- 7月26日(土)
- 全米プロ選手権の泥つきボールの扱いに疑問解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
全米プロ選手権は5月、ノースキャロライナ州のクエイルホロークラブで開催されました。
同じ組で回っていた世界ランクトップ3の
スコッティ・シェフラー選手、ザンダー・シャウフェレ選手とロリー・マキロイ選手が
16番ホールで全員ダブルボギーを叩く珍事がニュースとなりました。
その大きな要因が、大会前日の大雨の影響で地面が柔らかく球に泥が付着しやすい状況の中、
大会を主催する全米プロゴルフ協会は球を拭くことができるローカルルールを採用しなかったということです。
シェフラー選手は16番ホールのフェアウェイ、残り212ヤードのセカンドショットを左に巻いて池に入れてしまいました。
シェフラー選手は
「フェアウェイの真ん中で、どこに飛ぶかわからない泥の付いたボールを打つことは本当にフラストレーションが溜まる。
ゴルフはあるがままでプレーすべきだという純粋主義者は、
私たちが人生をかけてボールの打ち方、コントロールの仕方を習得しているにも関わらず、
ルール次第で突然それが奪われる気持ちを理解していないと思う」
とコメントしました。
球に泥が付く場合、委員会はローカルルールひな型E-2を適用することで
ジェネラルエリアにある球を拭くことを認めることができます。
このローカルルールが適用されている場合、
プレーヤーはジェネラルエリアのラフやフェアウェイで球をマークして拾い上げ、拭き、
元の箇所にリプレースすることができます。
このような救済は「コースはあるがままにプレーする」というゴルフの原則から外れているため、
コースの必要な部分、例えば「6番ホール」などに限定されるべきです。
他にも委員会はローカルルールひな型E-3プリファードライを適用することがでます。
これはジェネラルエリアのフェアウェイの長さ以下の区域においてのみ使うことを意図しており、
委員会が定める救済エリアのサイズに球をプレースすることで球を拭くだけでなく、ライを選ぶこともできます。
ちなみに、JLPGAでは球の箇所からホールに近づかない1クラブレングス以内と定めています。
このようなローカルルールを適用するかしないかの判断はとても難しいです。
なぜなら、ツアーで1年間プレーする場合、
一貫性を持ってその判断をしないとプレーヤーは不満と怒りを委員会にぶつけてくるからです。
シェフラー選手は最後に「ルールを決めるのは僕じゃない。ルールの下での結果を受け入れる必要がある」とコメントしていました。
その言葉に決める立場にいる私は少しホッとしました。