- 1月3日(土)
- コース上の霜解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
12月の第1週に行われたJLPGAファイナルクォリファイングトーナメントは、
宍戸ヒルズカントリークラブ東コースで開催されました。
104名の出場選手は4ラウンド(72ホール)の合計スコアで順位付けされ、来シーズンの出場権が決まります。
この時期の宍戸ヒルズの日の出は6時32分ごろ、日の入りは午後4時28分ごろとなり、
104名の選手を回すためにトップスタートは7:50に設定しました。
ところが、3日目は最低気温が3度を下回ることが予報されていたことから、霜が降りたり、コースが凍ることが心配されました。
その状態で一部の選手をスタートさせプレーすることは、
コースが溶けた状態でプレーするスタート時間の遅い選手と比べると不公平な状況です。
しかし、日没の時間を考えると霜や地面が溶けるまでスタートを遅らせる余裕はないため、
コース課さんはパッティンググリーンやティーイングエリアが凍らないように大きなシートを被せて下さいました。
そのシートのことを寒冷紗と言います。
宍戸ヒルズのコース課さんは18ホール全てのグリーンに寒冷紗を被せて下さり、
練習グリーンやスタートの3ホールのティーイングエリアも同様にして下さいました。
3ラウンドの朝は、予報通り冷え込み、快晴だったことから放射冷却で霜が降りてしまい、
スタート予定の7:50はフェアウェイやグリーンが霜で真っ白になりました。
霜は地面に付着しており、一時的な水でもルースインペディメントでもありません。(定義:一時的な水、ルースインペディメント)
そのため、霜を取り除くことや罰なしの救済を受けることはできません。
フェアウェイやパッティンググリーンの霜をタオルや手で払い除き、
プレーの線やライを改善してしまうと規則8.1aの違反により一般の罰が課されます。
しかし、ティーイングエリアの霜は取り除いても罰はありません。(規則6.2b(3))
スタート前にキャディーさんから、
フェアウェイにある球に付着した霜を「ふーふー」と口を窄めて息を吹きかけることで溶かしても良いかと聞かれました。
これは、息を吹きかけることで霜が溶けたのであれば、認められていないのに球をふいたことになり1罰打となります。(規則14.1c)
また、息を吹きかけたことが原因で球が動けば1罰打です。(規則9.4b)
もし、1つの行為でこのように複数の違反があった場合、
ストロークなどの介在する出来事がないため、1罰打のみ課されることになります。(規則1.3c(4))
結局、3ラウンドはスタートを8:30まで遅らせ、霜がほとんど溶けた状態でプレーが始まり、
日没後にはなりましたが何とかその日のラウンドを終えることができました。
この時期のコースには霜が多いと思いますので、覚えて頂けますと幸いです。
- 1月10日(土)
- クラブを除外する手続き解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
昨年11月のエリエールレディスオープンはエリエールゴルフクラブ松山で開催されました。
大会の1ラウンド終了後、クラブを除外する手続きを正しく行わなかったために、
アマチュアの叶選手が失格となったことがニュースでも取り上げられました。
叶選手は1番ホールからプレーし、2番ホール終了後に15本のクラブを持ってラウンドをスタートしたことを競技委員に告げました。
立ち会った競技委員は規則4.1c(1)に基づき、そのクラブをプレーから除外することと、
規則4.1bの違反により1番ホールと2番ホールのスコアにそれぞれ2罰打を加えるように告げました。
しかし、その組を担当していたスコアラーさんから詳しく説明を聞くと、
「競技委員要請は2番ホールのプレー中にしていたが、無線が繋がらなかった」と競技委員に告げました。
そこで委員会は、プレーヤーからより詳細を聞こうと18ホール終了後のアテストエリアで事情聴取をすることにしました。
そして分かったのは、叶選手が15本のクラブを持ってプレーしていたことに気付いたのは2番ホールのセカンドショット終了後で、
グリーン周りから打った3打目の後に競技委員を要請したことでした。
そして超過クラブをプレーから除外することなくそのままホールアウトしたのでした。
もしプレーヤーが2番ホール終了後に超過クラブの違反に気づいたのであれば、
合計4罰打の裁定は変わらずでしたが、気づいたのが2番ホールの2打目終了後となると裁定は変わります。
何故なら、規則4.1c(1)の「クラブをプレーから除外するための手続き」は、
次のストロークを行う前にとらなければならず、そうしなかった場合は失格となるからです。
プレーヤーが14本を超えるクラブを持っていて、規則4.1b(1)の「14本のクラブの制限」に違反したことに気付いた場合、
そのプレーヤーは規則4.1c(1)の手続きによって次のストロークを行う前にその超過クラブをプレーから除外しなければなりません。
ここのポイントは、「次のストロークを行う前に」です。
2023年より前の規則では「すぐに」という言葉が使われていましたが、
今はより明確になり、「次のストロークを行う前に」と変わりました。
規則4.1c(1)の違反の罰は重く、正しく行わないと失格になります。
それなので、もし競技のラウンド中に14本を超えるクラブを持ってラウンドをスタートしたことに気付いた場合、
除外するクラブをマーカーかその組の別のプレーヤーに告げる、もしくは他の何らかの明確な行動、
例えば、そのクラブをバッグに逆さまに入れることやゴルフカートの床に置く、別の人にクラブを渡すなどをするようにしましょう。
ルーリング要請をしていたからと言って何でも規則違反から保護されるわけではありません。
競技ゴルフに出場するプレーヤーは、自身を守るためにも絶対に知っておいて欲しいルールです。
- 1月17日(土)
- ラウンドの意味解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
昨年10月のスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントは東名カントリークラブで開催されました。
その最終ラウンドは濃い霧に覆われたため、いつスタートできるのかわからない状態でした。
大会本部では、54ホールの完遂を目指すために最終ラウンドは18ホール行うことを優先順位としていましたが、
当初7:30スタート予定だったのが、9:50には出場選手のセカンドカットを実施することが決まり、
とうとう10:40には9ホールの短縮ラウンドが決まりました。
通常、9ホールのみを実施する場合、TVやギャラリースタンドが設置されているインコースをプレーしますが、
12番ホールと13番ホールは標高の高いところにあるため、霧が晴れる気配がなく、
朝からコース状況を見ていた競技委員会は、9ホールをプレーすることもままならないと心配になりました。
そこで委員会は、12番ホールと13番ホールを除き、
その代わりに霧の影響が少ない1番ホールと9番ホールを足した変則9ホールでラウンドすることを
主催者やテレビ、運営に提案したところOKが出ました。
スタートホールは1番ホールで、次がいきなり9番ホールなのですが、隣同士なので移動に問題はありません。
そこからインコースへ入っていき、10番ホール、11番ホールと進み、11番グリーンから14番ティーへの移動も歩ける距離でした。
そのあとは18番ホールまで順番どおりに9ホールをプレーすることを選手やキャディーに伝え、11:30にスタートすることができました。
ラウンドとは、委員会が設定した順番でプレーする18(またはそれ以下)のホールです。(規則5.1)
現状、JLPGAではシステムの都合で9ホール単位でしかラウンドを短縮することができませんが、
本来規則では3ホール、5ホール、12ホールでも委員会が決定すればラウンドとして認められます。
2013年にバハマで開催されたUSLPGAの試合でも、
豪雨の影響でプレーできるホールが限られ、1ラウンドを12ホールの短縮競技で開催しました。
このときもプレーするホールの順番は、10-6-7-4-5-11-12-13-14-2-3-8と変則でした。
ラウンド数やホール数というのは競技の条件で定められていますが、
スタンレーやUSLPGAの試合のように、
悪天候により、スタートしていないラウンドのホール数はその状況に対処するために変更することができます。
(オフシャルガイド5A(8))
これからの荒天を考えますと、ラウンドも柔軟に対応していかなくてはならないと思った2025年のシーズンでした。
- 1月24日(土)
- 「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
先日、栃木県の某ゴルフコースでの出来事です。
ティーショットがスライスして右側のOBゾーン近辺へ、
球を探しに行くとドライビングレンジの境目のすぐ脇で、
驚きましたが練習用の球や一般に販売されているメーカーの球など十数球の球がありました。
自分の球には特に固有の印など書いていませんでしたが、
メーカーと番号が一致し、適度な汚れ具合も認識どおりだったので、自分の球と認識して二打目のショットをしました。
しかし、ショット後、3メートル先にメーカーも番号も何となくの汚れ具合も全く同じような球を発見、
