続・QP関雅史のギア分析!第16回・セットものと単品、やさしいピッチングウェッジはどちら?
2021.12.04
Q.ピッチングウェッジは普通にアイアンセットのものを使っていますが、シングルの知人は単品売りのピッチングウェッジを使っています。その知人から使ってみるように勧められたのですが、単品のウェッジにはどういうメリットがありますか? 上級者が使うイメージがありますが難しくはないですか?
A.単品売りのピッチングウェッジを使うメリットはコントロールショットがやさしくなることです。ただし、フルショットの飛距離がセットもののピッチングウェッジよりも少し落ちるので、ピッチングウェッジでも飛ばしたい人にとっては難しく感じるかもしれません。
同じピッチングウェッジでもねらいが違う
まず、アイアンセットのウェッジと単品売りのウェッジの違いについて、クラブの機能に詳しい関雅史プロに教えてもらった。
「一言でいえば、アイアンはフルショットのためのクラブで、ウェッジはコントロールショットのためのクラブという違いがあります。使う人や打ち方によって、それぞれメリットとデメリットがあるので、目的に応じて選びましょう」
両方を並べてかまえてみると同じピッチングウェッジでも何となく顔が違うことに気がつくはずだ。
「最近のアイアンは飛距離が出るように作られています。セットの中のピッチングウェッジも上の番手と同じ流れで作られているので、基本的に飛びそうな顔をしています。それにも関わらずロフトは寝ているので飛ばないようにも見えます。距離を正確にコントロールしたい上級者ほど違和感を感じるのはそのためです。一方、単品売りのピッチングウェッジは、サンドウェッジやアプローチウェッジと同じ顔です。コントロールしたい人にはアドレスしやすく、フルショットを打つ時にもアプローチ感覚でやさしく球を運べるイメージがあります」
単品ウェッジはスピンがかかりやすい
もう一つの大きな違いはスピン量と飛距離だ。たとえ、同じロフトでも飛距離が違うので、セットもののウェッジから単品売りのウェッジに替えるときには気をつけなければいけない。
「同じロフトでも少し飛ばなくなります。それはスピン量が増えるからです。フルショットで同じ距離を打ちたければ、ロフトの立っているものを選んだり、ショップでロフトを立てもらう必要があるかもしれません。ただし、スピンが増えて飛ばなくなることは、大きなメリットでもあります。ピッチングウェッジのフルショットの距離をねらったところにぴたりと止められるようになれば、ティショットやセカンドショットをその距離に刻むなど、コース攻略の幅が広がってスコアアップが期待できます」
ロフトバリエーションが多いことも単品ウェッジの魅力だ。
「セットのウェッジは基本的にロフトを選ぶことができません。しかし、単品売りのウェッジならロフトが2度刻みで用意されているものも多く、自分の打ちたい距離にぴったり合わせることができます。また、グリーン周りのコントロールショットが苦手な人は、ピッチングウェッジを2本入れるのもおすすめです。その分だけフルショットでねらえる機会が増えるのでパーチャンスやバーディチャンスを多く作ることができます」
スコアに直結するのがグリーン周り。そろそろセットもののピッチングウェッジから卒業して、アプローチのレベルアップを図ってみてはいかがだろう。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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