楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年4月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年4月放送分

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4月5日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

タケさん、ダブルノーリー先生、おはようございます。

TikTokで、コースの大きな池かクリークの横に留まっている巨大なワニの頭の上にボールが乗っている動画が流れてきました。
本当にプレーヤーの打球なのかも確認できないし、そもそも近づけないと思います。

こういう場合、プレーはどのように続けるのでしょうか?

日本にワニはいませんが、国内ならキツネがボールを咥えて逃げて行く動画を見たこともあります。
仮にキツネやカラスが咥えたボールをそのまま使うのはエキノコックスなどの病気が怖いです。

プレーヤーの安全が最優先で間違いないと思いますが、お二人の見解をお聞かせくださいませ。


【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

TikTokでその動画を見つけました。

池の脇の芝地でお昼寝をしているワニの頭に球が乗っているのですが、そのワニは微動だにしません。
そのすぐ側で、もう一匹のワニが池の中で大きな口を開けていました。

まずプレーヤーの球かどうかの確認ですが、
打ったショットが池に入ったことが分かっているか事実上確実なのであれば、
1罰打で最後にペナルティーエリアを横切った地点からペナルティーエリアの救済が受けられます。

もし池に入ったことが分からないのであれば、
ワニの近辺を捜索したりワニの頭にある球が自分のであるかを確認しなければなりません。

これは距離計測器や双眼鏡などを使って確認することもできますが、
3分間の捜索時間内に分からなければ紛失となります。

仮に、ワニの頭に乗っているのが自分の球だったとします。

その場合、ワニは危害を及ぼす可能性のある動物なので、
規則16.2に基づいて罰なしに「危険な動物の状態」から救済が受けられます。

救済方法は、異常なコース状態と変わらず完全な救済のニヤレストポイントを基点として、
ホールに近づかないワンクラブレングス以内に球をドロップします。

この場合の完全な救済のニヤレストポイントは、
球がある同じコースエリアで危険が存在しないホールに近づかない最も近い地点となります。


ワニはジェネラルエリアの芝地にいるので、ジェネラルエリアで基点を定めますが、
この動画ではおそらくワニから10ヤード離れたホールに近づかない辺りが安全かと思います。

そこに基点を決めたらワンクラブレングス以内の救済エリアに
別の球をドロップしてプレーを続けることが出来ます。


キツネの場合、危険な動物ではないのでワニのように規則16.2では扱いませんが、
球を咥えて動かされたときは規則9.6の「外的影響が拾い上げた、動かした球」が適用します。

この場合、動かされた球は元の位置にリプレースしなければなりません。

リプレースなので、初めの球がすぐに取り戻せる場合は、その動かされた球でリプレースしなければいけませんが、
感染の危険があるという理由で、委員会は別の球でリプレースを認めることができます。

4月12日(土)
誤球されたために球が紛失解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2020年日本女子プロゴルフ選手権の1ラウンド目に起こった出来事です。

6番ホール(パー5)で、プレーヤーAのティーショットは左ラフへ飛んでいきました。

同伴プレーヤーBとCがセカンドショットをしている中、Aは左ラフを捜索していたのですが、
あるはずの球は見つからず3分の捜索時間が経ってしまったため、
紛失球となりティーに打ちに戻っていきました。

改めてティーショットをしてセカンド地点に戻っている間、BとCは3打目地点へ歩いている途中で
ドライクリークの手前のラフで球を見つけました。

それは球を捜索していた地点から約20ヤード前だったのですが、確認してみるとそれはBの球でした。

つまりBはAの球を自分の球だと思い込み誤球をしていたのです。
ここでルーリングとなりました。

本来であれば、誤球されたプレーヤーは罰なしに、
打たれた箇所に球をリプレースしてプレーを続ければよいのですが、
このケースではAはBによって誤球されていたことを知らずに球の捜索をしました。
(規則 6.3c(4))

当然、球は打たれてしまっているので、探しても見つかるはずもないのですが、
規則では3分の捜索時間が終わったときに、
Bによって誤球されていたことが「分かっている、または事実上確実」でなければ、
Aの元の球は紛失となってしまいます。
(定義:分かっている、または事実上確実/3)

Aはストロークと距離の罰のもと、ティーに打ちに戻った球でプレーを続けなければならず、
セカンド地点から4打目をプレーしていきました。

一方、Bは誤球の2罰打を受け、セカンド地点にあった自分の球でプレーを続けました。

Bは自身の球の捜索はしていないので紛失とはならず、セカンド地点から4打目をプレーしていきました。

このケースはAにとって非常に不運でしたが、
この教訓として、他のプレーヤーのショットの行方もちゃんと見て、自分の球と同じような場所に止まったときは注意する。
または自分だけ色の違うカラーボールを使うなどしてトラブルを回避することが考えられます。

