稲津暢の「できるビジネスマンはなぜゴルフがうまいのか」第1回~うまいビジネスマンは仮説検証能力が高い
ゴルフがうまいビジネスマンは仮説検証能力が高い
皆さん初めまして、プロゴルファーの稲津暢です。私は米国でMBAを取得した後にプロゴルファーとして活動し、帰国後は企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供しています。
企業経営者の方と仕事をしていると、仕事ができるビジネスマンの方はゴルフがうまいと感じる場面が多々あります。ゴルフとビジネスが似ているということは、日本でも米国でもよく言われます。その中で僕が最も重要だと考えているのが「仮説検証能力」です。
大人になってからゴルフを始める方というのは、仕事の上司や先輩から勧められて始めるケースが多いと思います。その際、上司や先輩から手ほどきを受けるでしょう。でも、上司や先輩から言われたことを、言われたとおりにやっているようでは、ゴルフも仕事も進歩は見込めません。
たとえば仕事で、上司や先輩から取引先を譲ってもらい、契約の仕方を教えてもらい、その通りしかできませんというのでは、仕事ができることにはなりませんよね。新しい契約先がどこにいるか、自分で探して、足を運べるというのが優秀なビジネスマンです。
これをゴルフに当てはめると、上司や先輩が「最初は7番アイアンでスイングを固めなさい」と言ったとしても、それが本当なのかどうかを自分で考えなければなりません。
ゴルフはスイングの美しさではなくスコアを競うスポーツ
7番アイアンでスイングを固めるというのは、本当にゴルフ上達に必要なエッセンスでしょうか。ゴルフの目的というのは、美しいスイングを作ることではなく、少ない打数でプレーすることです。
そう考えると、スイングを固めることが優先順位の一番上に来るものではないことが分かります。このように、既存の練習方法に対しても「これって本当にゴルフに重要なの?」という仮説検証ができるようにならないと、優秀なビジネスマンにはなれません。
少ない打数でプレーするには何が必要か自分で考える
そのためには、「ゴルフって何だろう」という定義を考えることがすごく重要だと思います。そして、ゴルフ=スコアメイキングだということにたどり着いたら、「じゃあ、スコアメイキングのためには何をしたらいいんだろう」と自分で考えていくことが上達に向けての効率性を高めていくことになります。
仕事ができるビジネスマンがゴルフもうまいというのは、上達のために必要なことを自分で考えて行動する能力が発揮されるからなのです。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
稲津暢の「できるビジネスマン」記事一覧
(1) 仮説検証能力を磨く編 - (2) 自分に足りないものは編 - (3) レッスンに受け身にならない編 - (4) 譲り受けたクラブを最適化編 - (5) 新製品に飛びつかない編 - (6) ドライバーよりパター選び編 - (7) 常に2パットで入れるために編 - (8) 自分の強みと弱みを考える編 - (9) かけた予算をムダにしない編 - (10) 経験したスポーツと比較編 - (11) 練習量に応じた変化はあるか編 - (12) ゴルフと英語を同時に学ぶ編