鹿又芳典の「スコアアップにつながるシャフト選び」第1回~クラブの性能はシャフトが決める?ヘッドとシャフトはどっちが重要?
装着するだけでゴルフのスコアがアップする魔法のシャフトはない
皆さん初めまして、ゴルフクラブコーディネーターの鹿又芳典です。
実は編集部から「スコアに直結するシャフト選び」というテーマで連載をお願いできないかという依頼があったのですが、残念ながらシャフトを替えただけではゴルフのスコアは変わらないんですね。
シャフトを替えることによって、ドライバーが飛ばなかった人が飛ぶようになって、スコアが良くなるとか、ドライバーが曲がっていた人が曲がらなくなって、スコアが良くなるとか、そういう可能性はありますけど、シャフトを替える=スコアが良くなると「直結」することはありません。
でも、間接的にはスコアアップにつながる可能性がありますので、そのようなスタンスでお話ししていこうと思います。
ゴルフクラブはシャフトが命というのは本当か?
シャフトの話をするうえで最初に触れておきたいのは、「ゴルフクラブの性能はシャフトが決める」という都市伝説が本当かどうかです。これは半分ホントで、半分ウソです。
昔、ドライバーのヘッドサイズが小さく、ヘッドの中が空洞ではなく、重心位置の変化が少なく、設計自由度がなかった時代には、「シャフトが命」というのは本当でした。ヘッドの自由度がないから、シャフトで変化をつけていたのです。
でも今は、ヘッドの素材は変わり、サイズは当時の倍以上になり、重量も20パーセント以上も軽くできるようになり、設計自由度が格段に向上しました。このため、ゴルフクラブの基本性能の6~7割がヘッドで決まるといえます。
ゴルフクラブの基本性能というのは、球が上がりやすいとか、つかまりやすいとか、そういう性能のことですね。だから、球がつかまらないヘッドに球がつかまるシャフトを入れても、球がつかまるクラブにはならないということを、まずは分かってほしいです。
高性能のヘッドを輝かせるのがシャフトの役割
したがって、自分に合ったシャフトを選ぶためには、自分に合ったヘッドを選ぶことがとても大事です。そして、高性能なヘッドをさらに振りやすくして、ヘッドのポテンシャルを最大限に引き出してあげるのがシャフトの役割になります。
実際、今のアフターマーケット用のシャフトは、今のヘッドに対して好結果を出すために開発して作られています。先にシャフトを開発して、シャフトに合うヘッドを作ろうという発想のメーカーはありません。
だから、あくまでもヘッドが主役で、ヘッドという主役を輝かせるためにシャフトがあると思ってもらったほうがいいですね。
教えてくれた人 鹿又芳典(かのまた・よしのり)さん
1968年3月21日生まれ、東京都出身。クラブコーディネーターとしてゴルフ雑誌など各メディアで活躍。年間試打本数は2000本以上にも及ぶ。ゴルフショップマジック(千葉県)代表。
構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/石上彰