QP関雅史のギア分析!第7回・自分に合っていないドライバーを買ってしまう2つの理由
2021.12.03
ゴルフクラブを買う際には、慎重には慎重を重ねてカタログや雑誌などで最新モデルを吟味し、お店で試打もして、振った感覚やデータ計測もぬかりなく行う。にもかかわらず、実際にゴルフ場やゴルフ練習場で打ってみると、「前のクラブよりも全然ダメ。こんなはずでは…」と失敗してしまったという経験を持っている人も多いことだろう。
こうした失敗が続けば、最高に一本に出合うまでに投資する金額も大きくなり、プレー代を圧迫しなかねないし、そもそも最高の一本にすら出合えないかもしれない。
そこで、どんな点に注意すればクラブ選びで失敗しないのか? スイングとクラブフィッティングの両方をアマチュアに指導している関雅史プロにアドバイスをいただいた。もう失敗したくない方は必読!
シングルを目指すのか、結果がすぐほしいのか?
どこかのメーカーの宣伝文句ではないが、そもそもスイングに個性のあるアマチュアゴルファーであれば、ゴルファーが100人いれば100人に合ったクラブが存在するはずだ。となれば、自分に合ったクラブとは何なのか? そして、どうやったら知ることができるのか? クラブフィティングをする際に、関プロはどんな点に気をつけて、そのゴルファーにマッチしたクラブを見つけているのだろうか。
「自分がどういうゴルファーなのかを知ってもらうところから始まります。100切りゴルファーであれば、体力があるのかないのか? そしてシングルを目指してうまくなりたいのか? それともすぐに100を切れればいいのか? クラブを大まかに分けると、前者人向けの自分の技量がそのまま結果に反映されるアスリートモデルと、後者の方向けの自分に足りない技量を補ってくれるアベレージモデルの2種類に分かれます。これはドライバーからパターまで共通しています。この最初の区分けを間違えないことを最も重視しています」
ゴルファーのどんな要求にも応えてくれる万能なクラブは残念ながらない。自分がどういうゴルフをしたいのかさえ明確にすればベストな一本は自ずと見えてくるものであるということだ。
クラブを選ぶ際には、ここが最初の入口となる。たしかに、自分にどちらを目指すのかはっきりさせずに、ヘッドスピードや好みだけで単純に判断すると失敗してしまうのは当たり前だ。
シャフトは60グラム台が重いと感じるかどうか?
それでは、自分がどちらを目指すのか明確にしたところで、実際にはどんなところに注意して選んでいけばいいのだろうか?
「ドライバーの場合、スイングに対する最も影響が大きく、結果に表れやすいのは重量と長さです。まずは重量についてですが、体力に自信のある人は必要以上に重いクラブを選びがちなので気をつけてください。目安は60グラム台が振れるかどうか。重すぎるクラブを使えば、ヘッドスピードが落ちますし、振り遅れやすくなります」
多くの男子プロですら60グラム台のシャフトを使っているし、ヘッドスピードが一般アマチュアと変わらない女子プロは50グラム台がほとんど。選ぶべき重量はおのずと見えてくる。シングルを目指す方であれば60グラム台のアスリートモデル、すぐに結果を求める人は60グラムよりも軽い50グラム台を選びたい。
「100切りを目指すアベレージゴルファーや初心者のミスのほとんどはスライスです。したがって、振り遅れない重さを選ぶことが絶対条件となります。50グラム台のシャフトを目安にしてください」
シャフトから選べば、それに合ったヘッドが挿さっているモデルが自分に合ったヘッドである可能性も高い。
最後に、シャフトの長さはどれくらいのものを選ぶべきだろうか。
「長尺が飛ぶのはたしかですが、ミート率に自信があるベテラン向きと考えるべき。若い人はドライバーで思い切り振りたいでしょうし、振り切ることを覚えてほしいので、最初から長いクラブは使ってほしくありません。また、結果がすぐに欲しいゴルファーも飛ばすことよりもまっすぐ行くほうがいいスコアが出しやすいメリットがあるので、45インチがおすすめです」
ドライバーは自分の目指すべき方向をしっかりと明確にしたうえで、シャフトの重さから選べば、自分に合ったものが選べるだろう。ちなみに、結果がすぐほしいゴルファーに比べると、シングルを目指すゴルファーは自分のスイングの欠点が出やすいモデルを選んでいることになるから、買ってすぐに結果が出ないのは当然。そのクラブを使いこなすべくスイングづくりに精を出すことで、クラブが使いこなせるようになってくる。関プロのアドバイスを参考に、シャフトの重さからモデルを選んでほしい。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター)
撮影/鈴木祥
教えてくれた人: 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
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