桐林宏光の「メンタル強化術」第13回~絶不調から抜け出すための対処法は3日間クラブを握らないこと
ゴルフは好調不調の波がつきもの。突然の大スランプに陥ることもある。スライスやダフリが連発し、「もうゴルフなんてやめようか……」としょんぼり。そんなときはどうしたらいいのだろう。練習場で打ち込んだり、レッスンプロに見てもらったりという対処法が思いつくが……。
スポーツメンタルトレーニング指導士でもあるティーチングプロの桐林宏光さんは、「上級者やレッスンプロに見てもらうのは復調のきっかけになるかもしれませんが、不調時に練習に打ち込むのはオススメできません。体が間違えたスイングをしてしまっているから調子が悪いのに、自己流の練習をたくさんすれば、その悪い動きを体に覚え込ませることになってしまいます」という。いわゆる「下手を固める」というやつだ。
それでは不調のとき、どのように対処したらいいのか。桐林さんに教えてもらった。
不調のときは休むのが一番
突然の不調から抜け出すことは、実は簡単だという桐林さん。
「手っ取り早いのは、球を打たないことです。少なくとも3日間は、練習場に行くのもクラブを握るのもやめてください」
調子が悪いのに練習をしなかったら、ますます腕が落ちてしまいそうな気がするが……。
「大丈夫。人間の筋肉が細かい動きを記憶しておけるのは3日間だけなんです。ですから、3日間ゴルフを一切しなければ、突然身についてしまった悪い動きは抜けていきます。これは好調のときにも同じことがいえます。調子がいいときに3日以上クラブを握らずにいると、次のラウンドでは急に調子が悪くなることもあり得ます」
たしかに、病気やケガ、仕事が忙しいなどの理由でしばらくクラブを握ることができず、久しぶりにラウンドに復帰。ダメだろうなと思っていたら意外と好スコアで回れた、なんていうことはよくある。調子が悪いときはあえて休むことで、それと同じ状況を意図的に作り出そうというわけだ。
休んでいる間はイメージトレーニングが効果的
休むことで復調を狙うなら、休み方に工夫が必要だという。
「ご自身がショットしている動画を見たり、プロのトーナメントを見たりして、いいスイングのイメージをふくらませておいてください。たとえ練習しなくても、脳にいいスイングをインプットしておくと、いざクラブを握ったとき、悪い動きが抜けて、いいイメージだけが残るんです」
また、再びクラブを握る際も、気をつけたほうがいいことがあるという。
「欲をかかないことです。何も考えないままのほうが好調を保つことができます。『もっとこうすれば飛ぶかな』など、欲が出てアレンジが入ってしまうと、せっかく復調しかけた波が、また悪いほうへ押し戻される恐れもあります。調子が安定するまで、『余計なことはしない』と肝に銘じておきましょう」
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)
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