- 3月4日(土)
- クラブフェースのシールは剥がせばオッケー解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
今週は沖縄でJLPGAツアー開幕となるダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントが開催されています。
多くの選手はオフシーズンにクラブ調整をするため、開幕はクラブに関するルーリングが多々あります。
一昨年のこのトーナメントでは、ドライバーのフェース面に
弾道解析シールを貼ったままプレーした選手が失格になりました。
このようなクラブフェースに貼られたシールについて、今年から改訂されたところを解説します。
そもそもクラブの打面に貼られたシールは規則では認められない外部付属物であり、
そのクラブを競技で使用すると不適合クラブを使用したことになり失格です。
以前は、ラウンド中にそのシールを剥がしてもクラブのプレー特性を変えることから、
シールを剥がしたクラブの使用も認められませんでした。
今年からは、そのクラブでまだストロークを行っていないことを条件に、
シールを剥がせばそのクラブを使用することができるようになりました。(規則 4.1a(3))
実はこのようなルーリングが2018年のレジェンズのトーナメントでありました。
ある選手は、ショートホールで使用するために選んだアイアンのフェース面に
インパクトシールが貼られたままになっていたことに気づきました。
選手はルーリングを呼んだのですが、レフェリーが現場に到着することが待ちきれず、
その違反クラブでストロークを行ってしまい失格になりました。
皆さんは競技ゴルフの前は必ずクラブの本数とフェース面は確認しましょう。
- 3月11日(土)
- 笹生選手の珍事解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
アメリカ女子ゴルフ開幕戦、ヒルトングランドバケーションズ・チャンピオンズはフロリダ州で開催され、
過去2シーズンの優勝者29名と世界のセレブ50人がプロアマ形式で実施されました。
プロの競技は通常のストロークプレーで、日本人選手は3名出場しており、
今日のルールザニュースは笹生選手の3日目に起きた珍事です。
後半4番ホールのパー3で笹生選手と一緒に回っていたセレブの選手の暫定球がパッティンググリーン上にありました。
元の球が見つかったため、笹生選手のキャディーが親切心から暫定球を返そうとその球を拾い上げます。
その暫定球を返す際に、
キャディーは誤ってパッティンググリーンから拾い上げられていた笹生選手の球を渡してしまいます。
そして、そのセレブの選手は手渡されたその球をそのまま池の中に投げ入れてしまったのです。
そのため、笹生選手が本来リプレースしてプレーすべき球がなくなってしまいました。
このような場合、全ての出来事が偶然であり故意ではないため、
笹生選手は無罰で別の球をリプレースすることができます。(規則 14.2a 例外)
仮に、笹生選手がリプレースしなければならない球を故意に池に投げ入れた場合は、
1罰打で別の球をインプレーにすることになります。(規則 6.3b(3))
昨年までは2罰打でしたが、今年のルール改訂で1罰打に軽減されました。
- 3月18日(土)
- 1分間の合理的時間解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
球の捜索時間は2019年から3分間に短縮されたことは周知の規則だと思います。
その3分間の捜索時間内に見つけた球を確認する場合、「合理的な時間」が許されているのですが、
それが今年から「1分間」と明記されました。
以前は、合理的な時間に具体的な説明がなかったため、それが5分間なのか2分間なのか曖昧にされていました。
この1分間というのは見つかった球の地点に到着してからの時間になります。
例えば、球の捜索を始めてから2分50秒で見つかった球が30ヤード先の離れた木の上であった場合、
プレーヤーはその木の場所に到着してから球の確認のために1分間の時間が認められます。
このケースでは、3分50秒までにプレーヤーの球であることが確認されればいいのですが、もし違った場合は、
すでに3分間の捜索時間を過ぎてしまっているため、プレーヤーの球は紛失球になります。(規則 18.2a(1))
ここのポイントは2つあります。
まず1分間というのは球が見つかってからその場所への移動時間は含まないということです。
もう1つは2分50秒で見つかった球の捜索時間の残り10秒は確認の1分間に消化されてしまうということです。
この規則は決して見つけた球を確認するために1分間しか認められないということではありません。
例えば、捜索を始めてから1分間で見つけた球の確認は捜索時間内の3分間、
つまり残りの2分間かけて確認することも認められます。ただし、球の確認は速やかに行ってください。
- 3月25日(土)
- 「教えて!Nory」バンカー内の霜柱の救済解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
冬場のゴルフ、バンカーの顎の下にボールが突き刺さり、霜柱の中でした。
なんとか脱出してボギーとしましたが、今になって「教えて!Nory」を思い出しました。
12月にジェネラルエリアの霜柱はカジュアルウォーター扱いとお聴きしました。
でも、バンカー内の霜柱の救済はどうなのでしょうか?
冬場は、日陰となっている顎の下などに、霜柱が発生します。
【解説】
ご質問ありがとうございます!
寒い時期のゴルフは雪や霜柱が球の近くに残っていることがありますね。
その霜柱の規則上の扱いは自然の氷や雪と同じです。
従って、霜柱の中にある球はバンカー内でも一時的な水の救済が受けられます。
またはプレーヤーの選択でルースインペディメントとして
その霜柱を取り除くこともできます。(定義:一時的な水)
このケースのように、球がバンカーの顎の下に突き刺さっているとしたら
一時的な水の救済をすることを選ぶのではないでしょうか。
バンカー内で罰なしの一時的な水の救済をするときは、
完全な救済のニヤレストポイントからホールに近づかないワンクラブレングスの救済エリアに
元の球か別の球をそのバンカー内にドロップになります。
もし一時的な水の救済を受けたくない場合は、
小石や落ち葉と同じように、その球が動かないように霜柱を取り除くことができます。
3月も最終週になり、これからは暖かくなります。
桜も咲き、霜柱や雪がコースでみられることも少なくなるでしょう。