稲津暢の「できるビジネスマンはなぜゴルフがうまいのか」第5回~新製品のキャッチコピーに飛びつかない
ゴルフがうまいビジネスマンは新製品のキャッチコピーに飛びつかない
上司や先輩から譲り受けたクラブが自分に合わなかった場合、自分に合ったクラブを買い直したほうがいいという話をしました。
クラブを買い直す際、新品がいいのか、中古がいいのか。どうせ買い直すのであれば、最新のクラブを購入したほうがいいのではないかと考えること自体は、決して間違っているわけではありません。
ただ、ゴルフの定義がスコアメイキングだということにたどり着いているのであれば、最新のクラブがスコアメイキングにとって絶対的に有効なものではないことは、理解しておくべきだと思います。
これはゴルフクラブに限らず、自動車でも家電製品もそうですが、世の中に出回っている商品というのは、優れている物が売れているわけではなく、どれだけ広告費を投下したかによって、売れるか売れないかが大きく左右されます。
その中で、商品に対するストーリーが消費者の感銘を呼び込むと売れるので、売れている物=優れている物ではないということは、大人として理解しておかなければなりません。
「最新」とか「飛ぶ」という簡単な広告ワードに飛びついて、何の精査もなくお金を使っているのであれば、優れたビジネスマンの行動とは言えません。
新製品を売るために商品のいいところをアピールするのは当然
最新のゴルフクラブのキャッチコピーでよく使われる「飛ぶ」という広告ワードがあります。「前のモデルよりも飛距離が10ヤード伸びた!」とメーカーは言いますが、それって前のモデルが新登場した時も同じことを言っていませんでしたっけ?
1年で10ヤード飛距離が伸びたら、10年で100ヤード飛距離が伸びることになりますが、実際にはそんなことあり得ません。だからと言って、それが誇大広告だと指摘するつもりもありません。新しい商品ができたら、それを売るために商品の優れている部分をアピールするのは当然の話で、ビジネスの世界はそういう構造であると認識するべきなのです。
ゴルフクラブ=資産と考えるなら新品を買うことにも意味がある
したがって、クラブを買い直す際は新品か中古かという判断基準ではなく、すべての中から自分に合ったクラブを探すのが絶対に不可欠です。
ただ、新品と中古で違いがあるとすれば、新品には資産価値があるということでしょうか。新品を買えば中古で高く売れる可能性があります。したがって、ゴルフクラブ=資産という定義づけであれば、コレクターとしての位置づけで新品を買い求めてよいのではないでしょうか。
ただ、繰り返しになりますが、最新のクラブがスコアメイキングにとって特別に有効ではないことは承知しておいてください。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。2003年國學院大學経済学部卒業後、テキサス州立大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心に米国のミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社。基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Bisiness Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
稲津暢の「できるビジネスマン」記事一覧
(1) 仮説検証能力を磨く編 - (2) 自分に足りないものは編 - (3) レッスンに受け身にならない編 - (4) 譲り受けたクラブを最適化編 - (5) 新製品に飛びつかない編 - (6) ドライバーよりパター選び編 - (7) 常に2パットで入れるために編 - (8) 自分の強みと弱みを考える編 - (9) かけた予算をムダにしない編 - (10) 経験したスポーツと比較編 - (11) 練習量に応じた変化はあるか編 - (12) ゴルフと英語を同時に学ぶ編