桐林宏光の「メンタル強化術」第16回~脱!練習場シングル!ナイスショットがコースでも打てる3つの練習法
練習場では絶好調。ところが、「ベストスコアが出るかも」と意気込んだラウンドでは、スコアがボロボロ。「練習場ではよかったのに……」というボヤキは、ゴルファーの決まり文句といえる。
「練習の成果をコースで発揮できなければ、練習が無駄になってしまいますよね。練習場と同じショットをコースで出すには、3つのポイントを守ることが大事です」というのはスポーツメンタルトレーニング指導士である桐林宏光プロ。練習場で出たナイスショットをコースで再現するための、3つの練習ポイントを教えてもらった。
アイアンもティーアップして打つ
ほとんどの練習場では、人工マットの上から球を打つ。それに対して、コースでは芝の上だ。
「スイングとしてはダフッているのに、人工マットの上でソールが滑り、結果としてナイスショットになっていることがよくあります。実際の芝ではリーディングエッジがボールの手前に突き刺さって大ダフリしたり、地面で跳ね返ってボールの上半分をたたき、トップボールになったりするのです」
ダフリがナイスショットになってしまう人工マットのマジックを回避するには、アイアンもティーアップして打つのがオススメだという。
「サンドウエッジでもティーアップして打ってみてください。人口マットから打ってダフリスイングを固めるより、正しいスイングが身につきやすくなります」
打つ前のルーティンは本番と同じにする
練習場ではスタンス位置を固定したまま、クラブヘッドでボールをかき寄せてセットしてしまいがちだが、これもよくないという。
「ショット前のプレショットルーティンは、コースでも練習場でも統一するようにしましょう。まず、ボールの後ろから打ちたい方向を確認。それからボールに対してスタンス位置を決めてアドレスします。この作業を面倒くさがり、ボールをかき寄せてアドレスしていると、ボールと体との距離感をつかむ練習になりません。また、練習場では連続打ちするためにいいリズムで打てていても、コースではスイングリズムが崩れてしまうこともあります。練習場とコースのギャップを生む原因になるのです」
ミスしてもフィニッシュを決めるクセをつける
練習場ではミスショットしても、すぐに打ち直すことができる。前のショットで切り返しが速かったなら、次のショットはタイミングに気をつけるというように、修正箇所を意識して臨むため、打ち直しショットはうまくいくことが多い。それに引き換え、コースではミスを断ち切れず、連続ミスしてしまいがちだ。「ミスの連鎖を防ぐには、普段からショットの結果と感情を切り離す訓練をしておくことです」。
ショットの結果と感情を切り離すとは、どうしたらいいのだろう?
「たとえミスしても、しっかりとフィニッシュを決め、ボールの行方を追いましょう。まるでトーナメントの解説者になったかのように、『このショットはずいぶんと右に行ってしまいましたね~』と、ミスショットを現象としてとらえ、自己解説するのです。NGなのは、ミスの直後に『今のナシ!』とばかりに、フォロースルーの途中でもう次のアドレスに入るようなせっかちな練習です。これではミスの感情を引きずるばかり。ショットを見届け、感情を整理する時間を設けましょう」
たとえ当たりが悪くても、フォロースルーの途中で止めずにフィニッシュまで振り切れば、ショットの結果はマシになる場合も多い。
「打つ前のルーティンも、打ったあとの動きも、練習場とコースで変えないこと。それが練習場のショットをコースで再現する一番のコツです」
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)
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