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桐林宏光の「メンタル強化術」第6回~ミス連発で大パニック、負の連鎖をスパッと断ち切るメンタル術

桐林宏光の「メンタル強化術」第6回~ミス連発で大パニック、負の連鎖をスパッと断ち切るメンタル術

突然シャンクが出始めて止まらなくなったり、連続してダフッてしまったり、ミスが続くホールが1つでもあると、どうしたってスコアはまとまらない。ミスするのは仕方ないとしても、何とか連続することだけは防ぎたいものだが……。

スポーツメンタルトレーニング指導士の桐林宏光プロによれば、「ミスをすると『ヤバイ!』と心拍数が急上昇します。そして、心拍数が上がったまま次のショットをすれば、再びミスしてしまう可能性大! これが、ミスが連鎖するメカニズムです」と語る。ミスしてあたふたしているときに、心拍数をスッと下げる方法はあるのだろうか。
連続するミスを断ち切るためのコツを教えてもらった。

心拍数を下げるには大きく深呼吸する

ティーショットで大ダフリしてチョロ。次のショットもダフッてチョロ。仲間に『ドンマイ、ドンマイ』、『焦るな~』なんて声をかけられつつも、後ろの組の視線が背中に突き刺さる……という状況。こんな中で平常心をキープしてショットするなんて、到底無理だ。

「ミスショットして焦っているとき、いくら自分に『落ち着こう』『焦るな』といい聞かせても、平常心には戻れません。できることはただひとつ、深呼吸です」

焦れば心拍数は上がり、心臓は早鐘を打つ。呼吸は荒くなってくる。心拍数も心臓の働きも自分の意志でコントロールできないが、唯一コントロールできるのが呼吸なのだという。

「ボールに向かう前に空を仰いで大きく深呼吸。ゆっくりと呼吸することで心拍数が落ち着いてきます」

ミスが2度続いたら“お助けショット”でその場をしのぐ

ダフリが連続していて、あなたが同伴競技者を待たせているような状況であれば、ゆっくり深呼吸している暇はないだろう。そんなときにオススメなのが “お助けショット”だという。

「“お助けショット”というのは、8時から4時の振り幅で打つチップショット。林の中から出すだけ、というときに打つショットです。フェアウエーから打てるときであっても、あえて8時から4時の振り幅でチップショットを一発打ちましょう」

チップショットは飛距離より方向性を重視するショットであるため、遠くに飛ばすことはできない。

「私が主宰するレッスンで、ジュニアの生徒さんにパター1本でラウンドさせることがあるのですが、たとえパターでも50ヤードぐらいは前に進みます。7番アイアンのチップショットなら50~60ヤード、うまくすれば100ヤード近くボールは飛んでいくでしょう。“お助けショット”の狙いは飛距離ではありません。みんなにジーッと見守られている重い空気を解消すること、そして次のショットに行くまでに歩きながら深呼吸する時間を稼ぐことです」

ミスすると次のショットで取り返そうと、飛距離を欲張りたくなる。これでは自分へのプレッシャーが倍増するばかり。お助けショットでその場をしのぎ、アプローチで勝負、とコース攻略の戦法を切り替えることこそ、ミスの連鎖を断ち切る最善の手といえそうだ。

教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ

1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)

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