- 10月2日(土)
- 2019年のルール改正でドロップの方法が変わって1打罰解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2019年WGC-メキシコ選手権の2日目1番ホールで、
リッキー・ファウラーは2打目をシャンクして右のアウトオブバウンズに打ってしまいました。
ストロークと距離の救済をするため、
ファウラーは別の球を肩の高さからドロップしてプレーを続けたのですが、
グリーンに着いたときに同伴プレーヤーに間違ったドロップを指摘されてしまいました。
ファウラーは長年、肩の高さからドロップすることに慣れ、
無意識にそのような行動を取ってしまったのでしょう。
これはファウラーのみならず、2019年のルール改正後、
多くの選手が誤って肩からドロップした後に、慌てて正しくやり直すというケースがありました。
規則では、プレーヤーは間違った方法でドロップしても、
まだその球をプレーしていなければ罰なしで正しく再ドロップすることができます。
ファウラーのケースでは、ストロークをしたあとだったので、
正しい処置は手遅れとなり1打罰が課されました。
2019年のルール改正では、ドロップは膝の高さからしなければなりません。
今は見慣れた光景ですが、2019年の初め頃は、
ドロップするほうも、見るほうも違和感があったものです。
- 10月16日(土)
- 同伴プレーヤー同士の誤球解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2018年11月に開催されたダンロップフェニックストーナメント。
初日、一緒にプレーしていた松山英樹と星野陸也が、
14番ホールのセカンド地点左ラフで
お互いの球を自分の球と勘違いしてプレーしてしまいました。
2つの球は5yしか離れておらず、
2人とも同じスリクソンの球でプレーしていたこともあり、打った後も気づかないまま。
その球をグリーン上でマークして拾い上げた時に
初めて自分の球ではないと気づきました。
これは誤球といい、2打罰を受けます。
処置としては、2人ともセカンド地点に戻って、
自身の球のあった箇所に球をプレースして
ホールアウトしなければなりません。
珍しく、お互いとも自分の球を打たれているので、
その場所が明確に分からなければ推定してプレースしなければなりません。
また、その場所が分かった場合でも、ストロークされてライが変わっていれば、
元のライと最も似たライを、ホールに近づかないワンクラブレングス以内に見つけて
そこにプレースしなければなりません。
いずれにせよ、
プレーしている間はショットをする都度、
自分の球をしっかり確認することの大切さを思います。
最近は、プロトーナメントで無観客開催が多くなった為、球の紛失や誤球が目立って多くなりました。
それは球の落下地点を見てくれるギャラリーがいないからです。
コロナの影響は、コースで起こりうるルーリングにも及んでいるのが実情です。
- 10月23日(土)
- グリーン上でパットした球が生きている虫に当たったらやり直し解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2019年のヨーロッパツアーで起こった珍事。
ポルシェヨーロピアンオープンで優勝したポール・ケーシーだが、
2日目のラウンド後に集計所で競技委員に事情聴取を受けた。
なんでも4mのパットをした際、
動いている球が小さな蟻らしき虫に当たってそのままカップインしたのだ。
本人はそんなことに気づかずにホールアウトしたから罰なしで済んだが、
もし気づいていたらパットをやり直さないといけない。
もしパットをやり直さずに次のホールでプレーしたら、
何とその時点で失格となるから驚きだ。
それは何故かというとパットをやり直さなかった結果、
ホールアウトしていないことになるからだ。
仮にもこの虫に当たったパットがホールに入らず、
止まったところからカップインしたら、誤所からのプレーで2打罰。
話題となったこのゴルフ規則だが、
今年に入ってからルールが見直されて新たなローカルルールができた。
それはこのように虫に当たっても、やり直さずにそのままプレーを続けるというもの。
今や、ほとんどのゴルフ団体がこのローカルルールを採用している。
皆さまのゴルフコースでは如何でしょう。
このようなローカルルールが採用されているかどうか、
確認するきっかけになると嬉しいです。
(規則11.1b例外2とローカルルールD-7)
- 10月30日(土)
- 隣のホールのグリーンから打ったら2打罰解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
2014年、米ツアーのザ・バークレイズの大会で、
ノ・スンヨルが11番ホールのティーショットを大きく右に曲げ、
隣の3番ホールのグリーンに乗ったことがありました。
本来ならば、現にプレーしているグリーン以外のグリーンに球が乗った場合、
球をグリーンの外にドロップして救済しなければいけません。
しかしノ選手はその規則を知らずに、
グリーン上に止まっている球をアイアンで打ってしまったのです。
裁定は2打罰で、そのままその球でプレーを続けるというものですが、
問題はアイアンでディボット跡を作ってしまった3番グリーンの状態です。
競技委員はすぐにメンテナンスの作業チームを呼び、傷めた箇所の修復にあたりました。
試合中なので、そのグリーンでもプレーが続いていることでしょう。
また損傷個所は、すぐに修復しないと直るのに時間が掛かってしまうことがあります。
このような事態にならないように、
現にプレーしているパッティンググリーン以外のグリーンでは、プレー禁止となっているのです。
因みに、同じホールにあるサブグリーンですが、
これも球が乗ったり、球にアドレスをしたときにスタンスが掛かった場合、
必ず救済をしなければなりません。
これらは目的外グリーンといい、コース内の練習グリーンも含みます。