楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2024年1月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2024年1月放送分

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1月6日(土)
コリン・モリカワ選手が手書きメモで2罰打(G-11)解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2024年からJLPGAも採用するローカルルールG-11ですが、
コリン・モリカワ選手がこのG-11の違反で
昨年ヒーローワールドチャンピオンシップの最終日のスタート前に
2罰打課されたことがニュースになりました。

ローカルルールG-11とは、
ヤーデージブックなどのグリーンリーディング資料の使用を制限するローカルルールです。

プレーヤーとキャディーがパッティンググリーン上でプレーの線を読む支援のために
自分たちの目と判断力だけを使うことを確実にするために、
委員会が承認したヤーデージブックやホールロケーションシート、
コースマップのみ使用することができます。


これまでのヤーデージブックは
パッティンググリーンに細かく傾斜の斜度と矢印が記されており、
数字に頼ったゴルフスタイルを支持するものでした。

委員会が承認するG-11適用のヤーデージブックのパッティンググリーンの図は
ほぼ真っ白になり、著しい傾斜の矢印のみ含まれています。

また、プレーヤーとキャディーがそこに書き込める内容も制限され、
傾斜器やスティンプメーターなどの器具を使用して得た
コース上のパッティンググリーンの数値を書き込むことができません。
あくまでもプレーヤー自身が練習ラウンドなどで経験や目にした情報のみ書き入れることができます。

コリン・モリカワ選手のキャディーは
トーナメントで使用されるコースのパッティンググリーンではなく、
指定練習グリーンの傾斜を計測器で測り、その数値をヤーデージボックに書き込みました。

ここまでは違反にはなりませんが、
その数値を大会の4番グリーンでプレーの線を読む支援として使用したことが
ローカルルールG-11の違反になりました。
このローカルルールの違反は1回目が2罰打で2回目の違反は失格になります。

このようなローカルルールを採用することによって
世界の競技ゴルフはパッティンググリーンのプレーの線を読むことにおいて、
プレーヤーの感覚や想像力によってゲームの挑戦を克服することを求めています。


私達もその流れに足並みをそろえ、世界で活躍する日本人選手を楽しみにしています。

1月13日(土)
「教えて!Nory」左右の打ち替えとニヤレスポイント解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

先日のラウンドで実際にあった処置の件です。
カート道路の左側にフェンスが続き、フェンスの内側にOBラインがあります。

友人のティーショットは左に引っかけて
カート道路からそれてフェンスとカート道路の僅かな隙間に止まりました。
止まったところはOBラインの内側でセーフですが、
OBラインの外側にフェンスがあって、右打ちの友人はスタンスが取れません。

そこで考えた結果、左打ちで打ちますと宣言し、
その際にカート道路に足がかかるので救済をすることにしました。
まずこの処置は可能だと思いプレーを続けました。

次に、ニアレスポイントを決める際にカート道路右側のエリアになりますが
その時は左で打つと宣言したので左打ちでニアレスポイントを決めるのか、
それとも本来の右打ちでニアレスポイントを決めるのかで悩みました。

カート道路右側にも木があり
ニアレスポイントの位置によっては有利になるのでとても慎重になりましたが、
結局は本来右打ちの友人は右打ちでニアレスポイントを決めて処置をしました。

上記二つの処置について正しかったか教えてください。



【解説】

ご質問ありがとうございます!

まず、ご友人がインバウンズにある球をプレーするためには
本来の右打ちだとアウトオブバウンズにあるフェンスが障害になりスタンスが取れず、
左打ちなら打てる状況だったと理解しました。

このような状況では左打ちが合理的なため、
左打ちで障害になるカート道路からの救済は認められます。(規則16.1a(3)/1)

そして、完全な救済のニヤレストポイントの取り方ですが、
左打ちで決定する必要があり、球がある箇所からプレーするために使用していたはずの
クラブ、スタンス、スイング、そしてプレーの線を考慮します。

なぜなら、カート道路の障害が生じているのは左打ちのプレーであり、
救済が完了するまではその打ち方で障害がないところに球をドロップする必要があるからです。


球をドロップして正しくインプレーにした後は、特に左打ちをする必要がない場合は
通常の右打ちでその球をあるがままにプレーすることができますし、
もしカート道路が右打ちのスイングで障害になる場合は、新たに救済をすることもできます。
(完全な救済のニヤレストポイント/3)

