楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年3月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2025年3月放送分

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3月1日(土)
強風のための中断解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年1月に開催されたPGAツアーのファーマーズインシュランスオープン2日目は、
強風でパッティンググリーン上の球が止まらないために午後2:05に競技が中断されました。

委員会は中断中にパッティンググリーンを散水した後、午後3:30に再開しましたが、
そのラウンドは日没サスペンデットになりました。

大会はカリフォルニア州サンディエゴ市にあるトーリーパインズで開催され、
予選ラウンドは北コース18ホールと南コース18ホールが使用されていました。

この風はサンタアナの風が影響しており、常時6m/s(15mph)、最大13m/s(30mph)の突風が吹き荒れていました。

本来、中断中にパッティンググリーン上の球を止まりやすくするために散水して、
プレーのコンディションを人為的に変えることはほとんどありません。

しかし強風の中、競技を続けるための有効な手段として委員会は実行したと思われます。

風の影響で競技を中断する具体的な基準はないもののガイダンス(推奨)はあります。

そこには、「パッティンググリーン上で風によって、
例えば3つ以上の球が動かされたということはプレーを中断する理由になる」とあります。
(競技中6E(2)d)

しかし2024年のAIG Women’s Openがセント・アンドリュースで行われた際、
強風で3つ以上のグリーンで3つ以上の球が動いていましたが、競技を中断することなくプレーは続けられました。

規則書のガイダンスを定めているR&Aが、そのガイダンスを無視して強風での競技を強行するのは矛盾がありますが、
そこには大会を開催する諸事情や難しさがあります。

また強行できたのは、2019年に改訂されたパッティンググリーン上の規則で、
プレーヤーが罰を受けることが少なくなり、荒天の中でもプレーを続けやすくなったことも挙げられます。

例えば、プレーヤーがパッティンググリーン上で一度マークして拾い上げ、
リプレースした球が風の影響で動いたとしても、無罰で元の箇所にリプレースになります。

それでも風で動いた球を元の箇所かその近くにリプレースしようとしても止まらない場合は、競技を止めるべきです。

例えば、リプレースした球が元の箇所に2度試しても止まらない場合、ホールに近づかない、
その箇所から最も近いパッティンググリーン上かジェネラルエリアの箇所に球をプレースするのですが(規則14.2e)、
この処置で1メートルも離れたところが救済箇所であったり、
カラーにしか球が止まらない場合などはフェアなプレーに問題があるといえますので、中断を考えるべきです。

JLPGAの競技で風によって中断したケースは非常に稀です。

過去には、2009年のフジサンケイレディスの最終日のあるホールで、
ホールから1mに止まっていた球が強風で20m転がってカラーまで行ったことがありました。

この時は強風が収まる見込みがないという理由で中止となりました。

近年の異常気象による猛暑や強風、大雨など荒天の中競技をする場合、
どのように運営するのか難しい問題になりそうです。

3月8日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

バンカー内でのレーキの取り扱いについて教えてください。

コンペの時のことです。

バンカーの外周から遠い所にボールがあったので、プレーの進行を早めるために、
レーキをバンカー内に持ち込んだところ、同伴者にプレーを止められ、バンカーの外にレーキを出されました。

僕は、当然良い処置だと思いましたが、この処置の良し悪しと、バンカー内のレーキを持ち込む時の注意点を教えてください。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

解答から申しますと、バンカー内にある球のショットを打つ前に
レーキやクラブをプレーに関係のないところでそのバンカー内に置いても違反ではありません。


プレーのペースにも大きく影響しますので、レーキは近くに持っておいた方が良いでしょう。

また、球のところまで歩いている最中に自分の足跡をバンカーレーキで消しながら行くのも
コースの保護を目的としているため、罰はありません。
(規則12.2b(2))

ただし、プレーの線や球のライに影響するところは、ストロークを行なってから均して下さい。

改善とみなされてしまうと2罰打が課されます。(規則8.1a)


【質問2】

おはようございます。押忍、拓大OB応援団の爺さんです。
爺さんは、コース管理のパートで働いています。

さて、バンカーレーキの置き方で質問です。

1.グリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く。
2.バンカー内側に斜めに立てかけて置く。
3.バンカー内に置く。

ルールがあるのか知りたいです。

コース管理で働く爺さんは、1番が整備しやすく良いと思います。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。

