鹿又芳典の「スコアアップにつながるシャフト選び」第4回~カタログの数字とキックポイントは気にしてもムダ?!
シャフト開発において数字は完成時の結果でしかない
シャフトを選ぶ際、数字を見ずにコンセプトで探してほしいと前回のコラムでお話ししました。
なぜ、そのように断言するかというと、私自身もシャフト開発のお手伝いをしてきた中で、シャフトをゼロから作っていく時に数字を先に出して、それに見合う物を作ろうとしたことは1回もないからです。
シャフトを開発する際は「こういうターゲットのゴルファーに、こういうヘッドが流行るだろうから、そのヘッドで球がもっとつかまるシャフトを作りたい」といったコンセプトがあって、それを実現するためにはどうしたらいいか考えながら設計していくのです。
そして数字というのは、あくまでも完成時の結果でしかないので、数字を見ても何も分からないのです。
シャフトのキーワードに惑わされないように
皆さんがよく気にされるのは、重さ、トルク、キックポイントの3つですが、この3つのみに重点を置いているのは、低価格帯のクラブの純正シャフトだけです。今のアフターマーケット用のシャフトは、もっと繊細にいろんな要素を組み入れています。
だから、この3つは大したキーワードではないのです。
さらに言えば、キックポイントなどは、でき上がった時に「このへんだろう」と決める程度のものです。「この前のよりも、ちょっと下に感じるから、先中調子ぐらいにしておこうか」というのが現実です。
今のシャフトは複雑なので数字でひも解くのは無理
キックポイントは考えなくていいという、もう一つの理由を説明します。
1本のシャフトの中で、手元が硬いと先調子になりますよね。でも、手元と真ん中が同じくらいの軟らかさで、先端がそれよりも軟らかくても先調子になります。
この2本のシャフト、どちらも先調子ですが、性質は全然違いますよね。今のシャフトはそのくらい複雑に作られているので、キックポイントがシャフトの性格を表すものにはならなくなっているのです。
トルクというのも、シャフトのねじれ度合いを示す数値ですが、同じSフレックスでもモデルによって硬さはみんな違うわけです。それに対して適正なトルクになるように作っているということなので、完成時の結果の数字でしかありません。そして、トルクが1ポイント違ったら、どういう現象が起こるかなんて分かりません。だから気にしなくていいのです。
今のシャフトはとても繊細に作られていて、その複雑さを数字でひも解くのは無理です。だから、一般の人は数字を気にしなくていいです。このことは強くお伝えしておきたいですね。
教えてくれた人 鹿又芳典(かのまた・よしのり)さん
1968年3月21日生まれ、東京都出身。クラブコーディネーターとしてゴルフ雑誌など各メディアで活躍。年間試打本数は2000本以上にも及ぶ。ゴルフショップマジック(千葉県)代表。
構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/石上彰