- 6月14日(土)
- 蛭田みな美、「30㎝のパット」を17時間打てず!解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
4月に開催された富士フィルム・スタジオアリス女子オープンの1ラウンド目での出来事です。
この日は一日中、大気が不安定な状態で、午後には会場から離れた北西で雷が鳴り始めました。
大会関係者は安全を最優先に考え、13時57分に雷雨接近のために即時中断を決定しました。
即時中断とは、雷などの切迫した危険がある場合に行う中断で、
レフェリーはエアホンで一回の長い音を一斉に鳴らします。
この合図を聞いたプレーヤーはすぐにプレーを止めなければならず、
もしこのエアホンを聞いたあとで、プレーをすると規則5.7bにより失格となってしまいます。
このとき蛭田選手は最終の18番ホールのグリーン上にいました。
バーディーパットが惜しくもはずれ、
ホールから30cmのところに止まった球をマークして同伴プレーヤーのプレーを待っていた時にエアホンが鳴りました。
もしマークせずにそのままタップインしていれば、
エアホンが鳴る前にそのラウンドは終了となり、翌日の第2ラウンドに備えることができました。
しかし、たとえどんなに短いパットであっても、即時中断の合図が聞こえたあとはプレーを止めなければなりません。
もしプレーヤーがホールアウトしてしまいたいと思って、球をリプレースしてタップインした場合は失格です。
当然、蛭田選手はそのことを理解していたので、すぐに避難しました。
その後、プレーの再開を待ちましたが、その日のうちに天気の回復は見込めず、翌日に持ち越されました。
そして翌朝の7時、中断から実に17時間後、ようやくタップインして第1ラウンドを終えることができました。
この規則5.7bの失格はとても厳しいように思えますが、
これは雷などの危険が及んでいるときにできるだけ速やかに安全な場所に避難させることが目的です。
数か月前にも奈良県の学校のグラウンドでサッカーをしていた学生が落雷で病院に搬送されたニュースがありました。
ゴルフも野外で行われるスポーツであり、いつこのような被害に遭ってもおかしくありません。
大気が不安定なときはプレーヤーのみならず、コースにいる関係者やギャラリーの皆さまも直ぐに安全な場所へ避難してください。