QP関雅史のギア分析!第23回・プロモデルを使いたいけれど難しいの?
2021.12.03
Q.ドライバーやフェアウエーウッドのラインアップを見ていると、『○○プロ』、『○○ツアー』といった通常ラインと別のラインが用意されているモデルがあるのですが、やはり上級者向けということで難しいのでしょうか? また、機能的には何が違うのでしょうか?
A.プロモデルは、「左に行かない」、「吹けない」など上級者が求める機能を備えています。難しいかどうかの判断は使う人によって変わりますが、通常モデル、いわゆる一般モデルに比べて、つかまりにくかったり、上がりにくかったりするのは確かです。
プロモデルと一般モデルの違い (1) 見た目が機能を表している
プロモデルと一般モデルを見比べると、フェース角、フェースプログレッション、ヘッドの大きさなどが異なっている。その違いはなんのためなのか。ゴルフ専門誌やテレビ番組の企画であらゆるクラブを試打している関雅史プロに聞いてみた。
「ドライバーのフェース角は、一般モデルにフックフェースが多いのに対して、プロモデルはほぼストレート。中にはフェースが右を向いているものもあります。これは球のつかまりすぎを防ぐためです。同じ理由からフェースプログレッションもプロモデルの方が大きくなっています。また、ヘッドの大きさは一般モデルのほとんどが460ccですが、プロモデルには440ccくらいの小さいものもあります。同じ460ccでも一般モデルはフェースがシャローで投影面積が大きく、プロモデルはフェースがディープで投影面積が小さくなるように作られています。これは、ヘッドの操作性をよくしてドローやフェードの打ち分けを簡単にするのと同時に、フェースの有効打点距離を大きくしてスピン量を抑えるためです」
プロモデルと一般モデルの違い (2) ロフトと重量の設定
プロモデルと一般モデルとでは、用意されているスペックにも違いがある。
「ドライバーやフェアウエーウッドはロフトが立ち気味になっています。モデルによって違いますが、例えばドライバーのロフトは一般モデルが9.5度、10.5度、11.5度だとしたら、プロモデルは9度と10度といった具合です。また、3番ウッドの場合は、一般モデルのほとんどが15度ですが、プロモデルには13度や14度が用意されていることもあります。ロフトを立てることで、球を抑えやすいようにしているわけです。球が上がりづらい人にとってプロモデルは難しいクラブですが、自分で球を上げるテクニックを持っている人にとっては球を抑えやすい易しいクラブということになります。一方、アイアンのロフトはプロモデルの方が寝ていて、5番で27度のクラシカルロフトを採用したモデルが多くあります。これは、上級者はアイアンに飛距離を求めていないからです。アイアンでも飛ばしたいという人にはプロモデルはおすすめしません」
見た目だけではわからない相違点もある。
「手で持ったり振ったりすればわかりますが、一般モデルとプロモデルのもっとも大きな違いは重量です。ドライバーでいえば、一般モデルが300グラム前後なのに対し、プロモデルは320グラムくらいあります。入っているシャフトも違っていて、一般モデルには50グラム台が多く、プロモデルは60グラム台のSシャフトが標準になっています」
それでは、ふつうのアマチュアはプロモデルに手を出さない方が賢明なのだろうか。
「まったく使えないということはありません。最近はプロも極端に難しいクラブを使わなくなりました。プロモデルといっても、以前よりは球のつかまりがよく、上がりやすいモデルがほとんどです。最近はアングル調整機能も多くのモデルについているし、シャフトのカスタムもできるので、ロフト、フレックス、重さなど自分に合ったスペックを選べば十分使えます」
要はスペックを少し落とすこと。これさえ気をつければ憧れのプロと同じクラブを使うことができる。
教えてくれた人 関雅史(せき・まさし)プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ
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