稲津暢の「できるビジネスマンはなぜゴルフがうまいのか」第3回~レッスンに対して受け身にならない
ゴルフがうまいビジネスマンは、レッスンに対して受け身にならない
ゴルフコースでプレーしてみて、「これは自己流で始めるよりもレッスンを受けたほうが効率的」と判断したのであれば、レッスンを受けてみることはもちろんオススメです。
自己流でゴルフを始めても上達する可能性はありますが、そこで得たスイングが理にかなっていない不安定なものだとしたら、スランプになった時に修正するのが非常に難しくなります。効率性を考えるのであれば、理にかなったスイングを身につけたほうが上達は早いです。
ただ、ゴルフの上達においてレッスンというのも一つのツールでしかないと僕は思います。プロのレッスンさえ受ければ上達するはずと考えてしまうと、自分が何を習いたいのかという主体性がなくなり、プロから与えられたものを受け取るだけの状態になってしまいます。
ゴルフがうまいビジネスマンは、自分が何を習いたいのかを自分で考えて、質問や疑問を次々とぶつけてきます。
自分が何をしたいかが明確でないと新規事業は進まない
たとえば、新規事業を立ち上げる際、新規事業の立ち上げに慣れている百戦錬磨のコンサルタントを連れてきてノウハウを教えてもらえば、それだけでうまく行くかと言ったら、そうではないんですね。
コンサルタントが「こういう進め方がいいですよ」とアテンドしても、新規事業を立ち上げる側の人間が何を求めているのか、どういう時間軸で進めたいのか、どれくらいの利益を出したいのかを明確にしないと、新規事業というのは進んでいきません。
それと同じで、大人になってからゴルフという新しいスポーツを始めるのであれば、ただ漠然と「うまくなりたい」というのではなく、過去のスポーツ経験なども踏まえて、自分がどうなりたいかを主体的に考えて、戦略的に始めてほしいですね。
習う側の姿勢が主体的にならないと誰に習っても一緒
レッスンプロはゴルフを教えるのが仕事ですから、僕自身もいろんなことを提案して教えることはできます。
ただ、レッスンを受けている側がその内容を自分の中で咀嚼して、「次はこうしたい」という主体性が出てこないと、なかなか上達には向かいません。僕のレッスン料は若い人たちにとって少し高いので、レッスンをしてあげることができないのですが、「どこでレッスンを受けたらいいですか?」とよく聞かれるのですが、その時、僕は「どこへ行っても一緒だよ」としか答えられません。
ゴルフが上達するかどうかは、誰に習うかよりも、自分がどうなりたいかという習う側の主体的な姿勢のほうが大事なのです。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
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(1) 仮説検証能力を磨く編 - (2) 自分に足りないものは編 - (3) レッスンに受け身にならない編 - (4) 譲り受けたクラブを最適化編 - (5) 新製品に飛びつかない編 - (6) ドライバーよりパター選び編 - (7) 常に2パットで入れるために編 - (8) 自分の強みと弱みを考える編 - (9) かけた予算をムダにしない編 - (10) 経験したスポーツと比較編 - (11) 練習量に応じた変化はあるか編 - (12) ゴルフと英語を同時に学ぶ編