- 11月16日(土)
- パー3のコールオンについて解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
今年8月に行われたAIG Women's Openはゴルフの聖地セントアンドリューズで開催されました。
スコットランドの夏は日本に比べればとても寒く、最高気温20度前後、最低気温10度に加え、突然の雨や突風が吹きます。
大会当週は最大18m/s(40mph)の風が予報されており、競技がその風で止まらないよう、
コースセッティング担当のGrant Moir氏はスティンプメーターを9 1/3フィートに設定し、
グリーン刈りをやめてコースをプレーヤブルな状態にしました。
大会2日目、私は11番ホール、165ヤードのパー3を担当しました。
海の横に位置するこのホールはコースの中でも特に風が強く、
パッティンググリーン上に止まっていた球は頻繁に動き、難易度の高いホールでした。
そのため、大会初日は最大4組がそのホールに溜まってしまい、2日目はコールオンが実施されました。
私は10番ホール担当レフェリーのアーニャとやりとりを繰り返し、最終組までコールオンを続けました。
コールオンとは、プレーのペースを改善するために、
パー3でグリーンに球が乗った後に後続組を打たせてプレーを進める手順のことです。
そして3サムの組み合わせだった場合、そのパッティンググリーン上に最大6個の球が乗る可能性があります。
ここでの注意点として、例えばあるプレーヤーがパッティンググリーン上からストロークして、
同じパッティンググリーン上に止まっている別の球に当てた場合、
プレーヤーは一般の罰(2罰打)を受けます。(規則11.1a 例外)
これは例え止まっていた球が後続組のであったとしても罰は免れません。
なので、通常パッティンググリーン上の後続組の球がプレーの障害になる場合、
前の組のプレーヤーや競技委員がマークしてその球を拾い上げますが今回はR&Aの指示の下、
プレーヤー自身に拾い上げてもらうようにしました。
なぜならパッティンググリーン上に止まっていた球が、風の力で自然にホールに近づく可能性があり、
安易にその球を拾い上げてしまうと球がホールに近づく可能性をそのプレーヤーから奪ってしまうことになるからです。
規則では一度パッティンググリーン上から拾い上げられた球は、
リプレース後に自然の力で動かされたとしてもまた元の箇所にリプレースしなければなりません。(規則13.1d,規則9.6)
このコールオンの効果で11番ホールは最大2組の待ちですみましたが、
その代わりに12番ホールが混み合い、長いティー待ちになっていました。
混み合うパー3でのコールオンはプレーのペースの改善にはなるものの、
規則違反のリスクやプレーヤーの利益を考えると、委員会は安易に実行するものではないと思いました。
今回は特に11番ホールのティーイングエリア付近にトイレが設置されており、
12番ホールのティーイングエリアより待ちやすい環境でした。
結果的にコールオンはしない方が良いと思いました。