楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年10月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年10月放送分

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10月4日(土)
プレーの再開のエアホンが鳴る前にストロークする解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

6月に開催された宮里藍サントリーレディスオープンの3日目は、
トップの組がスタートした直後から激しい雨が降り、2度の中断と再開を繰り返しながらのラウンドとなりました。

その2度目の中断は、激しい雨の影響でパッティンググリーン全体に水が浮いて9時02分に中断となりました。

その20分後に雨は止み、グリーン上の水は引いたものの、バンカーの水溜まりが残ったままだったので、
特に酷かった3つのバンカーの水抜き作業を終えた9時41分に再開をしました。

その後は雨が降ったり止んだりを繰り返したものの、中断なく3ラウンドを終えることができました。

ところが翌日の4ラウンド目の競技中、ある大会関係者より、
「3ラウンドの2回目の再開のエアホンが鳴る数分前に、
ある選手が10番グリーンで1メートルのパットをストロークしたのを見たけど問題ないのか」
と質問されました。


この時、当該選手は既に4ラウンドをスタートしていた為、
ラウンド終了後に集計所で内容を確認したところ、事実であったことが分かりました。

結果的に、プレーヤーは3ラウンドの10番ホールに一般の罰(2罰打)を足してスコアを修正することになりました。

3ラウンドのこのプレーヤーの組は、10番ホールでパッティング中に中断のエアホンが鳴りました。

この時、3選手のうち2人は既にホールアウトしていて、あと1人がショートパットを残すのみという状況でした。

通常の中断なので、エアホンが鳴った後でもプレーを続けることができますが、
グリーン上に水溜まりができた為、パットすることができませんでした。

そこでプレーヤーはプレーを止めて、近くにあるトンネルで雨宿りすることにしました。

しばらくすると雨は止み、グリーン上の水が引いたため、
プレーヤーはパッティンググリーンに戻って、再開のエアホンが鳴る数分前にパットしてホールアウトしてしまったのです。

何故、このような行動を取ったのかと訊ねると、
プレーヤーは危険が及ばない通常の中断だった為、ホールをプレー中であれば、
中断のエアホンが鳴ってもそのホールに限り、終了できると理解していました。

これ自体は正しいのですが、問題は中断のエアホンが鳴った後に、
グリーン上に水溜まりがあった為にプレーヤー自身がそこで一旦、プレーを中断したことです。

規則5.7bには、
「ホールのプレー中に通常の中断となった場合、プレーヤーがそのホールを終了する前にプレーを中断した場合、
委員会がプレーを再開するまで、プレーヤーは別のストロークを行ってはならない」
とあります。


このケースでは、プレーヤーがホールアウトせずにパッティンググリーンを離れて雨宿りをしたことでプレーを中断したとみなされ、
プレーの再開のエアホンが鳴るまでプレーを待たなければなりませんでした。

この違反をした場合は失格となりますが、
幸いにもこの規則には例外があり、再開のエアホンが鳴る5分以内にストロークをした場合、
規則5.3a例外2が適用され、一般の罰となりました。(規則 5.7c(2)例外)

これは例えば、プレーヤーがスタート時間より前にティーショットをプレーした時と同様に、
それがスタート時間の5分以内であれば失格を免れ、一般の罰を受けるのと同じです。

このことをプレーヤーに説明し、
前日の3ラウンドのスコアカードを提出する前には受けていたことを知らなかった2罰打を加えて
スコアを修正しました。(規則 3.3b(3)例外)

10月11日(土)
デシャンボーがUSオープンで危うくルール違反となる解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

6月にオークモントCCで開催されたUSオープンで昨年の覇者として参加したブライソン・デシャンボーが
1ラウンド目の4番ホールで危うく罰打を課されるところがTVに映り、話題となりました。

4番ホール(パー5)でティーショットを右のバンカーに入れ、
顎の高いバンカーから2打目をフェアウェイに出した球は、ギャラリーが歩くクロスウェイにあり、
USGAはローカルルールで、緑線で囲われたそのクロスウェイを修理地と定めていました。

デシャンボーはその修理地から救済しようと球を拾い上げましたが、
正しい救済エリアが本人の望んだ場所と違うと分かると、拾い上げた球を元の位置にリプレースできると思い、
現場にいたレフェリーにそう尋ねました。

しかし規則では、修理地からの罰なしの救済を受けるつもりで自分の球を拾い上げ、
その後になって気が変わり、処置をしないと決めた場合、その球を拾い上げる権利はもはや無効となります。(詳説9.4b/4)

もし球があった元の箇所にリプレースするとなると、
インプレ―の球を拾い上げたことにより規則9.4の違反で1罰打を課すことになります。

そのことをレフェリーから伝えられると、デシャンボーは1罰打を免れようと、
望んだ場所ではないけれど、修理地の救済をしようと決めます。

その場所は元の位置より5ヤードほど後ろに下がったところなのですが、
デシャンボーは更に勘違いして、救済エリアにドロップすべきところをプレースしてしまいます。

再度、レフェリーに誤りを指摘され、プレースした球を拾い上げ、罰なしにドロップして救済を正しく終えました。

もしプレースした球をそのままプレーした場合、誤所からのプレーで2罰打を受けるところでした。

しかしプレーする前だったので、規則14.5bに基づき、罰なしに誤りを訂正することができました。

この教訓として皆様にお伝えしたいのは、
もし球が修理地や障害物などの上や近くに止まっていて罰なしの救済が受けられるとしても、
すぐに球を拾い上げないことです。


それは拾い上げた後に、ドロップすべき救済エリアが球の止まっている位置より好ましくない状況となる可能性があるからです。

その辺りも見極めてから正しく救済を始めましょう。

10月18日(土)
球が空中に飛ぶことなく地面にくいこんだ場合解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

