新!平野茂の100切りラウンド術 第3回~ショートパットを確実に決めるコツをつかもう
100がなかなか切れない人は、3パットや4パットを減らして18ホールの合計パット数を40以内に収めることが一番の目標となる。
スコアの約4割がパット数といわれるほどだから、そうした意味では90切りを目指す人の場合は36パット以内にまとめることが必須条件となる。18ホールすべて2パットで上がれたら合格。どこかで3パットしてしまったら、どこかで1パットで上がって帳尻を合わせなくてはならなくなる。
90台で回れるようになるとバンカーから寄せられる回数が増え、アプローチも寄せワンのパーセーブのチャンスも生まれてくる。
多くのゴルファーを90切りに導いてきた平野茂プロは、「ショートパットを決められるように、パットの技術をレベルアップさせることが必要」と明かす。
ショートパットがうまくなるヒントを教えてもらうとしよう。
親指をグリップの真上に乗せることにこだわらなくていい
カップまで1メートルのパット。これを短いと思うか、長いと思うか。ゴルフの経験の浅い人は「入って当たり前の距離」と考えがちだが、プロたちは「1メートルだって外してしまうこともある」と考える。
短い距離を思うとアドレスもストロークも無造作になってしまう。外すこともあると思えばアドレスを丁寧につくり、細心のストロークを実行する。勝敗を分ける大事な局面ほど1メートルのパットを丁寧に、慎重に打つのだ。
ショートパットはメンタル面も重要なファクターとなるが、1メートルも絶対に入る距離ではないことを最初に認識しておこう。実際90切りレベルのゴルファーでも、1メートルをポロポロ外してしまうことがよくあるはずだ。これはショートパットの技術がまだ備わっていない証拠だ。
「パターのグリップは真上が平らになっていますよね。そこに親指を乗せてグリップするためですが、両手の親指の全体を乗せようとして結果的に両手がかぶった握り方になっている人がとても多いのです。これではストローク中に両手首が折れやすく、フェースの向きが変わって、たとえ1メートルの距離でもカップを外してしまう結果となります」
両手の親指をまっすぐ伸ばして、親指の全体をグリップの真上に乗せると左手甲と右手のひらが目標に正対する、いわばスクエアグリップとなる。一見きれいなグリップとなるが、インパクトで左手首が甲側に折れたり、右手首が伸びたりしてフェースの向きが変わりやすいのだ。
グリップの下から両手を添えるように握れば手首が固定しやすい
パットの場合は、手首の角度が変わりやすいグリップは避けたいところだ。
では、両手をどう握るかというと、両手の親指の腹だけをグリップの真上に乗せて、両手を浅く握るのが理想的なグリップだという。グリップの真上の平らな部分をあまり気にせずに、両手を浅く握った結果、両手の親指の腹だけが乗ればいいくらいに考えよう。
「ジェイソン・デイら世界の超一流プレーヤーはパット巧者としても知られています。彼らに共通しているのは両手をグリップの下側から握っているという点です。赤ちゃんを抱っこする姿勢のように両ひじを真下に向けて、両手をグリップの下から添えるように握ると体と腕が同調しやすくなります」
1~2メートルの短いパットは、手先でちょこんと合わせるように打ってしまいがちだ。手首をこねる打ち方が癖になると、90切りの壁がどんどん遠のいてしまうことにもなる。手首の無駄な動きを完全に封じ込めるためにも、両手をグリップの下側から握るようにし、体と腕が同調したストロークを心がけよう。
小さな振り幅でも両肩を天秤のように縦に上下させてパターを振ればフェースの芯でヒットしやすく、ショートパットのミスが激減し、平均パット数を減らすことができるだろう。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットゴルフフィールド