楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年1月放送分楽天GORA presents タケ小山のルール・ザ・ワールド 2022年1月放送分

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1月1日(土)
Outlaw Tourで14名の選手が失格解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

2020年3月30日、アメリカのゴルフのミニツアー「Outlaw Tour」は、
アリゾナ州のVerrado Golf Club で大会を開催しました。

大会初日、参加した60名の内の14名が失格になってしまった試合です。

非常に稀なケースで、その14名の選手は間違ったティーイングエリアからホールをプレーしてしまいました。
スコアカードに記載された3番ホールの距離は222ヤードだったのに対して、
大会用のティーマーカーがセットしてあったのは204ヤードだったそうです。

失格になってしまった選手は本来プレーしなければならない距離よりも長い距離でプレーしてしまい、
次のホールをスタートするためのティーショットを打ってしまったに違いありません。

規則としては、もし間違ったティーイングエリアからプレーしてしまったとしても、
その誤りを訂正すれば2打罰で済みます。


ただし、それには期限があり、別のホールを始めるためのストロークを行う前に、
またはラウンドの最終ホールだった場合はスコアカードを提出する前に
その誤りを訂正しなければなりません。その訂正をしなかった場合は失格となります。


失格になった選手のコメントとして、罰は正当だと思うが、
せめて少しでもエントリーフィーを返して欲しいと「トホホ・・・。」なコメントが書かれていました。

GolfDigest.comによると、ツアーメンバーのエントリーフィーは$775、
日本円にして約8万7000円、メンバーではない選手はそれよりも100ドル高い$875ドルもします。
うっかりだったとはいえ、とても痛い間違いだったに違いありません。

ちなみにJLPGAの試合では、このようなことが起きないように
不必要なティーマーカーは撤去しています。

12月にあった3ツアーズのような大会ですとシニア、男子プロ、女子プロ用に
違うティー面や同じティー面でも異なるティーセットがされている場合があります。

ホールをプレーする時には正しいティーイングエリアから
ストロークを行うように気をつけましょう。

1月8日(土)
使い捨てカイロ等で球を温めてプレーすること解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

寒い日のラウンドは体が硬くなり、思うように動かなかったり、手先が冷えたりと大変です。
そこで活躍するのがハンドウォーマー、いわゆるホッカイロです。

ラウンド中、手を温めるために使用するハンドウォーマーは、
伝統的に受け入れられており、規則の違反とはなりません。

では、ハンドウォーマーを使い、球を意図的に温めてプレーした場合はどうでしょうか?

このケースは、故意に球の性能を変えてプレーしたことになり、残念ながら失格になります。
以前の規則(14-3)では1回目の違反は2打罰で2回目以降は失格でしたが、
2019年以降のルールでは1回目から失格になります。

YouTubeを見ますと、面白い実験がアップされています。
ポカポカに温められた球とキンキンに冷やされた球でトラックマンを使い、弾道計測をしています。
冷たい球は温められた球に比べてキャリーとラン両方とも下がり、飛距離が落ちています。

面白いことに、ミート率も下がっていました。
ミート率とはボールスピード(初速)/ヘッドスピードであり、
冷たい球はボールスピード(初速)が落ちているともいえます。

科学的観点から見ても、温かい球は飛ぶということがわかります。

結論としましては、
故意に温めた球をプレーすると失格になりますので、皆さんも気をつけましょう。

1月15日(土)
「教えて!Nory」バンカーでのルール解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問1】

足場を固めてアドレスしたあと、打ち出す方向を変えたくなったので、
足場を変えてアドレスし直しました。これはペナルティになるのでしょうか?

【解説1】

ご質問ありがとうございます。
バンカー内で足場を固めてアドレスをしたということですが、もし固めてという表現が
バンカー内で過度に両足を砂に潜り込ませてストロークを行ったという意味でしたら、
規則的にはスタンス区域の改善、つまり地面を変えたとみなされ、2罰打課されます。


罰が課されてしまう例としましては、
足でバンカーの側面の砂を落とし、そこに立つための水平な区域を作ることです。
このような行為をすると、例え違う方向にストロークを行ったとしても
罰を免れることはできませんので、気をつけましょう。

通常、ストロークを行う時にはフェアなスタンスをとることは認められており、
両足をしっかりと据えることは認められています。
もし固めるという行為がしっかりと据えるという意味でしたら、罰はありません。
しかも、アドレスをし直すことは何度でも許されています。



【質問2】

バンカーショットが出ず、離れた所で止まったので、
移動する前に足下をレーキでならしてから2打目のバンカーショットをしました。
同伴競技者に、その処置はペナルティになると言われたのですが、どうなのでしょうか?

