楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年6月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年6月放送分

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6月4日(土)
ガルシア選手が激怒した誤裁定解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

先月のWells Fargo Championshipの初日の10番ホールで、
セルヒオ・ガルシア選手はティーショットを大きく右に曲げて
レッドペナリティーエリアに入れてしまいました。

ガルシアは、その球を捜索する為に、ペナルティーエリア内の茂みに分け入り、
そこでTV関係者に、「球は小川を越えた先の方に行った」と教えられました。

ガルシアは小川を渡るのに少し手間取り、ようやく球が
あると思われる場所で捜索を始め、その後、自分の球を見つけました。

ところが、そこに居合わせたレフェリーに
「捜索に3分以上かかったので球は紛失だ」と告げられました。


この裁定を不服としたガルシアですが、抗議は実らず、
レッドペナルティーの処置として1罰打を課し、
後方線上に球をドロップしてプレーを続けました。

ところがこの一件は、のちに誤裁定と判明し、
競技委員会は声明文を出しました。

規則では、プレーヤー、またはそのキャディーが球を探し始めてから
3分以内に見つからない場合は紛失となります。
つまり、球があると思われる場所までの移動は、球探しの時間には含まれません。


居合わせたレフェリーは、ガルシアがレッドペナルティーエリアに入った時点で
捜索をしていると思い込み、そこからタイム計測を始めました。これが誤裁定の要因です。

本来であれば、このような混乱が起きないよう、レフェリーは、
「球探しが始まってから、どれくらい経ちましたか」と聞きます。

何故ならほとんどの場合、レフェリーは球探しをしている最中に
現場に到着するので、事の状況を全て把握できていないからです。

ほとんどの選手やキャディーは、正確に計測しないので
「だいたい1分くらい」などと答えます。

その場合、そこからあと2分の計測を始めます。
計測中は「残り1分です」などと選手らに聞こえるように伝えます。

これならば、タイム計測が行われていることと、
あとどれくらい時間が残っているかが分かるからです。

もう1つ注目すべきは、この声明文の最後に、誤裁定と委員会が認めたにも関わらず、
「ガルシアの10番ホールでのスコアは変わらない」ということです。

これは何故かと言いますと、規則20.2dには、間違った裁定を訂正する場合について書かれていますが、
そこには「訂正するには遅すぎる場合、その間違った裁定が有効となる」とあります。

このケースでの「遅すぎる」とは、ガルシアが11番ホールでティーショットを打った時点です。
その前にレフェリーが誤裁定に気づいていれば、ガルシアはセカンド地点に戻り、
レッドペナルティーエリアにあった元の球を罰なしでプレーすることが出来ました。

(規則18.2a(1)、規則20.2d、競技会6C(11))

6月11日(土)
「教えて!Nory」古江選手の2罰打について解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

「コグニザント・ファンダーズカップ」初日10番ホールに向かう時、
セキュリティーから「10番に行くの?乗っていいよ」と言われて
規則違反にならないかを確認した上で乗車して10番ホールへ。

結局ルール違反となり、2打罰のボギーになりましたね。
この場合、競技委員を呼んで確認しなかった古江さんも悪いですが、
自分から故意に乗った訳でないのは認められないんでしょうか?

しかし2019年日本女子アマチュアゴルフ選手権の最終日
10番ホールでカートに3wが破壊されてましたよね。
古江さんにしたら カート、10番ホール鬼門です!



【解説】

ご質問有難うございます。

この2罰打は、本当に災難でした。セキュリティーの人が声をかけなければ、
古江選手は歩いて10番ティーへ向かい、何ら問題が起きなかったでしょう。

この場合、古江選手が自ら故意にカートに乗った訳ではなくても2罰打は免れません。
気の毒ではありますが、LPGAの裁定は正しいと判断します。

プロゴルフトーナメントでは、「歩く」こと
が競技においてプレーの欠かせない一部としています。

それ故、シニアツアーを除いて、主だったプロゴルフツアーでは、
ローカルルールで乗用カートに乗ることを禁止しています。


ただ、これには例外があり、そこで少しややこしくなります。
それはコースによって、ホールとホールの間の距離がある場合、
乗用カートの送迎がつくことがあります。

このような大会では、追加ローカルルールにその内容が書かれています。
例えば、「ラウンド中、プレーヤーおよびキャディーは、3番ホールのパッティンググリーンから
4番ホールのティーイングエリアまで乗用カートに乗ることができる。」というような一文です。

