楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年9月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年9月放送分

Backnumber2025年9月 放送分

9月6日(土)
コーンフェリーツアーでアドバイスにより失格になった2人の選手解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

6月最終週に開催されたメモリアルヘルス選手権の初日、17番ホールパー3での出来事です。

元アマチュアランキング1位のコール・ハマー選手がティーショットを打った後、
同伴プレーヤーのネルソン・レデスマがストロークを行う前に彼のキャディーが4本の指を立ててハマーを見ていました。

このジェスチャーは言葉を交わさなくとも「4番アイアン?」と尋ねており、ハマーも反射的にジェスチャーでそれを肯定しました。

一見何でもないやり取りですが、実はゴルフ規則10.2aのアドバイスの違反になります。

それはラウンド中、プレーヤーはコースでプレーしている人にアドバイスを与えたり、
プレーヤーのキャディー以外の人にアドバイスを求めてはいけない
からです。

このケースでは、レデスマがティーショットを打つ前に、彼のキャディーがハマーに
「4番アイアンを使ったのか?」とクラブを選択するときにプレーヤーに影響を及ぼす意図した質問をし、
ハマーはジェスチャーで返答しました。

このやり取りがレデスマの知らないところで行われていたかに関係なく、
アドバイスを求めたレデスマに2罰打、アドバイスを与えたハマーに2罰打が課されます。


これはたとえ、アドバイスを求めたのがレデスマのキャディーであっても、キャディーの行動は選手に責任があり、
キャディーが知った情報は選手も知っているとみなされる
からです。(規則10.3c)

ちなみに、このやり取りが2人の選手が打った後にお互いの使用したクラブを教え合ったのであれば
罰はありませんでした。(定義:アドバイス/2)

今回、2罰打で済むはずの違反が失格になったのは、
ハマーがこの事をそのラウンドのスコアカードを提出する前に委員会に提起しなかったからです。

彼はモヤモヤとずっと疑問に思っていた1ラウンドの17番ホールでの出来事を
翌朝の2ラウンド目のスタート前に委員会に告げました。

コーンフェリーツアーの委員会は、USGAにも相談した上で
ハマーとレデスマを2ラウンドの6ホール目で規則3.3b(3)に基づき失格と裁定しました。

本来であれば、規則3.3b(3)例外で、
スコアカード提出後に知らなかった罰を含めなかった場合は失格とはならず、
その罰を足した上でスコアを修正しますが、
今回はこの例外を適用せず両プレーヤーがこの行為が違反であることを知っていたとみなしました。


それ故、スコアカード提出前に含めるべき罰打を1ラウンドのスコアに含めなかったことによる、
いわゆる過少申告で2人を失格にした
のです。

キャディーは悪気もなく興味本位でプレーヤーの番手を訪ねたのかもしれませんが、選手達には痛い罰則となりました。

プロキャディーである以上、彼らもゴルフルールをしっかり学ぶ重要性があります。

9月13日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

同伴者の打ったティーショットがレディースマーカーに当たってティーインググラウンドに返ってきました。

「ゴルフルール早わかり集」に、
空振りでティーインググラウンドに落ちた球は、2打目としてティーアップして打てると書いてありますが、
今回のように何かに当たって戻ってきたり、チップして落ちた球はティーアップできるのでしょうか?

ノーリー教えてください。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、
ティーイングエリア内にある球はどのような理由でそこに止まったとしても、
罰なしに球を拾い上げて、ティーアップして打つことができます。


楽天GORA振り返りの2025年3月15日にお届けしました、「球があるコースエリア 〜ティーイングエリア編」
をご参照頂けますともっと詳しく書かれています。


【質問2】

ネットでこんな画像を見つけました!

これはホールインワンですか?
ボールを動かしてワンペナでバーディーですか?

宜しくお願い申し上げます。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

リスナーの皆さんは画像が見えないのでどのような状況かを説明しますと、
パー3のティーショットがパッティンググリーン上のホールに入りそうに止まっているのですが、
よく見ると、1本の松葉がホールに対して横たわっており、球がそれに寄りかかってホールに転がり込むのを阻止しています。

球の半分以上はホールの上の空中にあるのですが、旗竿には寄りかかっていません。

このような状態で松葉を取り除くと、確実に球が動き、もしかしたらホールに入るかもしれません。

この場合、球全体がパッティンググリーン面より下にはないので、ホールに入ったことにはなりません。
(定義:ホールに入る)

そして、パッティンググリーン上にある球なので、
球をマークして拾い上げて球をリプレースしなければならない場所にある松葉を取り除いても罰はありません。

(規則13.1d(1)、規則15.1a例外1)

