桐林宏光の「メンタル強化術」第12回~絶対に入れたくない池を避けられるゴルフ脳の鍛え方
あの池は避けなくちゃ、左はOBだから気をつけよう……と思っていると、必ずそこへ飛んでしまう。「避けたいハザードには必ず入る」というのは、“ゴルファーあるある”のひとつといえるだろう。
スポーツメンタルトレーニング指導士の桐林宏光プロは、『池は嫌だな』と思った時点で、意識は池に向いています。入れたくないと思えば思うほど、頭の中は池のことでいっぱいになっていく。『池に気をつけよう、池を避けよう』と思った瞬間から、池にとらわれているのです」という。池が目に入ったら、気にせずにはいられない。
だが、「入れたくない」「避けよう」と意識することなく、池などのハザードを避けられるメンタル術があるという。桐林プロに教えてもらった。
ボールの落としどころに意識を集中する
池はイヤだ、池に気をつけよう、池ポチャしませんように……と、避けたいハザードのことばかりを考えるのは、池に集中力を注いでいるようなもの。
「意識を集中させたところにボールが飛ぶのは当然のことです。思っただけでも意識が向くのに、『この前もあの池に入れたなあ』などと口に出すと、ますます意識が池に固定されます。言葉に出すというのは、それだけ強い力があるんです。池に入れたくないなら、意識を池からそらすことが必須。意識の中から池を消しましょう。コツは『自分はここにボールを運びたい』と、狙いどころに集中することです」
意識を集中した場所にボールは飛んでいく。
それなら、行ってほしくない場所へ意識を向けるのではなく、「フェアウェイのセンターにボールを飛ばす」など、狙いたい場所へ意識を集中すればいいというわけだ。
「例えば、大勢の人がいる中で好きな人を見つけたら、そこだけスポットが当たったように感じませんか。ほかに誰がいても目に入らない。風景として見えているけれど気にならなくなる。池の存在を消すことはできませんが、風景の一部という程度の認識に変えてしまえばいいんです」
集中は狭いスペースに集めるのがコツ
意識を集中させるのは、できるだけ狭いスペースがオススメだという。
「漠然と『フェアウェイのセンター』と思うよりも、『フェアウェイの右サイドに立っている木のあの葉っぱ1枚』というように、狭い場所、小さなものに集中しましょう。見えていなくてもいいんです。見えたフリをして狙いどころを狭めてください。『あのあたり』と焦点を当てるのではなく、ギューッと焦点を絞る。ターゲットを絞れば絞るほど、そこにエネルギーを集めやすくなります」
池やOBの存在を意識から消すことはできないけれど、それを上回る強い意識を狙いどころに向ける。そして「あの葉っぱを狙う」と口に出して宣言すれば成功率はさらにアップ! どんなハザードも気にならなくなるはずだ。
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)
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