QP関雅史のギア分析!第11回・ドライバーの性能をひと目で見分ける方法
2021.12.03
ツアープロは、そのドライバーが自分に合っているかどうか、ボールを打つまでもなく見破るという。それは決して単なる好き嫌いではなく、クラブの顔から特徴を感じ取っているのだ。そして、特徴がわかればそれだけ理想の弾道に近づけるというものだ。
では、具体的に顔のどこを見ればドライバーの性格を見破り、ベストなパートナーと出会えるのか。関雅史流の観察術を学んでいこう。
ドライバーの形には設計者の意図が込められている
ドライバーにも人間と同じように個性があり、使い手との相性のよし悪しもある。また、人間は性格が顔に出るというが、ドライバーもコンセプトや性能が外見に表れているという。毎年ほとんどのニューモデルを試打するという関プロにドライバーの個性と相性の見分け方を伝授していただいた。
「人間と同じで価値観の合う相手を選ぶことが長くつき合う秘訣。まずは自分の目的をはっきりさせることが大事です。シングルを目指す人なら時間がかかってもしっかりとしたスイングを作るため、なるべくクセのないドライバーを選ぶべきです。オーソドックスな洋なし型であまり特徴を感じないドライバーは性格も見た目どおりに素直。スイング軌道やフェースアングルなどの微妙な変化がそのまま球筋に表れるので、ミスがそのまま出ますが、自分が今どんな打ち方をしているのかフィードバックされるところがメリットです」
見た目が個性的なドライバーは性格も特徴的と考えて間違いない。わざわざ個性的なデザインにしているのは、そこに設計者による何らかの意図があるからだ。それだけに使い手を選ぶところはあるが、うまくハマれば自分の技量以上のパフォーマンスも期待できるのだという。
「割れ鍋に綴じ蓋ではありませんが、クラブの特徴を理解した上で、自分の欠点を補ってくれるようなドライバーを選べば、スイングを変えずに早く結果を出すことが可能です」
数あるドライバーの性格を見抜いて、いかに最良の伴侶と巡り合うか。具体的なチェックポイントについてうかがってみた。
「飛びの3条件のうち、打ち出し角とスピン量に最も大きな影響を与えるのが重心設計です。ボール初速(=反発性能)はルールで上限が決められているので、ドライバーの性格はほぼ重心設計で決まるといっていいでしょう。重心高さや重心距離、重心深度など重心位置に関する具体的な数値がメーカーから公表されていなくても、ヘッドの形状からおおよそ想像することはできます」
どちらを選べばいいの? シャローフェースとディープフェース
最もわかりやすいのはシャローフェースとディープフェースである。
フェースが薄いシャローフェースはいかにも重心が低そうに見えるが、実際にそのとおりである。低重心をウリにしているクラブは多いが、そこにどんなメリットがあるのだろう。
「重心の低いヘッドほど、重心よりも上にボールが当たりやすくなります。そのときヘッドは、インパクトの衝撃によって、わずかですがフェースが上を向く方向へ回転します。すると、フェース面との摩擦によりボールにはバックスピンを減らす方向に力が働くのです。逆にフェース面より下にボールが当たったときは、フェースが下を向き、バックスピンを増やす方向に力が働きます」
シャローフェースのヘッドは構えて上から見たときの面積が大きく、ディープフェースは小さく見えるが、そのことも性能や選び方に関わっている。
「シャローフェースは投影面積が大きい分だけ重心が後ろにくるので、インパクトでヘッドのお尻が下がってアッパー軌道になりやすいのです。低スピンで球が上がりやすいというメリットがあるので、ヘッドスピードの遅い人、ボールが途中でドロップして飛ばない人に向いています。一方、ディープフェースのメリットはコンパクトで構えやすいこと。重心はフェース寄り、つまり浅重心なので低めの強い弾道になりやすい形状です。また、フェース面積そのものが大きいのでミスヒットにも強くなっています。デメリットはボールが上がりづらいことですが、アッパー軌道で打てる人やヘッドスピードの速い人には向いています」
今どきのドライバーは、ヘッドの肉厚を変化させたり、内側にウエイトを配置したりしているので外見から判別しにくくなっているが、ヘッドの返りやすさに関係する重心距離(シャフト中心軸から重心までの長さ)もドライバー選びの大切な要素だ。
「重心距離の短いものほどフェースが返りやすく、長いものほど返りづらくなります。したがって、ボールをつかまえたい人、スライスを軽減したい人には重心距離の短いヘッドが向いています。ただし、重心距離は短ければいいというものではなく、自分が振り切れる範囲である程度長めのものがおすすめです。重心距離の見分け方としては、両手のひらででシャフトをはさんで竹とんぼを飛ばすときのように回してみる方法があります。比べてみて回しやすいものは重心距離が短く、回しにくいものは長いと覚えておいてください」
ショップにずらりと並べられたドライバーは眺めているうちについ目移りしてしまうが、関雅史流のドライバー観察力さえ身につければ、迷うことなくお目当ての一本にたどり着けるはずだ。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター)
撮影/鈴木祥
教えてくれた人: 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
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