松葉を取り除いた後、球を元の箇所にリプレースするのにホールの上の空中にリプレースすることはできませんし、
ホールの中にリプレースすることもできません。(定義:ホールに入る)

そのような時は、止まらない球の処置として、ホールの縁に球を置いてインプレーにします。(規則14.2e)

そしてタップインすることになるので、ホールインワンにはならなかったものの、ナイスバーディーとなります。

9月20日(土)
プレーのペース解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

一般のプレーでもスロープレーは問題視されていますが、競技におけるスロープレーは
観ているギャラリー、関係者、同伴プレーヤー、コース管理など広範囲に影響を及ぼすためとても重要です。

そのため、プレーのペースの管理はレフェリーの大事な業務の一つです。

そんな中、夏の暑い時期のプレーのペースの管理は特に難しいです。

命の危険を感じる暑さの中、プレーしている選手やキャディーにペースアップを促すのは、仕事とは言え心苦しいです。

しかし、選手やキャディーに理解していただきたいのは、プレーのペースを守ることはプレーヤーとしての責任であるということです。

多くの選手やキャディーはペースを守り、遅れてしまった場合は前の組に追いつく努力をします。

しかし、残念なことに一部の選手やキャディーはあまり重要視していないように思います。

プレーのペースはゴルフ規則5.6に記載されており、
誤球や誤所からのプレーをすれば罰が課されるように、スロープレーにも罰が課されます。

JLPGAでは、規則5.6b(3)の委員会のプレーのペースの方針に基づき
ローカルルールでアウトオブポジションの定義や罰則を規定し、選手とキャディーに共有しています。


レフェリーの業務であるペースの管理は決して個人的な感情に左右されて行っているものではありません。

しかし、プレーの遅い選手から聞こえてくる声は「私は狙われている」や
「私よりも遅い選手は他にもいる」などの利己的な考えです。

一打にかける思いは理解できますが、規則という枠の中で最高のパフォーマンスをファンの皆さんに届けて欲しいです。

また、キャディーさんからは「こんな暑い中急げって、殺す気ですか」や「死んでしまう」などと言ってきます。

しかしペースアップとは決して走ることではありません。

そもそもストロークにかける時間やキャディーとの相談が長いからアウトオブポジションになったのであって、
その1ストロークにかける時間を短縮したり、
プレーヤーとの相談を効率よく行っておくなどでペースアップを図って下さいという意味
です。

お互い一生懸命仕事をする上で規則を施行するのがレフェリーです。

日頃の鍛錬を発揮し、最高のプレーに努めるのは選手、クラブを運び選手のバディーなのがキャディーです。

私はどの立場の人も尊いと思います。

ゴルフをプレーする際はどの方もプレーのペースの責任を認識してラウンドしましょう。

9月27日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

暑い日にラウンドしていると、ボーッとしていて他のプレーヤーのことが見られないことがありますよね。

AさんとBさんがピンまでほぼ同時につけてファーストパットの準備に入りました。

間に他のプレーヤーが立っていて、お互いが死角に入ったのか、AさんとBさんがほぼ同時にパターを打ちました。

そしてそのボールは、アンジュレーションの強いグリーン上でなんとピン寸前で衝突!

結果、衝突後にAさんのボールは弾かれたおかげでカップインして、Bさんのボールは弾かれたせいでカップを外しました。

ゴルフ規則11.1aにより、動いている球同士が衝突した場合、
両方の球が動いている状態で衝突したとしても、グリーン上の球を打ったプレーヤーにペナルティーが課せられますが、
この場合、二人ともグリーン上にいる球を打っています。

よろしくご教授のほどお願い申しあげます。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

パッティンググリーンからプレーされた球がそのパッティンググリーン上で動いている別の球に当たった場合、
罰はなく、そのプレーヤーはそのストロークが行われた箇所から元の球か別の球をプレーすることによって
そのストロークを再プレーしなければなりません。
(詳説11.1b(2)/1)

こちらの詳説は2024年1月に追加されたものです。

もし、プレーヤーがそのストロークを再プレーしなかった場合、
そのプレーヤーは一般の罰を受け、ストロークをカウントしますが、
そのプレーヤーは誤所からプレーしたことにはなりません。
(規則11.1b(2))

規則11.1aの例外はストロークプレーでパッティンググリーンからプレーされて動いている球が
パッティンググリーンに止まっている別の球に当たり、
そのストロークの前にその両方の球がパッティンググリーンにあった場合は、ストロークを行ったプレーヤーは一般の罰を受けます。

止まっている球も動いている球も動かせる障害物で変わりないのですが、
パッティンググリーンからストロークを行って止まっている球に当てた場合は罰を受ける可能性がありますが、
動いている球に当たっても罰はありません。

Recommend Contentsオススメのコンテンツ

キャンペーン・特集一覧