- 2月1日(土)
- 「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
昨年の7月に知り合いのコンペに参加した時のことです。
その日は朝から雨が強かったり、弱かったりで、コースの状態が悪く、
水溜まりが出来ていたホールもありました。
あるホールで、グリーン近くのバンカーに入れてしまったところ、
ボールは水溜まりに入っていました。
私はルールがわからず、あるがままでプレーして脱出に手間取り、
このホールはパー4で10打を叩いてしまいました。
そこで質問ですが、バンカー内の水溜まりに入ってしまった場合は、
救済とかあるのでしょうか?
【解説】
ご質問者様、ご質問有難うございました。
水溜まりは一時的な水であり、異常なコース状態のひとつなので罰なしで救済が受けられます。
この場合、そのバンカー内の水溜まりのない箇所に球をドロップすればよいのですが、
手順としては、まずドロップする救済エリアを定めるために、完全な救済のニヤレストポイントを決めます。
その基点は、バンカー内で球と意図するスタンスとスイングの3つすべてが水溜まりから避けられ、
且つ、元の球よりホールに近づかない箇所です。
その基点からバンカー内でホールに近づかないワンクラブレングス以内が救済エリアとなります。
拾い上げた球はタオルなどで拭いてから救済エリアにドロップすることができますし、
別の球をドロップすることもできます。
今後に活用して頂ければ幸いです。
- 2月8日(土)
- 7罰打を自己申告しながらも3位フィニッシュ解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2024年12月にオーストラリアで開催されたビクトリアンPGA選手権で、
アンソニー・クエイル選手が1ラウンド目に7罰打を課されてしまいました。
この大会では、13番ホールの青線で囲まれた一部でプリファードライの救済を認める追加ローカルルールが出ていたのですが、
クエイルは18ホール全てにプリファードライの救済ができると思い、
その誤りを15番ホールで同伴プレーヤーに指摘されるまで気づきませんでした。
インスタートだったクエイルは、その場でレフェリーを要請し、
そこまで4回誤ってプリファードライの処置をしてしまったと申告。
そのうち、1回は球のあった元の箇所にリプレースしてプレーをし、
3回は球のあった箇所から少し離れた位置にプレースしてプレーをしました。
これによりプリファードライの救済が認められていないフェアウェイで球を拾い上げたので、
1罰打を受けます。(規則9.4b)
それを元の位置にリプレースしてプレーすればその1罰打で済みますが、
違う場所にプレースしてプレーした場合は規則9.4に違反して誤所からのプレーで2罰打となります。
その結果、インプレ―の球を拾い上げて元の箇所にリプレースした1罰打と
3度違う箇所にプレースした6罰打で合計7罰打を課しました。
そんな厳しいスタートだったにも関わらず、クエイル選手はめげずにプレーを続け、大会を3位でフィニッシュしました。
しかしこの違反がなければ優勝できたと思うとやはり大きな痛手でした。
クエイルは、「追加ローカルルールをちゃんと読まなかった自分に責任がある」とコメントしましたが、
プリファードライが出たときは18ホール全てとは限らず、
数ホール限定の場合もあれば、1ホールのごく一部分のときもあるので、
しっかり読んでからスタートしましょう。
- 2月15日(土)
- ローカルルールひな型G-9の変更解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2024年8月、コロラド州で開催されたBMWチャンピオンシップの最終日。
マット・フィッツパトリック選手は使用しているドライバーのフェースに僅かな亀裂があることに気づき、
8番ティーでルーリングを要請しました。
プレーヤーは他のドライバーに取り替えることができると期待したのですが、
立ち会ったレフェリーは「確かに亀裂は確認できるが、取り替えが認められるほど著しい損傷ではない」と裁定し、
このドライバーで残りのホールでプレーを続けるか、修理のみが認められると伝えました。
さすがに修理はできないので、亀裂の入ったドライバーで打つか、
スプーンなどのクラブで代用するしかなくなったプレーヤーは、抗議の意味も込めてドライバーでティーショットをしました。
案の定、打った球は本来の球筋とは程遠く、飛距離も全く出ていませんでした。
そしてレフェリーに、「こんなティーショットしか打てないクラブのどこが認められないのだ」と抗議したのでした。
そんな事例があり、R&AとUSGAは2025年1月1日にゴルフ規則に新たな詳説を追加しました。
これは従来のローカルルールひな型G-9の「壊れた、または著しく損傷したクラブの取り替え」に置き替わり内容を緩和したもので、
これまで取り替えが認められなかったクラブヘッドやクラブフェースの目に見える亀裂は、
著しい損傷として取り替えを認めることにしました。
他にも、クラブヘッド内部のカタカタ音やシャフトに凹みや捻じれがある場合も、
取り替えを認めることになりました。
因みに取り替えるクラブは、損傷してプレーから除外するものと類似のクラブでなければなりません。
つまりドライバーが損傷して取り替えたい場合は、別のドライバーでなければならないということです。
- 2月22日(土)
- 組でプレーすること解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
数年前のクオリファイイングトーナメントで起こった出来事です。
2ラウンド目のスタート直前に、ツーサムの組のプレーヤーAが、
1ラウンド目での自身の処置について疑問があったので競技委員に質問しました。
事情を聞いたところ、Aは誤球をプレーして正しく処置をしなかったことで、その場で失格となってしまいました。
急遽、2ラウンドに進むことができなくなり、同伴プレーヤーだったはずのBは一人でプレーすることになりました。
するとスコアカードのマーカー役がいないので、事務局のスタッフに帯同してもらうことになりました。
しかしこの人は集計所を担当するため、後半のハーフは付いていけません。
そこで委員会は、ハーフターンでその前の組のスリーサムから一人移ってもらうようにお願いしました。
前の組のプレーヤーに事情を説明し、快諾してもらうと、
後半は両組ともツーサムとなり、プレーヤー同士でマーカーとなることができました。
このようにラウンドの途中で組を変えたケースは初めてでした。
本来であれば、プレーヤーはラウンド中に委員会が設定した組を変えることはできません。(規則 5.4b)
もしプレーヤーが正当な理由なく勝手にペアリングの組を変えてプレーした場合、
委員会がその変更を承認する場合を除き、規則5.4の違反で失格となります。
また委員会も特別な事情なく、ラウンド中に組を変えることはしません。
しかしこの時はスタート直前に失格者が出てしまい、
競技運営やプレーのペースなどの諸事情を鑑みてハーフで組を変えた稀なケースでした。