桐林宏光の「メンタル強化術」第15回~前日の睡眠不足解消!ゴルフ前夜に10分で眠りにつける快眠術!
ゴルフの前日はワクワク、ドキドキ。なかなか寝つけずに困った経験のある人も多いだろう。明日のために体を休めたいのに「寝よう」、「寝なきゃ」と思うほど、目はランラン。結果、2~3時間しか眠れないまま朝を迎え、寝不足でゴルフは絶不調。本末転倒な結果に陥るのもよく聞く話だ。
そこで、誰でも簡単にできるうえ、10分実践すればスムーズに寝つけるという驚きの快眠術を、スポーツメンタルトレーニング指導士でもあるティーチングプロの桐林宏光さんに教えてもらった。
まずは目を閉じてゆっくりと深呼吸する
「いくら寝ようと意気込んでも、意気込みだけでは眠れません。眠るには、自律神経のバランスを副交感神経優位にしてあげることがポイントです」と桐林さん。
自律神経とは、心臓を動かしたり、汗を出したり、自分の意志とは無関係に体を動かす司令塔のような役割を果たしている神経。体をアクティブに動かす交感神経が優位になったり、体を休ませる副交感神経が優位になったり、シーソーのようにバランスを取りながら24時間働き続けている。
「自分の意識しないところで体を動かしてくれている自律神経ですが、その代わり意思で自律神経をコントロールすることはなかなかできません。その唯一の方法が、呼吸なんです。意識的にゆっくりと呼吸することで、自律神経は副交感神経優位のバランスに傾き、体を休ませることができます。ベッドの上で目を閉じてリラックス。ゆっくりと呼吸するうちに、だんだんと手足がポカポカと温まり、眠りにつきやすくなります」
明日のラウンドを脳内シミュレーションするのも効果的
ベッドの上で目を閉じて深呼吸。このときに、明日のラウンドを脳内でシミュレーションすると、快眠効果は高まるという。
「1番ホールでティーショット、これがうまくいったとして、次はフェアウェイから120ヤードだから9番アイアンを持って……と、18ホール回ることを想像しましょう。初めて行くコースでレイアウトを知らなければ、過去に行ったことのあるゴルフ場を想像してもいいですし、想像上のゴルフコースでも構いません。狙いは『眠らなきゃ』という呪縛から開放され、他のことに意識を向けることです。また、イメージをするときは自然と目を閉じていますから、眠りにつきやすいというメリットもあります」
目をギュッと固く閉じるのではなく、ゆったりと閉じることがポイントだという。
「18ホールしっかりイメージして回ろうとすると、ベッドの上でのシミュレーションとはいえ1時間近くかかるんです。私自身、プロテストの前夜など大事な試合の前はなかなか眠れませんでしたが、深呼吸しながら翌日のプレーをイメージしているうちに、気づくと眠りに落ちていました。翌朝『あっ、6番の途中だった』とハッとしながら目覚めることもありました」
前夜の快眠は、翌日の好スコアに直結! 深呼吸&脳内ラウンドシミュレーション、ぜひお試しいただきたい。
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にプロを目指す。筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
構成/及川愛子(ゴルフライター)
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