- 11月5日(土)
- 「教えて!Nory」ガッツポーズのルールとマナー解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
ジェネラルルールには規定されていませんが、
バーディーパットが入った時のガッツポーズについてご意見を伺いたいです。
私は長めのバーディーパットが入っても、
何気に1メートルが入った時と変わらずにサラッとポーズを作ります。
ゴルフのルールとマナーを踏まえた観点から、中崎プロはいかがお考えでしょうか?
【解説】
ご質問ありがとうございます。
ガッツポーズはゴルフに限らず、どのスポーツにも通じる喜びのポーズですね。
無意識に出てしまうそのポーズは、プレーヤーがどれだけ真剣に
そのプレーに向き合っているかを感じさせてくれます。そのような姿は見ていて感動します。
私が一番印象に残っているガッツポーズは、1997年のマスターズで
赤と黒のウェアを着たタイガーウッズ選手が優勝を決めた時のガッツポーズです。
英語ならフィストパンプと言い、拳を高く上げたタイガーウッズ選手の姿は
私だけではなく、多くの子供達やゴルファーの心に強く残ったに違いありません。
そのガッツポーズをエチケットの観点からお話ししますと、
他のプレーヤーの邪魔になる行為、例えば、大声を上げて喜んだり、または悔しがったり、
喜びのあまりパッティンググリーン上で足を引きずってガッツポーズを決めるなど、
コースを不要に傷つけることなどが無ければオッケーだと思います。
2016年の裁定集第1章ゴルフの精神から抜粋しますと
「プレーヤーはみな、どのように競い合っている時でも、礼儀正しさとスポーツマンシップを
常に示しながら洗礼されたマナーで立ちふるまうべきである。」とあります。
洗礼されたマナーやスポーツマンシップとは
不要にコースを傷つけ無いことや周りの選手への配慮です。
- 11月12日(土)
- 木の上に止まった球の確認方法について解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
9月下旬に紫カントリークラブで開催された日本女子オープンで実際に起きた
2つのケースから“木の上に止まった球の処置”についてご紹介します。
木の上に止まった場合、まずそれが自分の球であるかを確認しなければなりません。(規則7.1a)
それが確認できなければ、球は紛失扱いとなり、ストロークと
距離の罰のもと、元の位置からプレーしなければいけなくなるからです。(規則18.2b)
ほとんどの場合、木の上に球が止まったら、その球を確認するために
木を揺らしたり傘やペットボトルを投げたりして球を落とそうとすると思います。
その時に球を動かしたとしても罰にはなりません。(解釈 7.4/2, 9.4a/1)
しかし、今回のケースは球が回収できない場合の確認方法です。
日本女子オープンのサードラウンド、18番セカンド右でルーリング要請がありました。
K選手の球が木の上に止まった可能性があり、その処置の確認でした。
球が木の上に止まった可能性があるというだけでは、
アンプレヤブルの処置はできません。(規則19.2)
この時は近くにカメラマンがいたため、レンズを通して球に
ズームしていただき、K選手の識別マークを確認することができました。(規則7.2)
そのため、アンプレヤブルの処置をすることができました。
2つ目のケースは、同じラウンドの14番セカンド右、ギャラリー整理係の方が、
M選手の球が飛んでくるのを見ており、バサッと音がした後、
数本の松の葉が落ちてきて球が木の上に止まったということでした。
球は見えているものの、双眼鏡で見ても
識別マークまでは確認できず、ルーリング要請になりました。
オフィシャルガイドの解釈7.2/1には、回収することができない球の確認方法として、
別のプレーヤーや観客が、プレーヤーのストローク後にその球がその特定の場所に
止まるのを見ていたことが分かった場合は確認を行ったことになると記載されています。
この確認方法は稀で、認められるケースは確実な証言がある場合のみです。
委員会は、ギャラリー整理係の方の証言は確実なものであると認めていました。
結果的に、M選手のキャディーはペットボトルで球を落とすことができ、
選手の球であることがここでも確認できましたので、アンプレヤブルの処置をすることができました。
木の上に止まった球に対して、確認もせずアンプレヤブルの処置をしてしまうと
誤所からのプレーで重大な違反になってしまいますので、お気を付け下さい!
- 11月19日(土)
- 救済エリアは木を貫通して取ることができる?解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
実際にあったルーリングをご紹介します。
今年のステップ・アップ・ツアー「かねひで美やらびオープン」のセカンドラウンド、
18番セカンド右の傾斜に生えている木の根元に球が止まりました。
プレーヤーは競技委員を要請してアンプレヤブルの救済を受けたいと言いました。
ラテラル救済を受ける際に(規則19.2c)、木を貫通して2クラブレングスの
救済エリアを定めたいのですが、それは認められますかという質問でした。
答えは『認められる』です。
このようなケースは少なからず起きます。
例えば、今年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントの
5番セカンド左のカート道からの救済で、完全な救済のニヤレストポイントが
木の幹の中になってしまいました。
そのような場合は木をよけて計測することは認められず、
木の中にポイントを推定しなければなりません。
このように、アンプレヤブルの処置や動かせない障害物からの
救済を受ける際に、木がすぐ近くにあった場合、
完全な救済のニヤレストポイントや救済エリアは木の中になったり、
木の中を通して計測することが認められています。
(定義:完全な救済のニヤレストポイント、救済エリア)
しかし、自然にうねった地面の中を通して計測することは
認められませんのでご注意ください。
そのような地面で計測するときは、クラブを地面に這わせて
クラブレングスを取らなければならないということです。
- 11月26日(土)
- 「教えて!Nory」意図しないボールの取り替え解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
【質問】
ボールは1ホール、ティーアップしてからホールアウトするまで、
同じボールを使用しなければならないと認識しています。
自分はOBの対応としてズボンのポケットに予備のボールを入れています。
グリーン上で間違って予備のボールでプレーした場合、
どのようなペナルティになるのでしょうか。
また、その背景も教えて下さい。
【解説】
ご質問ありがとうございます!
パッティンググリーン上で間違って予備の球をリプレースして
ストロークを行った場合、球の取り替えが認められないのに取り替え、
その球にストロークを行ったことに対して一般の罰(2打罰)を受けます。
(規則 6.3b(3))
ストロークを行う前に気づいた場合は、
その間違えを訂正することができます(規則 14.5a)が、
訂正するには遅すぎる場合、プレーヤーはその誤って取り替えられた球で
そのホールのプレーを終えなければなりません。
よく間違えられるのは、元の球でストロークそのものを
訂正しようとしてしまうケースです。
例えば、プレーヤーがパッティンググリーン上で誤って
取り替えられた球でストロークを行い、ホールに入らなかったとします。
この時点で、一般の罰(2罰打)が課されます。
本来ならそのままホールアウトすれば良かったのですが、
間違いを訂正するために、プレーヤーはそのインプレーの球を拾い上げ、
初めの球を直前のストロークを行った場所にプレースしてホールアウトしました。
この場合の罰打は、誤った球の取り替えの2罰打(規則 6.3b(3))と
ストロークと距離の救済の1罰打(規則 18.1)で、合計で3罰打になります。
複数のプレーヤーで1人のキャディーを共有する場合、パッティンググリーン上で
誤って違う選手の球を手渡されてしまう可能性もあります。
球をリプレースする際は、自分の球であることを確認しましょう。