新!平野茂の100切りラウンド術 第6回~バンカーからグリーンを外さない2つのテクニック
100切りレベルのゴルファーにとって、バンカーからはとにかく1回で出せるようになることが一番の目標となる。スコアメイクの上でも苦手なバンカーを徹底回避することで90台のスコアを出すことも十分に可能だ。
しかし、80台を目指す人はいつまでもバンカーが苦手なままではいけない。
「バンカーに入れても大丈夫さ」くらいの気持ちでアイアンショットが打てるようになれば、かえってアイアンの正確性がアップし、バンカーにつかまるケースだってかなり減ってくるものだ。
そのためには、バンカーショットの技術の向上も必須条件となる。
多くのゴルファーを90切りに導いてきた平野茂プロは、「これからは1回で出ればいいやと安易に考えずに、最悪でもグリーンに乗せて2パットのボギーでホールアウトできるレベルまで上げていくことが大事です」という。
バンカーのレベルアップの必須ポイントを教えてもらうとしよう。
目玉焼きをイメージすれば砂を取る量が一定する
バンカーから1回で出せるようにはなったが、砂を多く取りすぎてキャリーがあまり出ず、グリーンに届かない。ボールをクリーンに打ってしまい、グリーンをオーバーしてしまった。一発脱出に成功はしても、こうした打ち損じが続いているうちは、80台は出せないし、本当の意味でのバンカーショットの技術は身についていない、といわざるを得ない。
バンカーショットの基本は、サンドウェッジのフェースを開き、クラブヘッドのトゥ側を軽く浮かせてハンドダウンに構えることにある。こうすると見た目には開いているフェースの面がピンのほうを向き、さらにバンスが使いやすくなってボールのまわりの砂をピンのほうに向かって弾き飛ばせるようになる。
「キャリーがあまり出なかったり、飛びすぎたりするのはクラブヘッドの入れどころが一定していないのが原因です。目玉焼きをイメージしてください。バンカーショットでは、真ん中の黄身を絶対に打ってはいけません。まわりの白身からすくうように打つのがコツです。手前側の白身からクラブヘッドを入れて、黄身の先側の白身から抜けていくように振り抜いていくのです」
絶対にボールを直接打たない。かといってボールの手前10センチも打たない。
そうすれば砂を取る量が次第に一定し、キャリーが十分に出る上に距離が出すぎてしまうこともない、理想的なバンカーショットが身につくという。目玉焼きをイメージするだけでグリーンに乗る予感がしてくるし、うまくいけばピンに寄りそうなポジティブな心理になれるから不思議だ。
バンカーの縁のすれすれを狙って打つと距離感が合いやすい
バンカーから脱出させたい場合、多くのゴルファーはボールを高い角度で上げようとする。バンカーのあごが自分の背丈ほどある場合は打ち出し角を高くする必要があるが、あごが腰くらいの高さなら無理に上げようとしないことだ。
上げたい心が働くとダウンスイングからインパクトにかけて右のお尻が下がり、左のお尻が上がってしまう。右肩が下がってクラブヘッドがボールの10センチも20センチも手前に入り、大ダフリとなる。これがキャリーを不足させてしまう一番の要因だ。
「私はバンカーが苦手という人には、バンカーの土手にぶつける練習をしていただいています。土手を狙って低く打ち出そうとすれば左のお尻が浮かずに、右のお尻をヒップアップできます。するとクラブヘッドが適正の角度から入り、目玉焼きのイメージで砂が取れるようになります。また、実際のバンカーショットでも土手のすれすれの高さに打つイメージを持つと距離感が合いやすくなりますよ」
アイアンやアプローチなどのショットと同様、バンカーもボールを上げようとするほど上がらず、低く打ち出そうとすると逆に上がりやすくなるというわけだ。
さらに、土手の縁のすれすれを狙って打つことで、自分のイメージ通りの角度で飛んでいき、結果的にピンの近くまでいってくれる回数が増える。こうなるとバンカーが大好きになること請け合いだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットゴルフフィールド