楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2024年3月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2024年3月放送分

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3月2日(土)
アメリカ女子ツアーのスロープレー対策と秒数の"貯金"解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

アメリカLPGAツアー「ドライブオン選手権」の初日、
14番ホールのティーイングエリアに上がろうとした稲見萌寧選手の組に
レフェリーのスー・ウィッターさんがスロープレーの警告のために話しかけている姿がニュースとなり、
アメリカ女子ツアーのスロープレー対策が話題となりました。

アウト・オブ・ポジションと言って、
ある組のプレーが前の組と1ホール以上離れていたり、
委員会が設定した時間を超えたりした場合はレフェリーがその組に警告します。

それでも改善しなければ計測に入ります。
アメリカ女子ツアーの計測はワンショット30秒以内という独自のルールがあり、
最初にプレーする選手にはプラス10秒与えられます。


1ホール単位の計測方法を運用しているため、
30秒以下でプレーしたショットには
その少なかった秒数分だけ他のショットに時間をかけられる、
いわゆる「秒数の貯金」ができます。


例えば、オナーではない選手がティーショットを20秒で終えた場合、
30秒引く20秒で10秒の「貯金」をしたことになります。
この計測方法はホールが終了した時点で
「貯金」が+11秒より少なければ罰金や罰打の対象にはなりません。

例えば、計測されている選手のあるホールの打数が3打で、
どのショットもプレーの順番が2番目だった場合、
その選手は3ストローク×30秒でそのホールは90秒認められています。

もしその選手の合計が100秒だった場合は、+10秒で問題ありませんが、
合計が101秒で+11秒だった場合は罰則があります。
この罰則は1打の所要時間が60秒を超えた場合も同じです。

1回目の違反で2000ドル、
日本円にして約30万円の罰金と2罰打が課されます。

(LPGA 2023年プレーのペースの方針)

スロープレーの常習犯はさらに高い罰金が課されることもアメリカツアーの特徴です。
そして、次のホールにも計測が続く場合は秒数の貯金はリセットされます。

アメリカLPGAの1ホール単位で選手を計測する方法は、難しい運用方法です。
1つの試合には多くても6人、少ないときは5人の限られたレフェリーしかいません。
レフェリーが一人フィールドから完全にその組に取られてしまうため、
ルーリングや他の組の対応などは全くできません。

また、多くのギャラリーの中ではレフェリーは動きづらく、
その影響でティーショットの計測を見逃してしまうと、そのホールは計測できなくなってしまいます。
JLPGAも過去にアメリカの方式で運用していましたが、先ほど述べたような問題が発生しました。

今、JLPGAはワンショット40秒で計算し、最初に打つ選手にはプラス10秒与えます。
計測の単位はワンショットであり、その基準を超えればその場で選手に警告します。
この方が即時にスロープレーを取り締まることができるため、選手も常に緊張感を持ってプレーします。

それに比べ、プレーヤーにとって猶予があるアメリカの「貯金」制度は、
実際にスロープレーヤーを取り締まれているかというと疑問に感じます。
なぜなら、全般的にアメリカの選手はスロープレーで、
そのプレースタイルが改善しているとは思えないからです。

また、アメリカでプレーする日本人選手も、
日本ではプレーが早かったのに遅くなって帰ってくることが多々あります。
スロープレーは見ているギャラリーや周りの選手、興行にも良くありません。

JLPGAツアーは選手の要望もあり、
今年からスロープレーに対する罰金制度を取り入れました。

スロープレー対策はどのツアー団体にも悩みどころです。

3月9日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

先日のセルフプレーで同伴者のティーショットがなんと、230Y目安吹き流しにカップイン。
初めて見ました。カップから拾い、無罰ですぐ脇に置きプレー再開しました。
本来正しい処置はどうだったのでしょうか?
しかし、ホールインワンより珍しい場面に立ち会いビックリしました。


【解説】

ご質問ありがとうございます!

