稲津暢の「できるビジネスマンはなぜゴルフがうまいのか」第2回~自分に何が足りないか考えていくのが重要
ゴルフがうまいビジネスマンは、いち早くコースに出て課題を見つける
ゴルフ上達のためには、ゴルフの定義を考えることが重要だというお話しを前回しました。そして、ゴルフ=スコアメイキングだということにたどり着いたら、「じゃあ、スコアメイキングのためには何をしたらいいんだろう」と自分で考えていくことが上達に向けての効率性を高めていくことになります。
ゴルフでスコアメイキングをするためには、ゴルフコースで実際にプレーして「ゴルフとはこういうものなんだ」というのを理解する必要があると僕は思います。
でも、日本のゴルフは、練習場でトラック1台分の球を打ち、ボールが真っすぐ飛ぶようにならないと、コースデビューしてはいけないという教えがあるようです。それって本当でしょうか。僕は米国に長くいましたので、ゴルフとはそもそもゴルフコースでプレーをすることだという意識を持っています。したがって、練習場に行くこと自体が、あまり正しいことではないと思っています。
米国には、スイングはヘンテコだけどスコアがやたらといい人がけっこういます。そういう人は、「ゴルフって、芝の上でボールを打って、穴の中に入れればいいんだろう」という感覚でゴルフをやっているんですね。「ゴルフは遊びなんだから、楽しくやればいいじゃん」っていうのが彼らの感覚で、僕はそのほうが正しいと思います。
最初は握り方だって自由でいいからコースに出るべき
たとえば、ある企業が新規事業で飲食をやりますとなった時、まずは小規模の店舗を実地でやってみるのが一番手っ取り早い方法です。いろんなデータを事前に調べて「ああしよう」「こうしよう」と考えるよりも、実際に店舗を出してみて、どれくらいの売り上げがあるか試運転してみるのです。
それがうまくいったら、今度は規模を大きくするのか、それとも小規模店舗の数を増やしていくのか、より早いPDCAサイクルを回すことで、次の施策が生まれてきます。
ゴルフもそれと同じで、ゼロから始めるのであれば、あれこれ考えるのではなく、まずはゴルフコースに出るべきです。クラブの握り方も最初は自由でいいのです。その結果、「その握り方、変だよね」となった時、「じゃあ、ちゃんとした握り方を習いに行こうか」というのが正しい順番だと思います。
もちろん、コースデビューにあたって、グリーンの上は走ってはいけないなど、最低限のマナーは知っておいたほうがいいとは思いますが、コースデビューの注意事項さえ把握しておけば、どんどんコースに出てほしいです。
自分を主体にして何が足りないか考えていくのが重要
そして、最初のラウンドで140くらいのスコアになり、何から手をつけていいか分からないという状況の中で、「じゃあレッスンを受けよう」とか、「クラブを買いに行こう」とか、自分で考えて行動してほしいと思います。
自分を主体的な軸にして、何が足りないかを考えていく発想になれば、ゴルフもビジネスも上昇気流に乗っていくはずです。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
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(1) 仮説検証能力を磨く編 - (2) 自分に足りないものは編 - (3) レッスンに受け身にならない編 - (4) 譲り受けたクラブを最適化編 - (5) 新製品に飛びつかない編 - (6) ドライバーよりパター選び編 - (7) 常に2パットで入れるために編 - (8) 自分の強みと弱みを考える編 - (9) かけた予算をムダにしない編 - (10) 経験したスポーツと比較編 - (11) 練習量に応じた変化はあるか編 - (12) ゴルフと英語を同時に学ぶ編