QP関雅史のギア分析!第24回・やさしいはずのユーティリティーが難しくなる理由
2021.12.03
Q.バックティーから回ったときに、200ヤード前後のパー3でスコアを落としてしまうことが多いです。ユーティリティーが当たらない、上がらない、まっすぐ飛ばない(左に行く)のどれかのミスしてしまうことが多いです。フェアウエーウッドもアイアンも悪くないので、ユーティリティーの買い替えも検討していますが、何が悪いのでしょうか?
A.フェアウエーウッドもアイアンも問題なく打てているということですから、ユーティリティーの選び方を間違っている可能性があります。
ユーティリティーにはウッド型とアイアン型の2種類がある
某メーカーが「レスキュー」という愛称をつけているように、フェアウエーウッドもしくはロングアイアンが苦手な人のためのお助けクラブとして人気を博しているユーティリティーだが、選び方を間違えるとヘルプしてくれるどころか足を引っ張る存在にもなりかねない。
そこで、正しいユーティリティー選びの知識をカリスマクラブフィッターの関雅史プロから伝授してもらった。
「ひとまとめにしてユーティリティーといっていますが、ユーティリティーはウッド型とアイアン型の2タイプに分けられます。このうちどちらを選ぶかによって、打ち方や選ぶべきシャフトが変わってくるので気をつけなければなりません」
ウッド型とアイアン型はどうやって見分けたらいいのだろうか。
「ロングアイアンのヘッドを一回り大きくしたようなタイプは見た目どおりのアイアン型です。間違えやすいのはウッドのように後ろが膨らんだヘッドです。一見、ウッド型のようでいて、実は機能的にはアイアンに近いモデルもあるからです。そのユーティリティーがウッド型かアイアン型かは、フェースプログレッション、すなわちシャフトに対してフェースが前に出ているか、後方に引っ込んでいるかで見分けることができます。もう少し具体的にいえば、フェースのセンターがシャフトの軸線より前に出ているものはウッド型、後方にあればアイアン型です」
ウッド型とアイアン型から自分の打ちやすいタイプを見つけよう
どちらを選ぶかは得意クラブを基準にする。
「ウッド型はフェアウェーウッドのような払い打ちが適していますし、アイアン型はアイアンのように打ち込んでもヘッドが抜けてくれるように作られています。自分がフェアウェーウッドが得意でユーティリティーも同じように打ちたいのならウッド型、逆にアイアンが得意でアイアン感覚で使いたいのであればアイアン型をおすすめします」
ヘッド形状のほかにも注意すべき点がある。
「クラブの重さです。全部の番手を同じリズムで振れるようにするためには、ドライバーからサンドウエッジまで順に少しずつ重くしなければいけません。しかし、やさしく球を上げて距離を出したいという気持ちから、軽すぎるユーティリティーを使っているアマチュアが多いようです。5番ウッドや7番ウッドよりもユーティリティーが軽く、セットの中で逆転現象を起こしている人はけっこういます。また、一番長いアイアンよりも重いユーティリティーを使っている人もたまに見かけます。どちらにしろ、ユーティリティーだけタイミングが合わなくなるので、うまく当たらないのが当たり前です。もっと細かくいえば、ウッド型の場合はフェアウェーウッドを基準に、アイアン型の場合はアイアンを基準にして重量を調整すれば、さらにタイミングよく振ることができます」
ウッド型とアイアン型では、同じユーティリティーでも別物といっていいかもしれない。やさしいクラブだからといって、かんたんに選んでしまうと痛い目を見ることになる。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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