レーキの置く位置は1番を推奨します。

このグリーン側に均す先(Tの字に)バンカー外側に並行して両サイドに置く方法は、JLPGAも採用しています。

プレーヤーがレーキを手に持ちやすく、バンカーのメンテナンスもしやすい、
そして、球の動きに最も影響を及ばさないところに置くことで問題がないからです。

例えば、球がよく飛んでくるセカンド地点のクロスバンカーは
フェアウェイ側にレーキを置くのではなく、そのバンカーを跨いだ反対のラフ側に置くと良いです。

ただし、あまりにもプレーヤーから遠いところに置くのはそのレーキを取りに行くのに時間がかかります。

そこはレーキを置くセンスが問われるところです。

ご質問者様の2番目と3番目の提案はバンカー内にレーキを置くことですが、
その場合、球がバンカーの外で方向を変えられることはまず起きないと言えるため一見良さそうです。

しかし、レーキをバンカー内に置くプレーヤーはたいていバンカー内の側面に置くため、
そうすると球がバンカーの平らな部分に転がっていくのを止めてしまう傾向があり、
結果的に難易度の高いショットになったり、救済箇所がなくなったりします。

フェアプレーの観点からはあまりおすすめできません。

バンカーレーキの置き方や置く場所にルールはなく、各委員会やコースさんの決定事項になります。

しかし、規則ではレーキがバンカーの外で
球の動きに最も影響を及ぼさないと思われる場所に置くことを推奨しています。

(一般的なプレーのためのコースマーキング2D)

3月15日(土)
球があるコースエリア 〜ティーイングエリア編解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

このオフシーズンの1月に某ゴルフ場で2時間ほどのルール基礎編の講習会を開催しました。

35名ほどのメンバーさんが集まり、球があるコースエリアを正しく理解することの重要性を感じました。

そこで、今日は特定のコースエリアでも
プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリアについてお話しします。


そもそも、
「プレーヤーがプレーするホールをスタートするときに使用しなければならないティーイングエリア」
と長いタイトルである理由は、それ以外のティーイングエリアはジェネラルエリアだからです。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、プレーヤーの使用するティーイングエリアが白のティーマーカーだった場合、
そのホールの赤ティーマーカーのティーイングエリアや他のホールのティーイングエリアはジェネラルエリアになります。

また、赤のティーマーカーや他のティーマーカーは動かせる障害物になります。


ティーイングエリアは奥行き2クラブレングスの長方形です。

前の縁は2つのティーマーカーの最も前方を結ぶ線によって定められ、
横の縁は2つのティーマーカーの外側から後方の線によって定められます。
(定義:ティーイングエリア)

例えば、あるトーナメントでプラモデルの飛行機がティーマーカーだったのですが、
その飛行機は小さな土台から機体と翼がはみ出ていて、ホールに向かって飛び立とうとしているように設置されていました。

この場合、ティーイングエリアの前の縁は飛行機の鼻の先端部分であり、
外側の縁は翼の先端になり、土台の部分ではありません。

そして、球がティーイングエリアにあるとは、
球の一部がティーイングエリアに触れている、またはその上にある場合です。
(規則6.2b(1))


USGAの講師はこのティーイングエリアを説明するときに"Promise Land"、
つまり「約束されたエリア」と名付けていました。

何が約束されているのかというと、このエリアに球がある場合、
いつでもその球を拾い上げてエリア内の違う場所からストロークを行うことができ、
ティーアップすることも許されているということです。
(規則6.2b(5))

それは、エリア内にある球がインプレーであるかに関わらず動かしたとしても無罰です。(規則6.2b(6))

例えば、ティーショットを打とうとしたときに空振りをしてしまって、
その風圧で球がティーから落ちてティーイングエリア内に残ったとします。

その球を拾い上げて、再度ティーアップすることができます。

このケースでは空振りだったとはいえ、ストロークはカウントするので、次に打つストロークは2打目になります。

他にも、ティーショットが木に当たって跳ね返り、その球がまたティーイングエリアに止まったとします。
この場合も次のストロークを打つ前にその球を拾い上げてティーアップしたりエリア内の他の場所から打つことができます。


もう一つ約束されていることは、
ティーイングエリアの地面に限りますが、
ストロークを行う前に改善したとしても罰はないということです。
(規則6.2b(2))

例えば、ティーイングエリアの地面を押しつけて平らにしたり、砂や土を取り除いても罰はありません。


もし、ティーイングエリアの外からストロークをしてしまった場合、
ストロークプレーではそのプレーヤーに2罰打が課され、次のホールをスタートする前に訂正しなければなりません。

訂正しなかった場合は失格になります。(規則6.1b(2))


このように、ティーイングエリアの注意点と定義を理解することでプレーヤーの選択肢が広がりますので、
覚えていただけると嬉しいです。

3月22日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

業界のコンぺでの事。
前半4、5ホール目のグリーン上でプレーが終わった私が同伴者のパターカバーを拾ってあげようとした時
「あっ、そのまま置いておいてください」と、、

その後も見ていたら必ずカップの先5mぐらいにパターカバーを置いているのです。(最後までそうでした)。

フックラインは少し右目に、スライスラインは左に、、、
失礼ながらさほどお上手な方ではないので目くじらを立てることはなかったのですが、
公式競技の場合ペナルティーになるのでしょうか?