4月19日(土)
2028年から適用される新たな球の規格解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

シーズンオフに行われた勉強会でゴルフ用具に関する講習がありました。

その中で、2028年に導入される新たな球の規格について触れたので、皆様にも共有したいと思います。

この規則は2023年発表当初、2028年からローカルルールとして導入されるとのことでしたが、
現在は一般のゴルフ規則として導入されると決定しました。

しかし一般アマチュアについては2年間の猶予期間があり、2030年1月1日から適用となります。

それ以外のプロ競技やエリートレベルのアマチュア競技では、
2028年1月1日から修正された標準総合距離(ODS)のテストをクリアした適合球を使用しなければ違反となります。


新たな球の規格とは、現在使用されている球よりも”飛ばない球”を適合球として定めることです。

飛ばないと言っても、その差はプレーヤーのヘッドスピードと飛距離によって変わります。

例えば、ドライバーショットでは一般のアマチュアで5y以内、女子プロで5~7y、
男子プロで9~11y、最も飛ぶプレーヤーは13~15yとされています。

では何故、この改訂が必要なのか。

それは、近年のプレーヤーの飛距離が著しく伸び続けていることで、コースが対応しきれなくなっているのが主な原因です。

特に男子ツアーではドライバーで300yを軽く超える選手が増え、
パー4でのセカンドショットはショートアイアンばかりで、本来のゴルフゲームの挑戦の要素が薄れてしまいました。

またパー5では2打で届いてしまうため、ツーオン待ちが長くなりプレーのペースにも影響が出ています。

これらを改善するためにはコースを長くするしかなく、それには土地や改修工事のコスト、
更に芝のメンテナンスや水もより必要となります。

しかし多くのコースでは、そのような改修は現実的でなく、環境問題にも繋がるので、
問題解決の一助として、R&AとUSGAは球によって達成される距離への制限に着目しました。

男子プロは、1980年代から現在までの飛距離を比較すると約40ヤード、
つまり1年で約1ヤードずつ伸びているというデータがあります。

これはPGAツアーの男子プロのロングヒッターから得たデータであり、
今後何も手立てをしなければこのペースで伸び続けると予測しています。

この改訂はその伸びを緩やかにすることで、今あるコースを改修することなくプレーできることを期待しています。


この新たな球の規格とは、クラブヘッドスピードが125mph(55.5m/秒)と打ち出し角11度、
バックスピンが毎分2220回転でテストしたときに、球の標準総合距離(ODS)の制限が317ヤード(+3ヤードの許容誤差)、
つまり320ヤード以内であれば適合球とされます。

このクラブヘッドスピードの125mph(55.5m/秒)と定めた理由は、
2023年のPGAツアーのロングヒッターの上位25選手のボールスピードの平均が183mph(81.3m/秒)で、
そのボールスピードを出すには125mph(55.5m/秒)のクラブヘッドスピードとのことです。

現在の球の規格のクラブヘッドスピードが120mph(53.3m/秒)と打ちだし角10度、
バックスピンが毎分2520回転で320ヤード以内と比較すると、数値上、制限が厳しくなっているのが分かります。

適合球と認められた球は、2028年1月から適合球リストに掲載され、
適合球であると分かるための識別マークを付けることが検討されています。

4月26日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

質問です。OBの球をOB区域と知らずに打ってしまった場合の処置です。

Aさんはティーショットを打ちましたが、OBラインも見える場所に打ち込んだ為、暫定球を打ちました。

セカンド地点に行ってみるとコース脇に1打目の球が見えたので、
その球を打ちましたが、同伴プレーヤーから打った地点はOB区域との指摘を受けました。

よく見るとその境界線を越えていました。この場合の処置を教えて下さい。


【解説】

ご質問者様、ご質問有難うございます。

本来、初めの球をOBに打ってしまった場合、暫定球がインプレ―の球となり、
その球でプレーを続けなければなりません。

それを誤ってOB区域にある球をプレーしたことにより誤球として規則6.3cの違反で2罰打を受けます。

プレーヤーはセカンド地点にあるインプレーとなった暫定球でプレーを続けることになりますが、次が6打目となります。

打数の数え方としては、初めの球をティーショットして1打、
それがOBに行ったのでストロークと距離の罰で1罰打を足します。

それなので暫定球としてプレーしたティーショットは3打目となります。

本来ならセカンド地点から4打目となりますが、誤球の2罰打を加えて6打目となります。

ここで間違えやすいのは、誤球でプレーしたストロークをカウントしてしまうことですが、
そのストロークはカウントしません。


ご参考になれば幸いです。

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