1月20日(土)
競技終了後の失格解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年のQTファイナルステージ、ルーキーの菅 楓華(すが ふうか)選手が
競技終了後に失格になったことがニュースになり、記憶に新しいと思います。

菅選手は4ラウンド後(12月1日)のインタビューで
11番ホールはボギー(5)、14番ホールと15番ホールは連続バーディー(3)(2)と話していたところ、
提出されたスコアカードの11番ホールはパー(4)、14番ホールもパー(4)となっていたことから問題が発覚しました。

通常、競技が終了した後は罰を追加したり、訂正してはなりません。

しかし、規則20.2e(2)に基づき、競技が終了した後であっても、プレーヤーが、
1ホールでも実際のスコアより少ないスコアを提出した場合には
そのプレーヤーを失格としなければなりません。

ただし、その問題のホールで罰を受けていたことを
競技が終了する前には知らなかった1打または複数の罰打を含めなかったことが
その少ないスコアの理由であるときを除きます。
(規則3.3b(3)参照)

14番ホールは実際のホールのスコア(3)よりも多いスコア(4)を提出していたため、
提出された多いスコア(4)が有効となり、競技終了前後にかかわらずスコアの訂正はできません。

問題は11番ホールです。
11番ホールは、実際のスコアの2オン3パットによる5よりも少ないスコア4が提出されていました。
失格を免れる例外的な理由には該当しないため失格となりました。(規則3.3b(3))

事情聴取をした際の菅選手は冷静でとても正直でした。
このケースは2ホールスコア誤記があり、
トータルが本人の思っていたスコアと合ってしまっていたことが
気づかなかった最大の原因だと思います。

プレーヤーの責任はホール・バイ・ホールのスコアであり、
トータルではないので今後は慎重に確認すると思います。
(規則3.3b(2))

彼女のQTランキングは104位になってしまいましたが、
ルーキーの彼女はステップアップツアーには出場できますし、
レギュラーツアーでも推薦される可能性があります。
活躍する場所はありますので頑張って欲しいと思います。

1月27日(土)
プレーの障害となる球解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

昨年のUSLPGAツアーTOTOジャパンクラシックのアテストエリアでの出来事です。

この試合では阿蘇さんと一緒にレフェリーとしてフィールドにいるのですが、
プレーヤーがラウンドを終えるころにはアテストエリアのスコア集計に入ります。
アテストエリアでは選手のスコアを扱うため緊張します。

ときには規則の適用方法を確認されることもあり、
その内容によっては選手に罰を課したり、
中には失格にしなければならないこともあるのでさらに緊張します。

私はトーナメント最終日、9番ホール終わりの組を担当していたのですが、
ある組の2人の外国人選手が日本人選手に対して
「9番ホールのセカンドショットで貴方はプレーの障害となる球を拾い上げたときに、
その球を自分のポケットに入れましたか」と質問しました。
英語で話していたため、私が通訳すると、彼女は「ポケットに入れました」と答えました。

そもそも、プレーの障害となる球を拾い上げたときは
その球を拭いて綺麗にすることは認められません。
(規則14.1c)
そのため、ほとんどの選手はそのような状況では
その球を地面に置いたり球を指で挟んで気をつけて持っていたりします。

プレーヤーが球を拭くことが認められていないのにその球を拭いたり、
球をポケットに入れるなどの拭いたとみなされる行為を行った場合は1罰打が課されます。
しかし、例外的に拾い上げられた球が最初から綺麗だった場合は、
たとえその球をポケットに入れたとしても罰にはなりません。


そこで、私は彼女に、「その球は拾い上げる前から綺麗な状態だったのでしょうか?」と尋ねたところ、
そうだと答えがありましたのでその行為は無罰と裁定しました。(解釈14.1c/1)

そのことを外国人選手2人に規則書を見せながら説明したところ
「知らなかった」と驚いていました。

その2人の外国人選手がアテストエリアを出た後、
日本人選手は「あの2人は意地悪だと思う」というコメントをしたので、
私は、「あの2人は正しく抗議しています。拾い上げたその球が
本当に最初から綺麗であったかどうかは本人にしかわからないため、
今後はこのようにクレームされないように疑わしい行為は避けましょう」とお伝えしました。

皆さんは球が最初から綺麗だとわかっていても慎重な行動をとりましょう。

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