QP関雅史のギア分析!第3回・知っておきたい!アイアンの易しさを見分ける重要ファクター
2021.12.03
アイアンで多いのは左右よりも縦のミスだ。アイアンを左右に20ヤードもミスすることはめったにないが、距離が20ヤード足りなかったりすることはままある。
スコアをよくするには、致命的な縦のミスの度合いを減らすことが大事。そのためにどんなアイアンを選んだらいいか、関プロにアドバイスしてもらった。
上がりにくいアイアンはショートしやすい
アイアンは基本的に地面から打つクラブ。したがって、打点が上下にぶれやすく、ダフリやトップのミスも多くなる。また、ボールが浮いた平らなライで打てればまだいいがそうはいかない。前後左右の傾斜だったり、ラフにボールが沈んでいたり、ディボットに止まったり、ミスの要因は至るところに待ちかまえているのだ。
「アマチュアにとって一番のメリットはボールが上がることです。ボールが上がらなければ、飛距離が出ないのでショートしやすくなります。また、低く出たボールはグリーンに止まりにくくなります。悪いライだと、どうしてもトップ気味に当たりやすくなるので、それでもしっかりボールを拾って上げられるクラブが必要です」
上がりやすさはソールの幅で見極めよう
キャビティやポケットキャビティアイアンは構造上、重心を低く深くできるので一般的に上がりやすいモデルが多い。一方、マッスルバックアイアンはスピン性能を重視した設計になっているため、多くのモデルで重心が高めに設定されている。しかし、バックフェースのデザインだけでボールの上がりやすさは見極められないと関プロは話す。
「そのアイアンが上がりやすいかどうかはソールの幅で見分けることができます。キャビティアイアンでも、アスリートモデルなどダウンブローで打ったときの抜けをよくするために、ソール幅がわりと狭く作られているものがあります。そういったモデルの重心の高さはマッスルバックアイアンとあまり変わらないので、ボールは上がりにくくなっています。また、マッスルバックアイアンの中にも比較的ソール幅の広いものがあるので、どうしてもマッスルバックを使いたい人はそういうモデルを探してみてください」
上がりやすさを見分ける方法はもうひとつある。それはネックの長さだ。
「アイアンのヘッドはネックにかなりの重量をとられます。したがってロングネックモデルは重心が高く、ショートネックモデルは低くなります。また、ロングネックは重心距離が短くなるので操作性も上がります。ロングネックはスピン性能も高いというより、わざとそういう設計にしてあるため、練習していろいろな球を打ちたい人には向いています」
一見、同じような形状でも、ソールやネックなど細部のデザインからそのアイアンの隠れた素性が見えてくる。アイアンは、そうそう買い替える機会がないだけに、しっかりとチェックして長くつきあえる相棒を選ぼう。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥
撮影協力/ゴルフフィールズ
教えてくれた人: 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
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