QP関雅史のギア分析!第10回・ユーティリティーを選ぶときに番手を見てはいけない?
2021.12.03
ツアープロのバッグにも1本はユーティリティーが収まっている。中には3本、4本入れるプロもいて、番手もさまざま。ウッドとアイアンだけなら決まり切ったセッティングになるが、ユーティリティーは自由に選べるだけにかえって迷ってしまう。
いったい何本いれたらいいのか、何番を選んだらいいのか。
ユーティリティーは飛びすぎても意味がない
たまたま手にとったユーティリティーが打ちやすかったり、球が上がったり、飛距離が出たりすると、「これは使える」と衝動買いしてしまいそうになります。しかし、それが大失敗の原因になると関プロはいいます。
「たしかにいいクラブには違いないでしょう。ですが、それはその一本だけで考えた場合。ユーティリティーの最大の長所はアイアンよりも易しく打てるところですが、ただ易しく飛ばせばいいというわけではありません。ユーティリティーといえど、あくまでも14本の中の1本。本来の役割はフェアウェイウッドとアイアンの間の距離をつなぐことにあります。いくら飛んでも、5Wや7Wと変わらないくらい飛んでもあまり意味がないし、それではアイアンとの飛距離の差が開きすぎてしまうので、いいスコアを出すためのクラブセッティングとしては好ましくありません」
この手の失敗は番手の数字だけで機械的にユーティリティーを選んだときに犯しやすい。
「例えば、5番アイアンが打てないからといって、ユーティリティーの5番を持ってきても、同じ距離を打てるとは限りません。ユーティリティーの番手を決めるときには、まず自分のアイアンのロフト角を知っておく必要があります」
番手表記があてにならないのはクラブによって基準が違うから
ウッドやユーティリティーの番手は昔ながらのクラシカルロフトを基準にしている。しかし、ストロングロフト化した今どきのアイアンは、昔より1番手から2番手くらいロフトが立っていて、そのことが間違いの元となっているのだ。ユーティリティー選びで失敗しないためには、ロフト角を基準にすることだ。
「ユーティリティーのロフト角の選び方には2つの方法があります。1つめは、現在使っているアイアンのロフト角で選ぶやり方です。例えば、抜こうとしている5番アイアンが24度ならユーティリティーも24度にすることが基本。ユーティリティーとアイアンは同じロフトピッチを等間隔でそろえるのが理想です。2つめはフェアウェイウッドとアイアンの間を埋めるやり方です。自分の持っている5番ウッドが18度で5番アイアンが24度、4番アイアンは最初からセットに入っていないとします。この場合は18度と24度のちょうど中間の21度を選んでおけば間違いないでしょう」
本数に関しては、最初は1本からスタートするのが無難だ。
「最初から何本もユーティリティーを入れても使いこなせない可能性があります。まず一番長いアイアンをユーティリティーにしてみましょう。それをうまく打てるようになって、下の番手でもメリットがあると思えるようになってから買い足しても遅くないし、万一、そのクラブが合わなかった場合でも出費を最低限に抑えることができます」
頼りになるユーティリティーが1本、2本と増えていくたびに、ゴルフがレベルアップしていくに違いない!
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥
撮影協力/ゴルフフィールズ
教えてくれた人: 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
楽天GORA店 Supported by GOLF5 でゴルフグッズをさがそう!
「QP関雅史のギア分析!」記事一覧
(1) シャフトの硬さ選び編 - (2) サンドウェッジの角度編 - (3) アイアンの易しさを見分ける編 - (4) ウェッジのバンス選び編 - (5) ウェッジはセットか単品か編 - (6) ユーティリティはヘッド形状で選ぶ編 - (7) 合ってないドライバー編 - (8) アイアン選びのコツ編 - (9) パターの機能と打ち方編 - (10) ユーティリティ選びと番手編 - (11) ドライバーの性能を見分ける編 - (12) 距離感の合うパター編 - (13) FW性能を見抜く編 - (14) FWはドライバーとの相性で選ぶ編 - (15) プロのアイアン選び編 - (16) 入るパターとの出会い方編 - (17) ユーティリティのシャフト選び編 - (18) 上達する5Wの選び方編 - (19) ウェッジのロフト選び編 - (20) 止まりやすいアイアンとは編 - (21) アイアンのヘッド素材編 - (22) 飛ぶロフト角編 - (23) プロモデルは難しい?編 - (24) ユーティリティが難しくなる理由編 - (25) 適正なバンス角はどれくらい編 - (26) やさしいクラブとは?編 - (27) 新しいクラブを使いこなす編 - (28) セットクラブを卒業編 - (29) ディープフェースで上がりやすい3W編