新!平野茂の100切りラウンド術 第2回~アイアンの上達に欠かせない傾斜対策の基礎知識
ゴルフコースには大なり小なりの傾斜があり、たとえボールがフェアウエイ上にあっても斜面になっていることが案外多い。傾斜地で平地と同じようにフルスイングしてはバランスを崩しやすく、ボールを右が左に大きく曲げてしまうことになるし、ダフリやトップなどのミスも頻発する。
多くのゴルファーを90切りに導いてきた平野茂プロは、「アイアンでミスしてしまうのは、傾斜によってスイングが乱れるというパターンがとても多い」と指摘する。
軽い傾斜だからといって油断すると、80台を目指すゴルファーでも凡ミスして、スコアを崩してしまうことになるから要注意だ。
左足上がりは大きめの番手、左足下がりは小さめの番手で打とう
傾斜は大別すると、左足上がり、左足下がり、つま先上がり、つま先下がりの4つがあり、それぞれの傾斜に適応したアドレスとスイングを実行することが大事なポイントだ。
傾斜に逆らわないような姿勢で構え、傾斜に沿ってスイングするのが基本だが、4つの傾斜には下記のような共通項があることも頭に入れておこう。
1.距離を欲張ってフルスイングするとバランスが崩れやすいので、振り幅を7~8割くらいに抑えたスリークォーターショットを心がける
2.スイング中の体重移動量が少ないため、ボールの位置は通常よりも1~2個右寄り
「ショットの前にボールの近くで素振りを繰り返して、この傾斜ならフルスイングは難しいから、どのくらいの振り幅で打てばよいかのイメージづくりをすることが重要です。左足上がりなら構えたときの右足体重のままでスイングするとか、左足下がりであれば左足体重でスイングするなど傾斜を的確に感知し、状況に即したスイングを実行してください」
左足上がりも左足下がりも、傾斜に対してできるだけ垂直に近い角度で構える。傾斜に逆らって体の軸を重力に対してまっすぐにセットすると、傾斜に沿ってクラブを振るのが難しくなる。左足上がりではクラブを傾斜に対して急角度で打ち込んでしまうし、左足下がりではすくい打ちになってしまう。
また、左足上がりの場合は構えたときにクラブのロフトが寝るため、ボールが高く上がってキャリーが不足しやすい。通常8番アイアンで打つ距離なら1~2番手大きい6~7番アイアンを選択しよう。
左足下がりは逆にロフトが立つのでボールが低い角度で出て予想以上にキャリーとランが出てしまうケースが多い。通常で7番アイアンの距離なら1~2番手小さい8~9番アイアンで打つとよい。
つま先上がりはハンドルを右に、つま先下がりはハンドルを左に切るイメージ
つま先上がりとつま先下がりは、ボールの曲がりを計算して打つことが大事なポイントになる。
つま先上がりの場合はボールが左に飛びやすいので曲がり幅をイメージして目標の右を向いて構えよう。つま先下がりは逆に右に飛びやすいため、目標よりもいくらか左を向いて構えるとグリーンに乗る確率がアップする。
「球筋がフック系となりやすいつま先上がりは、インパクトからフォロースルーにかけて車のハンドルを右に切るような動きのイメージ。スライス系となりやすいつま先下がりでは車のハンドルを左に切る動きをイメージしてスイングすると曲がりが抑えられて効果的です」
つま先上がりは左手を加速して両手のターンを制限し、つま先下がりはフォロースルーで右手を加速させて両手をターンする感覚だ。練習場のマットは平らなので傾斜からのショットを想定した練習はなかなかできないが、インパクト以降の動きを頭にしっかりとインプットしておくだけでもショットの成功率がかなり向上するという。
ゴルフ場は平らな場所が少ない以上、傾斜対策は欠かせない。ただし、練習することができないので、正しい知識を頭に入れておき、実践しながら上達していくことになる。
まずは4種類の傾斜対策法をしっかりと覚えておくことが、ゴルフ場でアイアンの結果を出す第一歩となる。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットゴルフフィールド