楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年11月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年11月放送分

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11月1日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

いつも楽しく聞いています。

特に、教えて!Noryは本当に参考になります。

ホームコースの6番ホールのロングホールには、グリーン手前50ヤードくらいにクリークが横切っていて、
グリーン右手前と右横にバンカーがあります。

残り140ヤードくらいから第3打を打ったところ、ハーフトップでクリーク方向に飛んで行きましたが、逆光のためよく見えませんでした。

マーカーの方が、「池だね。」と言ったので、最後にクリークを横切ったと思われる地点から
2クラブレングス以内にドロップして第5打目を打ち、5オン2パットのダボと申告しました。

ホールアウト後、7番のティーインググラウンドに向かう時にグリーン横のバンカーに私の第3打が入っていたのを見つけました。

クリークの石に当たって跳ねてグリーン横のバンカーに入ったようです。

それを見て、誤球の2罰打を付加して、9打と修正して申告しましたが、この措置は正しかったのでしょうか?

正しい措置とスコアを教えて頂ければ幸いです。

よろしくお願い致します。

【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

解答から申しますと、6番ホールのスコアを9と申告したのは誤りです。

このケースでは「分かっている、または事実上確実」の基準が満たされているか、否かで2つの可能性があります。

1つ目は、ご質問者様の3打目がペナルティーエリアに入ったことが「分かっている、または事実上確実」だった場合、
ラテラル救済の処置は正しかったと言えます。

それなので、ダブルボギーの7がそのホールの正しいスコアになります。

これは、たとえ球がペナルティーエリアに入っていなかった事実がホールアウト後にわかった場合も同じです。(規則17.1c)

2つ目は、ご質問者様の3打目がペナルティーエリアに入ったことが「分かっている、または事実上確実」ではないのに
ラテラル救済をした場合、ドロップして打った球は誤所からのプレーになります。

この処置で適用できる唯一の規則はストロークと距離の罰なので、
誤ってラテラル救済をした処置は誤所からの重大な違反になるでしょう。(規則14.7b)

このような場合、次のホールのティーショットを打つ前に誤りを訂正しなければなりません。

つまり、ストロークと距離の救済の1罰打と誤所からのプレーの2罰打の合計3罰打を加えて、
3打目地点に戻って行うストロークは7打目になります。

そうしなかった場合は失格になります。

そもそも、「分かっている、または事実上確実」とはプレーヤーの球に起きたことを決定するための基準で、
単に可能性がある、または起こりそうであること以上である場合か評価しなければなりません。

それは、疑念はほんのわずかにあるものの、
合理的に入手可能なすべての情報は問題になっている出来事の起きた可能性が
95%以上であることを示している場合のことです。(定義:分かっている、または事実上確実)

このケースではご質問者様や同伴プレーヤーは球が池に入ったことが見えておらず、
球の飛んだ方向や距離をもとに、「恐らく池であろう」という70%〜80%ほどの確率なのではないかと推測します。

さらにクリークに石がゴロゴロある場合は、球が石に当たって大きく跳ねる可能性があるので、この数値は下がります。

すると、2つの選択肢のうち、2個目の3打目に打ちに戻って7打目としてプレーしなければならないのが正しい処置だと推測します。

ご参考にして頂けますと幸いです。

11月8日(土)
木の上に球が止まってからプレーの中断となる解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

ソニー日本女子プロゴルフ選手権は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

ここは松の木が多く、ショットを曲げると球が木の枝に止まってしまうことがあります。

1ラウンド目の8番ホール(パー3)では、プレーヤーのティーショットがパッティンググリーン右の松の枝に止まり、
その直後に雷の為、即時中断のエアホンが鳴りました。

この時、球らしき物が枝に止まっていることは確認できたのですが、
プレーヤーはここで球の捜索をすべきか止めるべきかを悩んでいました。

何故なら、ここで球の捜索を続けて、その間に自分の球だと確認できた場合、
翌朝にプレーの再開をするとき、たとえ夜の間に風で球が地面に落ちていたとしても
木の枝に止まっていた場所にあったものとしてプレーを続けなければならないからです。(規則5.7d(2))

これが、球の確認を行っていなかった場合、翌朝の捜索時間内にプレーヤーの球が木の下のラフで発見されれば、
そこからプレーを続けることになります。(規則18.2a)

ちなみに、球の捜索はプレーの中断となっても行うことができ、捜索を打ち切らない限り3分間の時計は止まりません。

そのため、3分間の捜索時間が終了した時に球が見つからなければ、
プレーの中断中であっても、その球は紛失となります。(詳説18.2a(1)/1)


一見、すぐに球を確認しない選択肢の方がお得な感じがするかもしれませんが、リスクも伴います。

それは、翌朝のプレー再開前に球が木の枝の上にも木の下のラフにもない場合、
プレーヤーの球は紛失球となり、ストロークと距離の救済が唯一の選択肢になります。

そのため、アンプレヤブルの球の選択肢はなくなります。


結果的にこの選手は、プレーの中断のときに球の捜索を止め、翌朝まで待ちました。

すると、捜索を始めてからプレーヤーの球らしきものが木の枝の上にすぐに見つかり、
ペットボトルを投げてその球を落とそうとしましたが、結局、捜索時間内には確認することはできませんでした。

