- 5月10日(土)
- くい込んだ球の判断と処置解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
JLPGAツアー開幕のダイキンオーキッドレディスは沖縄の琉球ゴルフ倶楽部で開催されましたが、
そこで起きたルーリングをもとに「くい込んだ球の判断と処置」を解説します。
琉球ゴルフ倶楽部の芝はコーライでラフはティフトンが混じっていることにより、
ラフに打ち込んでしまうと球全体が沈んでしまい、とても難しいショットになります。
そして球全体がラフに沈むと、プレーヤーは地面にくい込んでいるのではないかと確認のためルーリングを呼ぶことが多々あります。
実際、トーナメント初日の1番ホール左ラフでくい込んだ球かの確認でルーリングに呼ばれました。
状況を調べてみると、その球は地表面よりも下にはなかったため、救済は認められませんでした。
このルーリングが今年JLPGAツアー最初のルーリングで、立ち会った私はファーストペンギンになりました。
ファーストペンギンとは
ペンギンの群れの中から天敵がいるかもしれない海に魚を求めて最初に飛び込む勇敢なペンギンなのですが、
それに比喩して委員会はこれから始まる長いシーズンの最初にルーリングに立ち会った競技委員にその名称を与えます。
委員会の慣例でファーストペンギンはご飯をご馳走してもらえます。
それはさておき、そもそも
地面にくい込んでいる球で罰なしの救済が認められるのはジェネラルエリアにある球、
例えばラフやフェアウェイ、カラーにある場合のみです。
そして、プレーヤーの直前のストロークの結果作られた自らのピッチマークの中にあり、
その球の一部が地表面以下にある場合です。(規則16.3a(1)(2))
稀に、フェアウェイに転がった球が別のプレーヤーの作ったピッチマークに入ってしまうことがあります。
そのような場合は罰なしの救済はありません。
そのため、後からプレーするプレーヤーへの配慮とコースの保護を目的として
フェアウェイなどでも自ら作ったピッチマークはストロークした後に修復することをお勧めします。
プレーヤーは球が地表面を割っているのか確認するのに、
球をマークして拾い上げることができます。(規則16.4)
このときに拾い上げた球を拭くことはできませんので注意が必要です。(規則16.4)
球を拾い上げた後、ピッチマークが地表面以下にあるのか目視で判断できない場合、
ライを改善しないように気を付けながら、手で地面に触れて確認することがあります。
この時点で救済が認められないと判断すれば、その球を元の箇所にリプレースします。
救済が認められる場合は、球が地面にくい込んでいる直後の箇所を基点として、
ホールに近づかない、1クラブレングスのジェネラルエリアに球をドロップすることによって
救済を受けることができます。
このときに球を拭いたり取り替えたりすることもできます。(規則14.3a、14.1c)
2023年から新たに追加された詳説に球の直後の箇所がジェネラルエリアではない場合の救済があります。(詳説16.3b/1)
このような状況は、球がジェネラルエリアにくい込んでおり、
球の直後の箇所がバンカー、ペナルティーエリア、またはアウトオブバウンズの場合があります。
このような状況ではホールに近づかないジェネラルエリアの箇所を見つけるために
左右や後ろに幾らかの距離を取ることが必要となるかもしれません。
くい込んだ球の処置を覚えていただけるとご自身のプレーに役立つことがあるかもしれません。