桐林宏光の「メンタル強化術」第14回~前の組が遅い!「待ちミス・待ちチョロ」を防ぐメンタル法
せっかくのゴルフにもかかわらず、前の組のプレーが遅い!! 前が空くのを待って、待って、待って、ようやく打てたと思ったらチョロ……。こんなミスが出るとガックリ。「待ちすぎたよ」とボヤキたくもなってくる。待ち時間が長いほど、ミスショットの確率が高くなるのは気のせいだろうか。
スポーツメンタルトレーニング指導士の桐林宏光プロによれば、「気のせいではなく、実際に待ち時間が長いとミスしがちです。原因は緊張感の欠如。前の組を長時間待っていると、緊張を維持できなくて、プレーが雑になってしまうんです」という。
前の組が遅いときも、いつもどおりのプレーをするには、待ち方にコツがあるという。どんな風に待っていればいいのか、教えてもらった。
待ち時間にはスイッチをオフにする
ティーアップして、素振りをして、いつでも打てる準備をして、前の組がプレーするのを待つ。こんな待ち方は最悪だと桐林プロはいう。
「ゴルフで大事なのは、オンとオフの切り替えです。前の組が遅くて、打つことができないのなら、スイッチは切っておくべき。ティーアップするというのはプレショットルーティンの一部ですから、ティーアップした瞬間から無意識のうちに緊張がスタートします。その状態を引き伸ばせば、ショットするころには緊張の糸はゆるゆるに。また、いつでも打てる準備をしているというのは、無駄に電気をつけっぱなしにしているようなもの」
気力や体力と同様、メンタルも朝イチには十分にみなぎっているが、ホールが進むごとに目減りしてしまうのだそう。
「たとえパープレーを続けていても、メンタルは減っていきます。常にオンの状態だと、メンタルもガス欠になってしまうんです。オフにしていていいときにエンジン全開では、急発進&急ブレーキを繰り返しているようなものです。メンタルもエコ運転を心がけましょう」
ストレッチで体をほぐすのが◎
では、前の組の遅いプレーを待っているとき、どんな風に過ごすといいのだろう。
「次のショットとはまったく関係ないことをしていたほうがいいですね。『お昼は何を食べようかな』とぼんやり考えたり、仲間とバカ話をして笑い合ったり。そして、打てるタイミングになって初めて、ティーアップや素振りをしましょう。そこでポンッとスイッチを入れるイメージです」
ティーグランドなら話し相手もいるが、セカンド地点では一人で待っていると、前の組の遅いプレーにイライラしながら、何度も素振りを繰り返してしまいがちだ。
「オススメはストレッチです。スイッチをオフにしたままでいられますし、前の組を注視してストレスを募らせることもない。体をほぐせばナイスショットの確率も上がります。前の組が遅いときは、ストレッチでリラックス。これをぜひ、習慣づけてください」
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)
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