続!平野茂の100切りラウンド術 第3回~2段グリーンはどうやって距離感を合わせる?
せっかくグリーンに乗せたのに、残ったのはロングパット。さらに2段グリーンとなると、2パットで収めるのが絶望的になってしまう。90切りを目指すには3パットをなくし、悪くてもボギーに収めることが大事になる…。
多くのアマチュアゴルファーをスコアアップに導いてきた平野茂プロは、「2段グリーンの前に、ロングパットの距離感の正しい知識を身につけることです。カギはボールのスピードのイメージの仕方です」と指摘する。
そこで、2段グリーンの攻略のポイントと、距離感を合わせるコツをレクチャー願った。
高速、中速、低速の3つのスピードを当てはめて考える
まずは平らなグリーンで12メートルのロングパットを想定してみよう。カップまで1メートルの短いパットであれば、打ち出しのスピードとカップインするときのスピードはほぼ同じだ。ところがパットの距離が5メートル、10メートルと長くなるほど、打ち出しのスピードとカップの近くのスピードが変化する。
「ロングパットでは、ボールの初速、中速、終速の3つの転がりのスピードをイメージすることが大切。最初の4メートルはボールがどのくらいの速さで転がり出して、次の4メートルがどのくらいまで減速して、最後の4メートルは最後にカップで止まるまでどうスピードが変化するか、イメージを働かせます。このイメージが、すなわち距離感なのです。スピードの変化がイメージできれば、最初の初速に合わせて振り幅を決めて打ち出してあげるだけです」
次にボールが2段グリーンの下の段に止まっていて、カップが上の段という場面を想定してみよう。ボールからカップまでは直線で20メートル近くあり、その途中に段差が上りの段がある。距離感を合わせるには、グリーンのどの場所を基準にするかの的確な判断力がスコアをうまくまとめる決め手となる。
カップまでの距離を高速だけでイメージすると、ボールを強く打ちすぎてカップはもちろん、グリーンもオーバーしてしまうことになる。逆にタッチが弱すぎると段差を上り切れず、途中から戻って下り落ちてスピードがどんどん早くなり、元の場所よりもカップから遠くなってしまうことになる。
「ボールが段差に達するまでが高速、段差を上っていくときが中速、上の段に達してカップに近づくまでは低速と考えましょう。平らなところでは3分の1ずつで3つのスピードをイメージしましたが、2段グリーンの傾斜がどこにあるかで初速が半分くらいになることもあれば、初速がほとんどないこともあります」
2段グリーンの下りのラインは3パット以内で上がればOK
最後にボールが2段グリーンの上の段にあり、カップは下の段の状況を考えてみよう。
この場合も高速、中速、低速の3つのスピードをイメージするが、上の段に向かって転がし上げるのとは異なり、下の段に転がり落とすため、最初の高速の距離を相当短めに想定するのがポイントだ。また、傾斜とカップが近い場合には、どれだけ絶妙なタッチで打てたとしても、傾斜で加速してグリーンからボールがこぼれ落ちてしまうような状況もある。
「この場合は下りの段差には確実に届かせるくらいの距離感でしっかりと打ちましょう。高速の距離が短めだからといってインパクトが緩んでしまうと段差の手前で止まってしまいます。こうなると3パットでもすまないかもしれないので、確実に下の段には落としたいところです」
段差を転がり下りる際にボールのスピードが加速するので、カップの近くに寄せるのはとても困難だ。無理に2パットで収めるよりも、最悪でも3パット以内でホールアウトすることに全力を注ぐとしよう。2段グリーンには絶対に寄せられない状況もあるので、そこを理解して絶対に避けるべきことをしっかり避けるマネジメントも重要になってくる。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロ野球選手を志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥 撮影協力/富里ゴルフ倶楽部(千葉県)