ボールに線を引いてラインを合わせるのと同じと見て罰はないのでしょうか?ご教授お願いします。


【解説】

ご質問者様、ご質問ありがとうございます。とても興味深い事例です。

解答から申しますと、同伴競技者の方は、そのパターカバーを目標として置いたすべてのストロークに対して
規則 10.2b(3)の違反により一般の罰(2罰打)が課されます。


それはストロークを行う前にその物を取り除いたとしても罰は免れません。
また、この規則は
目標を定める以外にもスタンスをとる、スイングをすることを援助するために物を置いた場合も適用されます。

例えば、足を置くことになる場所を示すために地面にクラブを置いた場合、
たとえストロークを行う前にそのクラブを取り除いても2罰打が課されます。

「物を置く」とは物が地面に接していて、そのプレーヤーがそのものに触れていないことを意味します。
また同様の目的のために行動、例えばスイングの援助とするために
プレーヤーが砂や露に印をつけるなどに対してもこの規則は適用します。


もう1つの質問で球に線を引いてラインを合わせるのと
物を置いてプレーの目標にすることは同じかということですが、それは異なります。
まず、球に線を引くことに問題はありません。

また球をリプレースしたり、プレースするときにその球を置く方向や向きは自由です。(定義:リプレース)

それなので、ラウンド中に球に引かれた線を使用して
パッティンググリーン上でプレーの線に合わせてストロークすることに問題はありません。

3月29日(土)
明らかに不合理な場合、救済はない解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2019年WGC Mexicoのファイナルラウンドで起きた2つのカート道に関するルーリングがあり、
両方とも似た状況だったにも関わらずダスティン・ジョンソン選手は救済が認められ、
ロリー・マキロイ選手は認められなかったことで話題になりました。

そして救済が認められたジョンソンはこの試合を優勝しました。

1つ目のルーリングはジョンソンの5番ホールのセカンドショットです。

彼のティーショットは右に曲がり、木の根元付近に球が止まりました。

木の右40センチほどのところにカート道があり、ジョンソンがフェアウェイに球を戻すには右足がカート道にかかる状況でした。

立ち会ったレフェリーは救済を認め、
完全な救済のニヤレストポイントからホールに近づかない1クラブレングスの救済エリアに球をドロップしました。(規則16.1b)

すると、グリーンへ向かってプレーするには邪魔になっていた木が全く関係のないところに救済が受けられたので、
彼は目標をグリーンに変えてナイスオンしました。

救済後にプレーの線を変えることは認められます。

2つ目のルーリングはマキロイの6番ホールのセカンドショットです。

彼のティーショットは右に曲がり、木の根元でグリーン側に球が止まりました。

木の左から50センチほどのところにカート道があり、
マキロイは隣のホールへ右打ちをすると右足がカート道にかかるとルーリングに立ち会ったレフェリーにアピールしました。

しかし右足がカート道にかかる状態で普通にバックスイングしようとすると木の幹が邪魔になり現実的でなく、
右足をカート道から外したスタンスの方が、バックスイングが可能な状況でした。

レフェリーは彼が主張するプレーの線は救済を受けたいがためのものであり
明らかに不合理と判断し、救済を認めませんでした。(規則16.1a(3))

すると、マキロイ選手はそれを受け入れ、木の根元にある球を左打ちでプレーしているホールのフェアウェイに戻しました。

この左打ちだとカート道は障害になっていませんでした。

マキロイの救済が認められなかったポイントは「明らかに不合理」という言葉です。

ほとんどの無罰の救済では、あるがままに球をプレーすることができない場合や
プレーヤーが明らかに不合理なクラブ、スタンスやスイングの種類、
プレーの方向を選択することでのみ障害が生じる場合は救済が認められません。


そのため、プロの試合では無罰の救済が認められるかが際どい場合、
プレーの方向やスタンス区域、スイング区域をデモンストレーションしてもらうことがあります。

小さな隙間を狙って打つと言われれば、その技術を持っているので救済を認めます。

しかし、明らかに不合理な場合、例えば木が密集していて、球が1つしか通らないような隙間は認めません。

このようなルーリングは難しいため、レフェリーはセカンドオピニオンを呼ぶこともあります。

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