AIG女子オープンの2ラウンド目。

今、注目のロッティー・ウォード選手が16番ホール(パー4)でルーリング要請をしました。

イギリス生まれのウォードはアマチュアからプロに転向した初戦のスコティッシュオープンで優勝し、
AIGでも優勝候補に挙げられていました。

そんなウォードは16番ホールの2打目をミスショットし、
グリーン右手前の膝近くまであるフェスキューのラフにすっぽり隠れてしまいました。

そこから3打目で横のフェアウェイに出そうとストロークしたのですが、
球はフェスキューの中に覆われたまま同じ場所にとどまりました。

その球がラフに埋もれたままの状態だと確認したウォードはレフェリーを呼び、
「自分の球はラフの中でくい込んでいるように思う」ということで、
罰なしで地面にくい込んだ球の救済を求めたのです。

しかしレフェリーはストロークをした時に球が空中に飛んでいないことを確認し、その場合であれば、
「たとえ球が地表面以下にあったとしても、地面にくい込んでいることにはならず、罰なしの救済は受けられない」
と伝えました。


これは規則16.3a(2)に記載されており、
例えば、誰かに踏まれて球が地面に押し込まれた場合や、
救済を受けるときにドロップした球が地面にくい込んだ場合も、
同様に地面にくい込んだ球の救済は受けられません。


ウォードはあるがままの状態でプレーすることは困難と判断し、アンプレヤブルとみなしました。

そして球とホールを結んだ20ヤード後方まで下がり、
カートやギャラリーが歩いて踏みつけられてできた自然道に球をドロップしました。

これは規則19.2bの後方線上の救済で1罰打をスコアに加えます。

ウォードはこの地点からホールまで58ヤードある距離を5打目でグリーンに乗せ、
2パットでこのホールをトリプルボギーとしました。

そんなトラブルに見舞われたウォードですが、
2日目の強風の中でスコアを落としたのはこの16番ホールと11番ホールのボギーのみ。

他のホールではバーディーを6つ取って順位を上げました。

多くの選手がスコアを崩す中、この日を通算-2の11位タイで終え、最終的に通算-4の8位タイで大会を終えました。

女子ゴルフ界は、ウォード選手のように海外でも若手の活躍が目覚ましく、ツアーに大きなインパクトを与えています。

10月25日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

久しぶりにメッセージします。

先日、ライの改善の話がありましたが、以前、草むらにボールが隠れているのをボールが見えるところ迄、
手では触れずにアイアンで草刈りして、ボールを打っている某会社の会長さんがいました。

勿論、これはペナルティーになるかと思いますが、一体これは何罰打になるのでしょうか?

過去にはティーイングエリアでデベソを注意したら白のティーマーカーを動かしたこともあります!

兎に角、この会長さんは独自のルールを作るので、一緒にラウンドすると周りは困ってしまいます。

大変なんですよね~!


【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

たとえプライベートのゴルフだとしても、このような会長さんとのプレーは大変だとお察しします。

まず1つ目の質問です。

実際の状況を見ていないので明確には答えられませんが、罰なしか2罰打のいずれかになります。

規則7.1aには、「球の捜索において、球を見つけて確認するために合理的な行動をとることができ、
その行動には草、ブッシュ、木の枝、その他の生長または付着している自然物を動かすこと、
曲げること、そのような物を壊すことが含まれます。

ただし、球を見つける、または確認するために合理的な行動をとったが、結果として壊してしまった場合に限ります」

このようにフェアな捜索をした上で、ストロークに影響を及ぼす状態を改善した場合、
その改善がフェアな捜索の結果であれば罰はありません。


しかし、改善がフェアな捜索の為に合理的な限度を超えた行動の結果である場合、規則8.1aの違反に対して2罰打となります。

ご説明にあったように、草むらに隠れている球を見えるところまでアイアンで草刈りしたのであれば、
合理的な限度を超えた行動である可能性は高く、違反と裁定されるでしょう。


2つ目の質問ですが、ティーイングエリアでティーアップした球がティーマーカーより前にあり、
それを注意したらティーマーカー自体を球の前に動かしてティーショットしたということですね。

これは規則6.2b(4)の「ティーイングエリアからプレーするときにティーマーカーを動かすことの制限」に書かれていますが、
プレーヤーがティーイングエリアからストロークをする前にティーマーカーを動かすことによって
ストロークに影響を及ぼす状態を改善した場合、規則8.1aの違反に対して2罰打を受けます。

しかし、このケースでは、プレーヤーはティーアップした場所がティーイングエリアの前にあり、
それを直すために、ティーアップの位置を動かさず、
ティーマーカーを動かすことによってティーイングエリアに球があることにしたならば、
委員会は規則1.2aのゲームの精神に反する重大な非行として失格とすることができます。
(詳説6.2b(4)/1)

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