- 9月6日(土)
- コーンフェリーツアーでアドバイスにより失格になった2人の選手解説:(JLPGA競技委員)阿蘇紀子さん、中崎典子さん
6月最終週に開催されたメモリアルヘルス選手権の初日、17番ホールパー3での出来事です。
元アマチュアランキング1位のコール・ハマー選手がティーショットを打った後、
同伴プレーヤーのネルソン・レデスマがストロークを行う前に彼のキャディーが4本の指を立ててハマーを見ていました。
このジェスチャーは言葉を交わさなくとも「4番アイアン?」と尋ねており、ハマーも反射的にジェスチャーでそれを肯定しました。
一見何でもないやり取りですが、実はゴルフ規則10.2aのアドバイスの違反になります。
それはラウンド中、プレーヤーはコースでプレーしている人にアドバイスを与えたり、
プレーヤーのキャディー以外の人にアドバイスを求めてはいけないからです。
このケースでは、レデスマがティーショットを打つ前に、彼のキャディーがハマーに
「4番アイアンを使ったのか?」とクラブを選択するときにプレーヤーに影響を及ぼす意図した質問をし、
ハマーはジェスチャーで返答しました。
このやり取りがレデスマの知らないところで行われていたかに関係なく、
アドバイスを求めたレデスマに2罰打、アドバイスを与えたハマーに2罰打が課されます。
これはたとえ、アドバイスを求めたのがレデスマのキャディーであっても、キャディーの行動は選手に責任があり、
キャディーが知った情報は選手も知っているとみなされるからです。(規則10.3c)
ちなみに、このやり取りが2人の選手が打った後にお互いの使用したクラブを教え合ったのであれば
罰はありませんでした。(定義:アドバイス/2)
今回、2罰打で済むはずの違反が失格になったのは、
ハマーがこの事をそのラウンドのスコアカードを提出する前に委員会に提起しなかったからです。
彼はモヤモヤとずっと疑問に思っていた1ラウンドの17番ホールでの出来事を
翌朝の2ラウンド目のスタート前に委員会に告げました。
コーンフェリーツアーの委員会は、USGAにも相談した上で
ハマーとレデスマを2ラウンドの6ホール目で規則3.3b(3)に基づき失格と裁定しました。
本来であれば、規則3.3b(3)例外で、
スコアカード提出後に知らなかった罰を含めなかった場合は失格とはならず、
その罰を足した上でスコアを修正しますが、
今回はこの例外を適用せず両プレーヤーがこの行為が違反であることを知っていたとみなしました。
それ故、スコアカード提出前に含めるべき罰打を1ラウンドのスコアに含めなかったことによる、
いわゆる過少申告で2人を失格にしたのです。
キャディーは悪気もなく興味本位でプレーヤーの番手を訪ねたのかもしれませんが、選手達には痛い罰則となりました。
プロキャディーである以上、彼らもゴルフルールをしっかり学ぶ重要性があります。