- 3月29日(土)
- 明らかに不合理な場合、救済はない解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2019年WGC Mexicoのファイナルラウンドで起きた2つのカート道に関するルーリングがあり、
両方とも似た状況だったにも関わらずダスティン・ジョンソン選手は救済が認められ、
ロリー・マキロイ選手は認められなかったことで話題になりました。
そして救済が認められたジョンソンはこの試合を優勝しました。
1つ目のルーリングはジョンソンの5番ホールのセカンドショットです。
彼のティーショットは右に曲がり、木の根元付近に球が止まりました。
木の右40センチほどのところにカート道があり、ジョンソンがフェアウェイに球を戻すには右足がカート道にかかる状況でした。
立ち会ったレフェリーは救済を認め、
完全な救済のニヤレストポイントからホールに近づかない1クラブレングスの救済エリアに球をドロップしました。(規則16.1b)
すると、グリーンへ向かってプレーするには邪魔になっていた木が全く関係のないところに救済が受けられたので、
彼は目標をグリーンに変えてナイスオンしました。
救済後にプレーの線を変えることは認められます。
2つ目のルーリングはマキロイの6番ホールのセカンドショットです。
彼のティーショットは右に曲がり、木の根元でグリーン側に球が止まりました。
木の左から50センチほどのところにカート道があり、
マキロイは隣のホールへ右打ちをすると右足がカート道にかかるとルーリングに立ち会ったレフェリーにアピールしました。
しかし右足がカート道にかかる状態で普通にバックスイングしようとすると木の幹が邪魔になり現実的でなく、
右足をカート道から外したスタンスの方が、バックスイングが可能な状況でした。
レフェリーは彼が主張するプレーの線は救済を受けたいがためのものであり
明らかに不合理と判断し、救済を認めませんでした。(規則16.1a(3))
すると、マキロイ選手はそれを受け入れ、木の根元にある球を左打ちでプレーしているホールのフェアウェイに戻しました。
この左打ちだとカート道は障害になっていませんでした。
マキロイの救済が認められなかったポイントは「明らかに不合理」という言葉です。
ほとんどの無罰の救済では、あるがままに球をプレーすることができない場合や
プレーヤーが明らかに不合理なクラブ、スタンスやスイングの種類、
プレーの方向を選択することでのみ障害が生じる場合は救済が認められません。
そのため、プロの試合では無罰の救済が認められるかが際どい場合、
プレーの方向やスタンス区域、スイング区域をデモンストレーションしてもらうことがあります。
小さな隙間を狙って打つと言われれば、その技術を持っているので救済を認めます。
しかし、明らかに不合理な場合、例えば木が密集していて、球が1つしか通らないような隙間は認めません。
このようなルーリングは難しいため、レフェリーはセカンドオピニオンを呼ぶこともあります。