桐林宏光の「メンタル強化術」第17回~飛距離アップに直結!スイングの「リキみ」を6割取る方法
どんなにいいスイングを身につけても、本番で力んでしまっては、ダフリやトップなどミスを連発。腕や手が力めばヘッドが走らないので、飛距離でも損してしまう。力みはゴルフスイングの大敵だ。だが、いくら「力を抜こう」と自分にいい聞かせても、筋肉が勝手に硬直してしまうのが力みのやっかいなところ。
そこで、スポーツメンタルトレーニング指導士である桐林宏光プロに、簡単にできる力み解消法を教えてもらった。
力みを取るにはわざと力む
「力を抜くことが難しいのは、どういう感覚が『力の抜けた状態』なのか、体感しにくい点です。そのため、自分では力を抜いているつもりでも、実際にはガッチガチに力んでいるという真逆のことが起きるんです」と桐林プロ。力みの対処策はあるのだろうか。
「メンタルトレーニングを積まないと力みをコントロールすることは難しいのですが、それでも筋緊張を解いてパフォーマンスを上げる方法はあります。わざと力んでから脱力する筋弛緩法がおすすめです。まず両腕を伸ばして、手を前に突き出してください。そのままこぶしをギューッと握り、続いて腕、肩に力を入れながらこぶしを引き寄せましょう。肩甲骨にも力を込め、顔にも力を入れて、しかめっ面に。マックスまで力んだら、一気に脱力します。わざと力むことで、脱力の感覚をつかむことができるんです」
リラックスした状態がわかれば、力むことなくアドレスできる!
このテクニックは、仕事のプレゼンなどゴルフ以外の場面でも緊張を解くのに効果があるそうだ。
グリップを緩めてから始動する
筋弛緩法はたしかに力が抜けそうだけど、ショットごとに肩をグーッといからせて般若顔になっていては時間がかかるし、何より怪しい人と思われる可能性大。もうちょっとさりげない方法はないだろうか。
「グリッププレッシャーを工夫するといいでしょう。アドレスしたら、これ以上握れないぐらい強く、グリップを握ります。その力加減が10段階のうち10だとしたら、9、8、7、6…と徐々に力を抜いていき、4になったところでヒュッとテークバックをスタート。これで力みの6割を取り除くことができます。このとき、4になってから『えーっと始動は左肩から』など余計なことを考えると、せっかく抜いた力が、また入ってしまいます。4まで力が抜けたらすぐ、リズムよく始動することが大事。コースで突然やろうとしてもタイミングを取るのが難しいので、普段の練習から試しておくといいでしょう」
数値化することで自己暗示を高める
グリッププレッシャーは、握る強さを数値化することがポイントだという。
「実際には10も、9も、8も、握力計を測ったらほぼ一緒で、6割も抜けないかもしれません。でも、4になったとき、マックスよりは絶対に抜けているはず。この『抜け感の安心感』が大事なんです。というのも、いざスイングを始動する瞬間、『本当に力んでいない?』と自分の感覚を疑いやすいもの。それを数値化することで『大丈夫、6割は力が抜けている』と自己暗示の効果が高まります」
力みが取れればスイングがスムーズになる。インパクトで腕や手の動きが滑らかになれば、ヘッドスピードが上がり飛距離アップが望める。また、力みが取れればインパクトで伸び上がることなどがなくなりスイングプレーンから外れないから、方向性も上がる。力みが取れることはゴルフには飛距離でも方向性でもプラスに働く。
「抜け感の安心感」を味方に、ナイスショットを目指そう!
教えてくれた人: 桐林宏光(きりばやし・ひろみ)プロ
1964年生まれ東京都出身。大学卒業後にゴルフを始める。社会人入学で、筑波大学大学院体育研究科体育方法学に入学しスポーツ心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。日本女子プロゴルフ協会ティーチングプロフェッショナル会員A級。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。
文/及川愛子(ゴルフライター)
桐林宏光の「メンタル強化術」記事一覧
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