もしかするとこちらの球が自分の球だったのかもしれません。
この場合、先程ショットした球を自分の球と確信してプレーしたのですが、誤球の疑いが発生しました。
どうにも気持ち悪いですが、どの様に処理するのが最適でしょうか。
某ゴルフコースへ、、、
ロストボールはなるべく拾っておいてください。
以上、よろしくお願い致します。
【解説】
ご質問者様、ご質問ありがとうございます。
とても興味深いケースで、どのように裁定すれば良いか深く考えました。
解答から申しますと、頂いたご質問には3つの可能性があります。
1つ目は、セカンドショットを打った後に同じ場所で見つけた同一の球がご自身の球だと分かった場合です。
球の確認のために、マークして拾い上げ、必要な分だけその球を拭くこともできます。(規則7.3,規則14.1)
その結果、その球がご自身の球だと確認できたら、
その球を元の箇所にリプレースしてプレーしなければなりません。(規則7.2,規則7.3)
ただし、誤球をプレーしたことがわかったので、2罰打を加えて、次に行われるストロークは4打目となります。(規則6.3c)
2つ目は、マークして拾い上げた球がご自身の球でなかった場合、
サード地点にあるセカンド地点からプレーした球を確認した結果、その球がご自身の球だと分かった場合です。
その時は罰なしにそのままプレーを続けます。
3つ目は、2つの球を確認した結果、どちらもご自身の球だと結論づけることはできなかった場合です。(規則7.2)
この場合、セカンド地点に戻って元の球を3分間捜索することができます。(規則18.2a(1))
仮にその捜索でもご自身の球が見つからなかった場合、
元の球は紛失となり、誤球のプレーをした2罰打とストロークと距離の救済の1罰打で合計3罰打を加え、
ティーイングエリアに戻って打ち直しをしなければなりません。
そのストロークは5打目となります。
ご参考にしていただけますと幸いです。
- 1月31日(土)
- 「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
止まった球に小枝が触れていて、これを取り除こうとした際に球が動きました。
私は球を動かさないように努力したにもかかわらず球が動いた場合、
これは「偶然の動き」とはならず、「故意に動かした」ことになるのでしょうか?
また、規則9.4bの例外4にある「動かせる障害物を取り除く」場合の罰なしの「偶然の動き」とは
一体どういうケースがあるのでしょうか?
【解説】
ご質問者様、ご質問ありがとうございます。
まず、規則15には「動かせる自然物や人工物はコースをプレーする上での挑戦の一部とは扱われず、
それらがプレーの妨げとなる場合、プレーヤーは通常、それらを取り除くことが認められる」とあります。
動かせる自然物とは、規則15.1のルースインペディメントのことであり、
小枝のような分離した自然物のことを指します。(定義:ルースインペディメント)
ルースインペディメントはプレーの挑戦の一部と扱われていないため、取り除いても良いのですが、
プレーヤーの取り除く行為が球を動かす原因となった場合、
偶然か故意か、もしくは合理的な行動かに関わらず1罰打が課され、球はリプレースしなければなりません。
これは、球を動かさないように努力したかは問われないところがポイントです。
次に、規則9.4bの例外4にある「動かせる障害物を取り除く」場合の罰なしの「偶然の動き」ですが、
これはパッティンググリーン以外の場所で、規則に基づいて合理的な行動をとっている間に
偶然に球を動かす原因となった場合のケースを扱っています。
動かせる障害物はルースインペディメントと同様に、プレーの挑戦の一部とは扱われないため、取り除くことができます。
しかし、ルースインペディメントの取り除きとは異なり、動かせる障害物は人工物なので
取り除いた結果、球が動いたとしても罰はありません。(規則15.2)
元の箇所にその球をリプレースすれば良いのです。
それ故、動かせる障害物を取り除く行為で球が動けば、すべて「偶然の動き」となるでしょう。
この状況で唯一考えられる「故意」の行動は、
動かせる障害物に寄りかかっている球の処置をするときに、誤って球を拾い上げてしまうことです。
この場合、規則9.4bに基づき1罰打を受けます。
例えば、プレーヤーは球が動いたら正しくリプレースするために、球の位置をマークしたとします。
その際に、プレーヤーは反射的にマークしたら球を拾い上げる習慣からその球を拾い上げてしまった場合、
「故意」に自分の球を拾い上げたことになります。
合理的な行動をとっている間の「偶然」の球の動きにはなりません。
皆さんはそのようなことがないように気をつけましょう。