカー内の小石らしき物の取り除きにルーリングとして呼ばれたことが多数あります。

その時にいつも言うのは、
「小石でしたら無罰で取り除けますが、
砂の固まりでしたら2罰打になりますので、ご注意下さい」

ということです。

マキロイ選手のケースから学べることは、
確認と言えどもバンカー内の全ての物に触れる事が許されるわけでは無いので、
細心の注意が必要だと言うことです。

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