石井忍の「練習場でうまくなる」第15回~ダフリの次はトップのミス…「右足に体重をしっかり乗せて」のウソ
トップが止まらない時はスイング軸が右に傾いている
ダフリと同様、トップに悩んでいる人もかなり多いです。それもそのはず、ダフリとトップは打点の前後のバラツキなので、原因が同じということも多いのです。
したがって、リリースが早くなったことでダフリのミスが発生したら、今度はスイング軸を右に傾けて調整し、トップのミスが発生するという悪循環が起こることになります。
アマチュアの方がトップする時のスイングを見ていると、スイング軸が右に傾いてアッパースイングになっていることが多いです。
これはもしかしたら、打ち込むイメージでショットしたことでダフリのミスが発生したので、今度は少し上げるイメージでショットしているのかもしれませんが、どんな事情であっても、スイング軸が傾くのは好ましくなりません。
鼻の角度を変えないで打つとスイング軸が倒れない
スイング軸の話になると、一軸スイングと二軸スイングという2通りの理論があり、必ずしもスイング軸が動いてはいけないと言い切れるものではありません。ただ、いずれの場合もスイング軸がスイング中に傾くというのは改善すべきポイントです。
チェックポイントとしては、鼻筋を地面と垂直にしたまま変えないで打つことです。鼻筋の角度が右に傾くと、どうしてもアッパー軌道になってしまいます(=スイング軸が右に傾く)。
ただ、テークバックで鼻筋の角度を変えないことを意識してやっても、「リバース」と言って今度はダウンスイングの際に右に傾いてしまう人がいます。
いわゆる「ギッタンバッコン」のスイングですが、こちらもトップの原因になりますので、テークバックだけでなくダウンスイングでもスイング軸が右に傾かないように注意してください。
右足に体重を乗せ過ぎないこともポイント
それと、トップのミスで悩んでいる人は、必要以上に右足体重でボールを打っている傾向があります。その原因はおそらく「バックスイングでは右足に体重をしっかり乗せて」といったレッスン記事などの表現を誤解されているのだと思うのですが、実はプロゴルファーは右足にそれほど体重を乗せていないのです。
たとえば、アドレス時点の重心配分が右足5:左足5だとしたら、プロゴルファーの場合はバックスイングで右足6:左足4か右足7:左足3くらいになり、インパクトの時点では右足1:左足9くらいまで左足に乗せています。
ところがアマチュアの方の一部は、バックスイングで右足9:左足1くらいまで右足に体重を乗せてしまっているので、インパクトの時点で左足に乗り切れていないのです。そうなると必然的に右足重心で打つことになりますので、クラブがアッパー軌道で当たることになります。
トップが頻発している人は、スイング軸の傾きとスイング時の重心配分を、あらためてチェックしてみてください。
教えてくれた人 石井忍(いしい・しのぶ)プロ
1974年8月27日生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年にプロ入り。翌年からツアー参戦。2014年に千葉県千葉市にあるゴルフ練習場「ジャパンゴルフスクール」内に「エースゴルフクラブ千葉」を設立。2016年には「エースゴルフクラブ神保町」もオープンし、アマチュア向けのレッスン活動も展開している。
構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/小板直樹 撮影協力/エースゴルフクラブ千葉
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