プレーヤーはストロークと距離の1罰打のもと、ティーイングエリアに戻ってプレーを再開することになりました。

11月15日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

お世話になります。

ダブルノーリー、タケさん、いつもこのコーナーで学ばせてもらっています。

先日の競技でわからないことが起きたので教えてください。

同伴者からもメールが来ているかもしれませんが、よろしくお願い致します。

同伴者がセカンドショットを左方向に打ってしまい、
ボールは違うホールのティーエリア近く、保護ネットがあってカート道も近い、刈っていない深いラフに。

自分は25ヤードほど前を見ていたのですが、他の人にニヤレストなどを確認してボールをドロップ。

クラブを取りに行ってから、ボール近くで素振りを。

2度目ぐらいの素振りの時にラフにあった違うボール(ロストボール)を打ってしまいました。

本人は「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」と言っています。

ペナルティーは付くのでしょうか?

その日はノーペナでスコア登録しました。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、ペナルティーはありません。

球を打つ意思のない練習スイングを行っているときに隠れているロストボールにクラブが当たったとしても
練習とはみなされません。(規則5.5a)

それなので、同伴プレーヤーの「見えなかった。知らなかった。打つ意思は無かった」という主張は
裁定するにはとても重要なポイントになります。

反対に、打つ意思を持って見えているロストボールを打ってしまうと、
規則5.5の違反による一般の罰がそのホールに課されます。

ホールとホールの間に起きた出来事の場合は次のホールに適用されます。


別のケースですが、今年のソニー日本女子プロゴルフ選手権大会の最終日、
16番ホールで、優勝した金澤選手はレフェリーを呼んで何かを確認した姿がテレビに映っていました。

実は、彼女がラフで素振りをしているときに偶然にも松ぼっくりを打ってしまい、
練習ストロークとしてペナルティーが課されるのか確認していました。

そもそも松ぼっくりをクラブで打つこと自体練習ストロークではありませんので(詳説5.5a/1)、
偶然にクラブが松ぼっくりに当たっても罰はありません。

仮に、偶然に打ってしまったロストボールや松ぼっくりがインプレーの球を動かす原因となった場合は
インプレーの球を動かした1罰打(規則9.4b)が課され、元の箇所にその球をリプレースしなければなりません。

ご参考にして頂けますと幸いです。

11月22日(土)
ソニー選手権の日没サスペンデット解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

9月に行われたソニー日本女子プロゴルフ選手権大会は大洗ゴルフ倶楽部で開催されました。

132名の出場選手を回すために午前の部と午後の部に分け、
トップは6:20、最終組は12:45にスタートしました。

1Rは雷のため中断となり、サスペンスデットになりました。

1Rを2日目の6:57分にプレーを再開して8:43に終了。

2Rは7:30にスタートしてそのまま、
サスペンデットになった選手は1R終了の約40分後に2Rをスタートしてこの日は18ホール以上プレーすることになりました。

2Rの午後スタートの最終組は13:55だったため、
17:51の日没だとラウンドが終わらない計算になり、日没サスペンデットはほぼ決定していました。

それでも、3日目に2Rを残したくない選手達は脅威のスピードでプレーし、
結果的に残った組はアウト上がりが2組と1人、イン上がりが1組だけでした。

17:43に日没のため、通常の中断のエアホンを鳴らしたとき、
9番グリーンでプレーしていた組のうち2人の選手はホールアウトしてラウンドを終えましたが、
1人はカットラインの+3におり、24ヤードの大事なバーディーパットを残していたため、
プレーを中断することを決めました。(規則5.7b)

その時、セカンド地点にいた後続組は、ホールアウトすることを選び、組の終了する順番が入れ替わることになりました。

通常の中断の場合、その組の選手が1人でもホールをスタートしていたら、
プレーを中断するか、そのホールを終了するか選択することができます。(規則5.7b(2))

プレーを中断することを選んだ1人のカットラインにいた選手は、
マーカーの署名をして他の2人の選手がスコアカードを提出できるようにしました。

担当だった私は、残された彼女のパットをマーカーとして付き添うことになり、
17ホールマーカーしてくれた選手からサインをもらい、そのスコアカードを預かることになりました。

そうすることでマーカーの選手は翌朝プレーを再開するときに現場にいなくても良いことになりました。

3日目の朝、2Rは7:24分にプレーが再開されました。

その再開前の1時間前にその選手のキャディーが練習グリーンで練習器具を使用してパットの練習をして良いかと尋ねてきました。

この場合、問題はありません。

プレーの中断中は委員会が認める指定練習グリーンや打撃練習場で練習して、練習器具を使用しても良いですし、
アドバイスを受けても問題ありません。

それは、規則5.7aに基づくプレーの中断中は
ラウンドの途中ではあってもラウンドをプレーしていることにはならないからです。(規則5.1)

その選手は、7:24分の再開前に9番グリーンに来て一生懸命プレーのラインを読んでいました。

再開のエアホンが鳴った後、意を決したように打ったロングパットはホールに入り、
朝早くから観戦にいらしたお客様は優勝パットかのような盛大な拍手を送っていました。


その選手は+2で見事予選通過し、私はアテストエリアでスコアカードにマーカーとして署名した際に、
彼女が再開前の1時間ずっと24ヤードのパター練習をしていたことを知りました。

あっぱれです。

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