吹き流しのカップは定義上、キーパーの作った穴になるため、修理地になります。(定義:修理地)
そのカップに入った場合は、完全な救済のニヤレストポイントからホールに近づかない
ワンクラブレングス以内に球をドロップしてプレーを続けます。


キーパーの作った穴とは目的外グリーンのカップや、
ペナルティーエリアの杭の穴、または、ヤード杭を取り除いた後の穴も含みます。
そのような穴は白線や青杭などで表示されていなくても自動的に修理地になりますので、
覚えていただけると嬉しいです。




【質問2】

昨年ある試合で、ゴルフ人生で初めて、
用意したゴルフボールを18ホール目で使い切り、やむ無く競技棄権としました。

そこで質問ですが、こんな時の同伴競技者からボールを借りたり、
もらって競技を続けることは可能ですか?
勿論ワンボール制の競技ではありません。情けない質問ですがよろしくお願いいたします。


【解説】

ご質問ありがとうございます!

おっしゃる通り、ワンボールルールのない競技では
適合球であればどの種類の球を使用しても違反にはなりませんので、
同伴プレーヤーに球を借りて競技を続けることができます。

また、クラブハウスに戻り、球を購入しても良いです。
ただし、購入するためにクラブハウスに戻る行為は
不当の遅延で1罰打(規則5.6a)が課される可能性がありますので注意が必要です。

いずれにせよ、誰も球を貸してくれないとか、お金が無く球も買えない状況でしたら、
残念ながら競技を棄権するしかありません。

2022年5月14日のルールザニュースではワンボールルールが適用されている競技で
球が無くなってしまったケースを取り上げていますので、
「楽天GORAルールザワールド」のバックナンバーをご参照いただけると嬉しいです。


2022年5月14日(土)放送:持っていた球を全て使いきってしまった

3月16日(土)
スタート前の待っている場所や素振りをするとき解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

シーズン中のレフェリーは競技を運営し、見守る立場ですが、
12月から2月下旬までのオフシーズンはできるだけラウンドするようにしています。
単にゴルフが好きだからということもありますが、ラウンドすることによって、
プレーしている選手の気持ちを忘れないようにするためでもあります。

先月もプレーに行ったとき、ゴルフマナーで気になることがありました。

ラウンドをスタートするときに、後続組がすぐ後ろのティー面におり、
ティーショットを打とうとしているプレーヤーの真後ろに立って見ているのです。
また、待っている方によっては素振りをしたり、会話などをして音を立てていました。
少し離れたところから見ていた私は、ラウンドをスタートした組に対して
申し訳ない気持ちになりました。

このような状況が起こるのも、早めにスタート地点にいることが原因で、
それ自体は素晴らしいことなのですが、
スタートを待っている組は、ティーショットを打っている組に対して
プレッシャーをかけることなく、物理的に十分な距離を保つことが大事です。


例えば、乗用カートがあるならば、カートの中で待っていたり、
練習グリーンから前方を確認したり、
またはマスター室から指示があれば、その指示や時間を守ることも大切です。
後続組が同じティー面に乗って、スタートを待っていたり、音を立てられたりすると
前の組はどうしても気が散ります。

また、一般営業のスタート間隔はだいたい8分で、
ラウンド中に待ち時間が発生する可能性が高いです。ラウンド中、
特にショートホールのティー面でも同じことが起きますので気を付けましょう。

以前、吉井カントリークラブでラウンドした際、
驚いたのは、スタートが12分間隔だったことです。
つまり、ショートホールでは前の組がホールアウトするぐらい、
ミドルホールでは、前の組がパッティング中に後続組がスタートする間隔です。

そのスタート間隔でしたら、ラウンド中ほとんど待ち時間はなく、プライバシーが保たれます。
お互いのプライバシーを保ちながら楽しくラウンドができれば最高だと思います。

また、待っている間、素振りをされる方も多いかと思います。
その際に、人に向けて素振りをするのはやめましょう。
万が一にもヘッドが取れて、その方向に取れたヘッドが飛ぶと怪我をします。

周りに人がいないことを確認して、人がいない方向や壁に向かって素振りをしましょう。

3月23日(土)
「教えて!Nory」解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

嫁さんと、熱いトークバトルになり結論が出なかったので、何卒答えを教えてください!

グリーン上の球について、
風や傾斜などで動いた球は、最後に止まった箇所から無罰でプレーとあります。
それでは、一旦マークし、プレーのためにマークを取り上げた後、自然に動いた場合、
どうするのが正しい処置でしょうか?

仮に動いた球がカップに入った場合は、カップインとなるのでしょうか?
もしそうなら、ショートホールでワンオンした球が、この場合、ホールインワンとなるのではないでしょうか?
パターで素振り中に風などの自然の力で動き出した球の処置も教えてください。


【解説】

ご質問ありがとうございます!