追加ローカルルールは、スタートテントに置いてあり、ほとんどの選手や
キャディーはスタート前に読んで確認し、その紙を持ってプレーします。

もし古江選手のような状況に遭った場合、行動を起こす前に、
まずその追加ローカルルールを再確認すべきでした。


そこに「9番ホールのパッティンググリーンから10番ホールのティーイングエリアまで乗車できる」
という文言が無ければ、絶対に乗ってはいけないことが分かります。

これならたとえ、英会話がまだ不充分だったとしても、
或いはセキュリティーの人が間違ったことを言ったとしても、罰は避けられます。

正しい規則を知っておくのは、選手の責任であり、競技委員以外の大会関係者が
誤ったことを言って、それに従った場合は選手に罰がついてしまいます。
それ故、大会関係者も選手に声をかけるときは、常に慎重にならなければいけません。

海外の試合では、追加ローカルルールの文言が、1、2ページにぎっしり書かれている為、
覚えきることは難しく、その紙を常に持っておくとよいでしょう。
競技委員でも全てを記憶するのは難しいです。

(ローカルルールひな型G-6)

6月18日(土)
剣道の面打ちショットをして2罰打に!?解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

4月に開催されたPGAツアーのRBCヘリテージ最終日。
ディラン・フリッテリ選手は、6番ホールでティーショットを左に曲げ、
球は地面から2mほどの高さの所で、木の葉っぱに引っかかった状態で止まりました。

この木はスパニッシュモスという柳に似た木で、
糸状の絡みあった葉っぱが枝から垂れ下がっていました。

フリッテリ選手はアンプレヤブルをせずに、
頭上に浮いている状態の球をそのまま打つことにしました。

そして球の真後ろに立ち、ウッドを使って
剣道の面打ちをするような動作で球にヒットしたのです。

球は見事にフェアウェイに出て、そこからパーセーブしたのですが、
後にこの面打ちショットが2罰打となってしまいました。


その理由は、球に正しくストロークを行っていなかったからです。
規則10.1cは、プレーヤーは故意にプレーの線、または球の後方延長線上を跨いだり、
踏みながらストロークを行うことを禁止しています。

この違反行為による正しい処置は、2罰打を課した上で、
面打ちで打った球の止まったところからプレーを続けなければいけません。

さて、このプレーの線を跨いでのストロークですが、2019年のゴルフ規則改定前は、
パッティンググリーン上でのみ、故意にパットの線を跨いでストロークすることを禁止していました。

ところが改定後はパッティンググリーン上以外でのストロークもプレーの線、
または球の後方延長線上を跨ぐことを禁止
しました。

この規則は、ほとんど知られていないので、その場で見ていた
ギャラリーや他の選手らは何も不思議に思わなかったことでしょう。

(規則10.1c)

6月25日(土)
ギャラリーが球を持ち去ろうとした事件解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

4月に開催されたフジサンケイレディスで起こった珍事。
初日の5番ホール、パー4でティーショットをやや左に曲げた選手の球は、
ギャラリーロープの外側のラフで止まりました。

それを近くにいたギャラリーのおじさんが、
なんとその球を拾い上げて持ち去ろうとしたのです。


ところが、その状況を見ていたもうひとりのギャラリーが、
「何をしているんだ!」と言ったところ、
持ち去ろうとしたおじさんは、球を放ってその場を去って行きました。

選手はセカンド地点に到着したのち、
その事態を知って競技委員を要請しました。

この場合、インプレ―の球をギャラリー、つまりは外的影響によって動かされたので、
選手は罰なしで元の位置にその球をリプレースしなければなりません。


元の位置が正確に分からない場合は、見ていたギャラリーの証言の下、
この辺りのこのようなライにあったと推定します。

ここでの注意点は、リプレースする人は、
球を動かした人か選手でなければならないことです。


当然、球を持ち去ろうとした人はその場にいないので、
選手が元の位置に球をリプレースしなければなりません。

それ以外の人がリプレースした場合、仮にそれが正しい位置だったとしても
1罰打となりますのでご注意下さい。

(規則9.6、規則14.2b(1))

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