続!平野茂の100切りラウンド術 第2回~「練習場で飛ばない!」は腕のせいではない
90切りを目指すレベルになると、練習場で打っていても狙った目標に正確に運べるようになり、距離感にも自信がついてくることだろう。
ところがコースに出ると、練習場と同じように打てたはずなのに、アイアンやアプローチの距離感がどうも合わないということがよくある。
多くのアマチュアゴルファーをスコアアップに導いてきた平野茂プロは「練習場のように打っているのに距離感が合わないというのは、ボールの違いに原因があると考えてまず間違いないでしょう」という。
ボールの違いで距離感が合わなくなるなんて、一体どういうことだろうか。わかりやすく説明してもらうとしよう。
練習場のボールはコースほど飛ばないのが一般的
コースと練習場では自分の距離感に誤差が生まれるのは、ある意味では当然といえる。なぜなら練習場のボールとコースで使用するボールの性質が大きく違うからだ。
「大半の練習場は飛びにくく上がりにくいワンピースボールを使用しています。それを考慮して距離表示も短くなっています。その感覚でコースに出ると、"思った以上に上がるなぁ"とか、"距離が出すぎているかなぁ"、などと感じるケースがとても多いのです。コースでは練習場よりも高さが出るし、クラブの番手によってはキャリーが1割増しもあることを念頭に置いて打つようにしましょう」
逆にコース併設の練習場では、ロストボールを使っているケースも多く、ゴムの劣化が進んでいるため、ワンピースボールよりも飛ばないことも多い。そのため、芯を食ったはずなのに飛んでいないように感じ、今日は調子が悪いのかと不安になってしまうこともあるだろう。これもボールの違いによるものだ。
自分のプレースタイルに合わせて使うボールを1つに絞ろう
またコースボールでもスピン系やディスタンス系に分類される。最近ではディスタンス系でもスピンがかかりやすく、よく止まるようになってきたが、ディスタンス系はやわらかめでつぶれるためスピンがかかりにくく、自分のイメージよりもキャリーが伸びる傾向がある。アプローチで飛びすぎたり、パットでオーバーしたりしやすいともいえる。そのため、プロや上級者は硬めでボールの回転をコントロールしやすいスピン系を好む。
「ドライバーの飛距離を伸ばしたいという100切りのゴルファーたちはディスタンス系のボールを使うのはおおいに結構ですが、スコアをうまくまとめることを第一に考えたい90切りのゴルファーはスピン系がお薦めです。ヘッドスピードがあれば極端に飛距離が落ちるわけではなく、スピンがかかりやすいためアイアンやアプローチではグリーンに止めることもできます」
毎年新商品が出るなかで、何年もボールを変えずにいるツアープロも多い。新製品のほうが飛距離的には有利かもしれないが、それだけボールが変わると弾道が変化し、それがスコアメイクにマイナスになると考えるからだ。よって、使うボールは1つに決めたい。
ゴルファーの中にはディスタンス系とスピン系のボールをごちゃ混ぜに使っている人もかなり多い。アイアンやパットの距離感が一致しないため、スコアがなかなかまとまらないという現象は、腕の問題ではなく、ボールの変化が起こしてしまっているかもしれない。自分のプレースタイルに合ったボールを選び、なるべく同一メーカーの同一ブランド、同タイプのボールを使うようにしよう。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロ野球選手を志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥 撮影協力/富里ゴルフ倶楽部(千葉県)