【解説2】

バンカーレーキを使って1打目の足元の区域を均すことは許されます!
その行為はバンカーの保護を目的としているということだと思いますので、問題はありません。


確かに1992年より前は、バンカーの中で転びそうになってクラブで砂に触れてしまったり、
ハザード内のルースインペディメント(落ち葉や小石、虫などコース上にある自然物)に
偶然に触れてしまっただけで罰になりました。

今の規則はプレーファストを前提としていますので1打目の球の位置よりも
2打目の球の位置の方がホールに近いところに飛んだのであれば均しても大丈夫です。

ただし、その逆のケースだった場合、つまり、球が止まっている位置が
前のストロークを行った位置よりも後ろになってしまっている場合は砂を均さないことをお勧めします。

その理由はプレーの線の改善とみなされないようにするためです。
プレーの線の改善をしてしまうと先程のスタンスの改善と同様、2罰打が課されます。
しかも地面を変える行為なので復元をすることによって罰を免れることはできません。

ルールはとても複雑だと感じることがあると思いますが、
基本的にこのケースでは何を目的として砂に触れたのか、
その行為はプレーヤーにとって利益をえることになったのか、
この2つを考えれば罰がつくのか否かわかると思います。

1月22日(土)
バンカーレーキに寄りかかって止まった球解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

トーナメントでもよくあるルーリングなのですが、
とても基本的なことですので覚えていただけると良いと思います。

球がバンカーレーキに寄りかかって止まっていた場合、
選手は罰なしにバンカーレーキ(動かせる障害物)を取り除くことができます。


その際に、球が動いてしまった場合は、球を元の位置にリプレースしなければなりません。

多くの場合、バンカーレーキは傾斜のところに置いてあることがあるため、
球をリプレースしようとしても止まらないケースがあります。

その時は再度リプレースを試みて、それでも止まらない場合は、その球が止まる、
ホールに近づかない最も近い箇所に球を置くことによりリプレースしなければなりません。

ただし、リプレースする箇所には制限があり、元の箇所がジェネラルエリアだった場合は
ジェネラルエリアに、バンカーだった場合はバンカーに置きます。

稀に、元の位置がパッティンググリーンだった場合は
パッティンググリーンかジェネラルエリアのいずれかでなければなりません。

ここで気をつけて欲しいポイントは、
球が止まらないからと言って、地面に押し込むように球を置いて
その球にストロークを行うと一般の罰(2打罰)になるということです。


リプレースをして、球が止まらない場合、
その処置はちゃんとありますので、無理に押し込まないように気をつけましょう。

1月29日(土)
「教えて!Nory」カート道にスタンスがかかった時の措置について解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん

【質問】

カート道にスタンスがかかった時の措置について質問です。
ニヤレストポイントを決めて、ホールに近づかずワンクラブレングス以内にドロップということですが、
この時、ニヤレストポイントはカート道にスタンスがかかるところに取ってもいいのでしょうか?

スタンスがカート道にかからないところで取るニヤレストポイント付近のライが悪かったり、
打つ方向に障害物がかかってしまう場合を想定しています。



【解説】

ご質問ありがとうございます。
カート道からの救済でニヤレストポイントの確認はプロの試合でも一番多いルーリングです。

ご質問にありました、ニヤレストポイントはカート道に
スタンスがかかるところにとっても良いか、とのことですが、答えはNOです。

カート道からの完全な救済のニヤレストポイントとは、球、プレーヤーの意図するスタンス区域、
そしてスイング区域全ての物理的障害から救済される地点のことを指します。


そして、その地点は球の元の箇所に最も近く、ホールに近づかない、
このケースではジェネラルエリアでなければなりません。

質問者様がおっしゃっている通り、
ニヤレスト付近のライが悪かったり、打つ方向に障害がかかるからと言って、
完全な救済のニヤレストポイントの基点を状況に応じて良いところに選んだり、
遠いところにとってはいけません。


違う言い方をしますと、救済を受けたからといって
良いライやプレーできるライを保証されているわけではないということです。

例えば、カート道からの救済をして、規則が要求している完全な救済のニヤレストポイントから
ホールに近づかないワンクラブレングス以内のジェネラルエリアの救済エリアは、
もしかしたらプレー方向が樹木で塞がれていたり、
あるいはブッシュのせいでバックスイングがとることができないところになってしまうかもしれません。

この事実は、特定されたポイントが完全な救済のニヤレストポイントであるということには変わりありません。
よく、プロの試合ではカート道の上からそのままストロークをするシーンを見かけますが、
これは救済を受けない方が選手にとって好ましい状況であったからに違いありません。

カート道からの救済を考える時には、救済箇所を確認してから球を拾い上げることをお勧めします!
もしかしたらあるがままの方が優しいショットかもしれないからです。

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