解答から申しますと、
そのグリーン上にある球をすでに拾い上げたかどうかによって処置が異なります。

すでに拾い上げてリプレースした球が自然の力が原因、
または、偶然にプレーヤーが動かした場合は、
無罰で元の箇所にリプレースです。
(規則13.1d)

まだ拾い上げておらず、リプレースしていない球が自然の力で動いた場合は、
新しい箇所からプレーしなければなりません。
(規則9.3参照)

ご質問には球をマークしたとは書いてありますが、球を拾い上げたとは書かれていません。
その違いはとても大きく、規則の観点からは、
球の箇所をマークしただけでは球を拾い上げたことにはなりません。

マークした後にその球に触れなくてはなりません。

球を「拾い上げる」とは手で拾い上げる、回す、または何かの救済をするなど
故意に球を動かす原因となることを含め、どのような方法でも行えます。(規則14.1)

ここは憶測ですが、球にマークされたということは、
おそらくその球を拾い上げてリプレースした後のことを疑問に思われたのだと思います。

この場合は、パターで素振りをしている間に風が原因で球が動き始め、
例えその球がカップに入ったとしても、罰なしにその球を元の箇所にリプレースしなければなりません。
反対に、その球は拾い上げられておらず、素振りをしている間に
風が原因で球が動き始め、その球がカップに入った場合はホールに入ったことになります。

2019年より前は、パッティンググリーン上で拾い上げられた球が自然に動いた場合でも
あるがままにプレーしなければなりませんでした。

実際、2013年ヤマハの2番ホールである選手の球がパッティンググリーン上にあり、
リプレースした球が自然の力で動いてカップに入ったルーリングがありました。
当時はホールに入ったことになりますが、今は、その球を元の箇所にリプレースになります。

新しいルールになってから5年目ですが、変化し続けるルールに混乱されるかもしれません。
これを機にしっかり覚えていただけると嬉しいです。

3月30日(土)
罰打の数え方解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

今年の1月28日、
塩谷育代プロがリーダーで活動をされている女子プロゴルファーの集い、
セカンドライフでルールセミナーを阿蘇さんと一緒に開催しました。

90分間のセミナーでは、セカンドライフなので
レフェリーの仕事内容や実際にトーナメントで起きた珍しいルーリング、
トーナメントでレフェリーを呼んだ時の選手の理想の対応などをお伝えしました。

質疑応答の時間で気付いたのが、
セミナー受講者の女子プロゴルファーは
罰打とストロークの数え方をよく理解していないことでした。

そこで、罰打とストロークの数え方をティーイングエリアの球を例にお話ししたいと思います。

例えば、
あるプレーヤーがティーイングエリアで素振りをしていたところ、
誤ってティーアップされた球に当たりその球を動かしてしましました。

この場合、プレーヤーに罰は無く(定義:インプレー)、
ストロークとしてもカウントしません(定義:ストローク)。
そのため、次にティーアップして打つ球は1打目になります。

しかし、プレーヤーがティーイングエリアで空振りしてしまい、
その風圧で球が動き、ティーイングエリア内に止まった場合、
そのプレーヤーは球を動かしたことに対する罰はありませんが、
ストロークの意思があったため、ストロークとしてカウントします。

したがって、次にティーイングエリアから打つストロークは2打目になります。
ちなみに、このケースは、
その球か別の球をティーアップすることができます。(規則6.2b(6))

新たなケースとして、
ティーイングエリアから打った球がOBに行ってしまった場合、
OBに行った1罰打とストロークはカウントするため、
次に打つストロークは3打目になります。

このOBに行った球の処置は規則18.2で定められており、
「ストロークと距離の救済」をします。

その名の通り、プレーヤーは、
1ストロークと距離の罰を課すことによって救済をし、
次のストロークを行うという意味です。
決して2罰打ということではありません。

私達レフェリーは、
12月に行われるJGAのルールテストを受講することが必須なのですが、
その時に出てくる
「次は何打目?」や「このホールのスコアは?」の問題にはチャートを作ります。

そのチャートには、行われたストロークを数える項目、罰を数える項目、
暫定球などストロークとしてカウントされる可能性のある項目
などがあります。

そして、その項目に正の字でストローク数を記入し、最後に足して答えを出します。
これを機に罰打とストロークを正しく数えてみましょう!

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